第15話 エリカと夏子の激しいスキンシップ

 「お待たせー、ジュース持ってきたよー」


  エリカは、お盆にオレンジジュースを入れたマグカップを二つ、自室まで運んで来た。


 「ありがとーエリカ様ー」

 「何よその呼び方ー」

 「いいじゃんー似合うよ、様付け」

 「えぇぇ...」


  エリカは呆れながらお盆をテーブルに置く。

  夏子はベッドから出てきて座り、コップをお盆から取って飲み出した。

 

 「あー喉潤(うるお)しい」

 「なにその言葉ー」

 「なんか流行りそうじゃない?」

 「違う意味の方に聴こえるよ」

 「あははーそうかー」


  夏子は笑いながらコップをテーブルに置いた。


 「助けてくれた人ってイシュティルさんだよねぇ」

 「あ、夏子ちゃんもそう思う?」

 「うん。魔法を使えるイシュティルさん以外に考えられないなぁ」

 「なんか失礼な言い草だなぁ」


  怪訝な顔をして夏子を見つめる。


 「そんな顔しないでーいやーん」

 「棒読みすぎ!...もー」


  エリカは夏子にじゃれつく。

  夏子はエリカの猫のような甘えっぷりに応え、頭を撫で回した。


 「ふふ...エリカちゃんって甘えん坊さんなんだね」

 「学校では見せないからね...?」


  上目遣いで夏子を見つめる。


 「可愛いよー可愛いーーあー私の愛しき子猫ちゃーーん」


  夏子はエリカを抱きしめた。


 「うわー暑いよー!暑い暑い!」

 「ふふふ、私の平熱は37度なのだ!」

 「うひゃー!!くすぐったい!」


  夏子はエリカの体をまさぐり始めた。


 「こらぁ!暴れないのぉ!」


  エリカは笑いながら夏子の懐にて匂いを嗅ぐ。

  とてもいい匂いだなと思った彼女も豹変し、まさぐってくる夏子に仕返しをと、懐にて顔を埋(うず)めて、両手で夏子の腹を触りまくった。


 「ひゃ!!エリカちゃんの手、冷たくて気持ちー」


  夏子には効いておらず、エリカの全身をまさぐっていた彼女は、エリカの触ってくる腕を掴んで、自分の全身に持ってくる。

  引っ張られた腕は、彼女の暖かい体温を冷やす為に全身に当てようとしていた。


 「うわー引っ張られる!」


  エリカは顔を上げ、夏子がエリカの腕を自分の首に回して氷マフラーの代用として使おうとしていた彼女の動作に身を乗り出して、抱きつく姿勢をとった。


 「このー!夏子ちゃんはここが弱いのかなー?」


  エリカは夏子の耳を軽く甘噛みした。


 「ャン!もう!この子猫ちゃんったら」


  夏子は艶(なま)めかしい声を出して顔を赤らめた。

  エリカは夏子の耳にかぶりつき、そして首筋まで...遂には鎖骨まで顔を埋(うず)めていた。

  されるがままの夏子は床に倒れ込んで息を切らしていた。

  数分、彼女の性感帯を刺激していたエリカは我に戻る。


 「...ハメ、外しちゃったね」

 「あはは...気持ちよかった...よ」

 「息切らしてるけど大丈夫?」

 「平気よ。へーき!」

 「あ、早めに夕飯の支度しなきゃね」


  エリカは掛けていた時計の針を見ながら、急いで部屋を出ようとしたが、夏子が彼女の服を掴んで来た。


 「私も...手伝うよ」

 「えぇ...いいよ別に」


  エリカはそう言いつつも、夏子は身を引かなかった為、仕方が無いから一緒に作る事になった。


 「夏子ちゃん、寂しかったんじゃないの?」

 「あはは...それは...あるかも?」


  笑いながら二人は見つめ合った。


 「!!あ、ご飯作るから...じゃあ野菜切ってもらえるかな?」

 「りょーかい!」


  エリカは思わず目を背け、野菜を切るようにお願いする。

  夏子は笑いながら了承した。


 「今日はカレーなんだねぇ」

 「前、母さんがカレー作ってくれてね。食材がだいぶ余ってたから...」

 「私、カレー大好きだよ!」

 「ふふふ、良かった!」


  微笑みながら、エリカはサラダ油を引いて牛すじ肉を軽く炒め、夏子が切った玉ねぎ、ニンジン、ジャガイモを混入させてパパッと炒めた。

  時間が経ち、玉ねぎが半透明になった所で水を張り、煮詰める事、十数分、沸騰した所にカレールゥを投入し、蓋を閉める。


 「わぁーいい匂いー!」

 「うんうん!」

 「エリカちゃんの家って牛すじなんだー珍しいね!」

 「牛すじ、好きなんだ...凄く合うよ!」

 「私の家、いつも豚肉だからさー。今度試して見るよ」

 「うん!」


 「シチューに牛すじ入れる?」

 「入れない」


  二人が雑談をしているといつの間にか8分時間が経過していた。

  鍋の蓋を開けると、ぶつぶつと沸騰した、とろけているカレーが完成されていて、カレーの匂いが部屋に充満する...程でも無かった。


 「...カレー完成!後は...」


  エリカは冷蔵庫から、玉ねぎ、キャベツ、トマトを取り出して、それぞれ手際よく切りそろえ、器に盛ってドレッシングをかけた。


 「はい!あっという間に健康サラダの完成!」

 「おぉー!最近サラダとってなかったなぁ」

 「だめだよーサラダはいいんだよー?新陳代謝が上がってダイエットに最適なんだから!」

 「えぇ!?ダイエットに気を使ってたの?」

 「え?意外だった?」

 「そりゃ...ねぇ...細いし」


  夏子はエリカの全身を睨みつける様にみる。


 「細いかな?体重結構あるんだけど...」

 「へーどんくらい?」

 「よんじゅう...って言わないわよ!」

 「あはは!残念ー」

 「...危なかったー」

 「油断してるとそのうちスリーサイズまで自分から喋りそうだよねぇ」

 「それはない!」

 



 「さて、盛り付けてテーブルに並べました」

 「?うん。そうだね。お疲れ様ー!」

 「いただきますしようか。あ、まだ6時だけど早めのご飯も悪くないよね」

 「あはは、ウチいつもそのぐらいだから丁度いいよー」


  二人は目を閉じてお互い手を合わせ、食材に感謝を込めた。


 《頂きます》


 

  静寂な空間に置かれた二人はスプーンの音と、小さな咀嚼(そしゃく)音が流れた。

  サラダの咀嚼音は特に気持ち良い。


 「うん!牛すじ美味しい!」

 「ほら言ったでしょ!凄いんだって牛すじ君はー」


  エリカはスプーンを持ちながら自慢げに話す。


 「でもシチューには?」

 「...入れない」

 「今度入れてみたらどうよ?」

 「合わないと思うなぁ」

 「あのクリーミーには程よい脂身が効いた豚バラが最高だよね」

 「わかる。夏子ちゃん分かってるじゃない」

 「へへ」


  夏子は微笑みながらカレーをすくって頬張る。

  エリカも同じく微笑みながらサラダを頬張った。


 「ごちそーさまー!」


  二人は又、食材に感謝を込めて御礼をする。


 《ご馳走様》


 「じゃあお風呂、沸かすね」

 

  エリカは食器を運び終わってお風呂のスイッチを押しに行った。

  ボタンを押すだけなのですぐ戻ってきた。


 「お待たせー」

 「速い!」


  夏子はすかさずツッコミを入れる。


 「じゃあ洗い物しちゃうねー。夏子ちゃんはテレビでも見ててよ」

 「そんな事できないよ。私も手伝うよー」

 「ん...じゃあ私が洗剤でゴシゴシするから、夏子ちゃんは洗う係?」

 「それでいいよー!洗い終わったお皿は?」

 「すぐ隣に重ねておいていいよ」

 「はーい!」


  お互い、せっせと働く。

  夏子は普段やらないせいか、手が遅いが、エリカは


 「ゆっくりで大丈夫よ」


  と、フォローを入れて上げる。

  夏子は微笑みながら


 「まるで夫婦ね」


  と、言った。


 「えぇー!私たち女の子だよー!」


  エリカは満更でもないような顔でそう答えた。






  お互い洗い物も終わり、お風呂も丁度沸いた。


 「ピピピッお風呂が湧きました」


 「あ、沸いたね。一緒に入る?」

 「もちろん!」


  エリカは一緒に入るか提案。

  夏子は即答。


  脱衣場でエリカが服を脱ぎ、その服を洗濯機に入れる。

  エリカをジロジロと舐め回すように見る夏子にエリカは


 「早く脱ぎなよー!もー!」


  エリカは貞操の危険を察知したのか、身をくるめて自分の裸体を隠した。

  夏子は

 

 「あはは残念」


  夏子は笑いながら服を脱ぎ、着替えが入っていたカゴに入れる。


 「あれ?洗濯機に入れないの?」

 「え?持ち帰ろうと思ったんだけど」

 「だめだよー。たった一日でも生地がだめになっちゃうからさー。学校で渡すから入れなさいな」


  そういってエリカは、夏子の着替えを洗濯機の中に放り込んだ。


 「お母さんみたい!お母さーーん」


  と叫びながら、エリカの裸体に飛びつく彼女に驚いて


 「いやん!もーーー」


  とエリカは叫ぶ。



 「体洗って上げるよ」


  夏子はスポンジを片手に、エリカに近づいてくる。

  エリカは


 「背中だけだよ」


  エリカは怪訝な顔で、下心丸出しの彼女を見ていたが、背中だけなら...と、椅子に座り込んで背中を彼女に向けた。


  彼女は


 「ちぇ」


  と言いながら、スポンジに泡をつけ、エリカのきめ細やかな白い肌を擦りつけた。

 

 「痒(かゆ)い所はござらんかー」

 「ござらんよー」


  夏子はスポンジでエリカの背中を拭き終わった後、シャワーで泡を流そうとした。


 「あ、前自分で服から流すの待って」

 「えーもう!洗い流すのは私なんだからねー」

 「はいはい」


  エリカはそれを静止し、スポンジを受け取って全身泡まみれにする。


 「はい、終わったよ。じゃ流していただこう」

 「任せるでござる」


  夏子はシャワーを温水にしている事を確認し、エリカに浴びせる。

  最初は背中だ。


 「うぉ、もちみたい。肌ぷにぷにー」

 「え?素手で直接!?」

 「当たり前だろ?」

 「...もう!前も触る気?」

 「...へへ」

 「全身をシャワーで掛け流すだけかとおもったわ」


  夏子はお構い無しに、いやらしく触りまくりながら、背中を流し、両腕...太もも...脛(すね)...足首...足の甲...足の裏...。

  そしてようやく、おっぱいと向き合う姿に。

  夏子は体をくねらせながら


 「いやーんおっきー」


  と言った。


 「胸と下は私がやるわ」


  エリカは落ち着いた雰囲気で彼女からシャワーを奪ってさっさと洗い流した。

 

 「じゃ次、私ね」

 

  そういった夏子は、エリカにスポンジを渡して座り込んだ。


 「頼みますよー旦那!」

 「はいはい」


  エリカは呆れながらスポンジに泡を付けて、全身泡まみれにさせた。

  前は戸惑ったが夏子が


 「はやくやれぇ!」


  と急かす為、しょうがなくやってあげた。

  夏子が胸と下に泡をつけられている時、艶(なま)めかしい声を何度も何度も上げていたが、無視してささっと拭き終わる。

  シャワーも付けて直ぐに洗い流した。


 「あっもう!手で私の全身を撫で回して!」

 「それは何か嫌だよ」


  夏子は拒否られた。


 「あーいい湯じゃのぉ」

 「ふふ、夏子ちゃん、おじいちゃん見たい」

 「そうかのぉ?」


  夏子はエリカに寄りかかって、頭をエリカの肩に乗せた。

  エリカは微笑みながら撫でてあげる。


 「よしよし〜」

 「今日もお疲れ様じゃのぉ」

 「ふふ、そうだね」


  夏子の名演技に思わず笑ってしまうエリカに、夏子は微笑んだ。


 「...明日、いい日だといいね」

 「え?...うんそうだね」


  急にシリアスになった夏子の発言に、エリカは戸惑うもの、感慨深い心情で目を閉じた。

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