第7話「どうくつ」

 今回の「けものフレンズ2」はちょっとだけ怖いよ!


 小さい子は大人の人と一緒に見ようね!

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 ――夜。

 月の明かりも妖しく、丑三つ時へ近付いた頃の事だ。

 一人の鳥のようなフレンズが不気味な声を出しながら、暗い夜道を飛んでいた。

 一人、道に迷っていたネコのフレンズは彼女を見つけると、声を掛けた。

 そのネコのフレンズはいたずらが好きだった。

 彼女はそんな鳥のようなフレンズが振り向く最中、大きな声を上げた。

 だが彼女の予想とは裏腹に、その鳥のようなフレンズは驚かなかった。

 それどころか、逆に彼女が悲鳴を上げた。

 甲高く、とても長い悲鳴。

 そう。

 なにせ――。




 ――そのフレンズは、髪は真っ白、肌の色においては薄気味の悪い紫色で、所々色褪せた桃色が織り混ぜられていたからだ。

 そのフレンズはニヤリと口角を上げて笑うと、エメラルド色の目を光らせながら、得体の知れない粘液を口元に忍ばせて言った。

「ようこそ、楽しい場所へ。……かわいいかわいいフレンズちゃん。」


 その後、そのネコのフレンズを見たものは一人も居なかった。












 」

 タイリクオオカミは話し終えると、悪戯に笑みを浮かべた。

 かばんはそんなタイリクオオカミを見ながら、青ざめた表情で、自身の横で同じように青ざめた表情で佇む、サーバルと声を合わせて言った。

「怖い……! 怖い怖い怖い怖い怖い!」

 タイリクオオカミはそんな二人の発した言葉に、悪戯な笑みを強めながら言った。

「そんなに怖がってくれるなら本望だよ。」

 かばんはタイリクオオカミのそんな言葉を聞き終えると、それに続けるように言った。

「今回のお話……ろっじで聞いたものよりも怖かったです。」

 タイリクオオカミはかばんの言葉を聞くと、目の前にある、月の明かりだけが灯る夜の大空を、仰ぐように見上げながら言った。

「……これは……、実際にキョウシュウエリアで昔から語り継がれていた話でね。私も漫画を書き始めた頃、よく作家として当時先輩だったフレンズによく聞かされたものだよ。あまりに古くて、この話がウソなのか、本当なのかさえ分からない。」

「本当だって可能性もあるって事ですか?」

 かばんは聞いた。

「その可能性も少なくはない。……ま、大抵こういう話は作り話が多いがな。」

 タイリクオオカミはそう答えると、続けて言った。

「ただ……その鳥のようなフレンズに会ったフレンズ達は口を揃えてこう言った。『明らかにフレンズの形ではあるが、それはフレンズとは違い、冷たい表情。さらに目の色は、不気味なまでのエメラルドグリーンだった。顔の中では、それが一番目立っていた』と。」

 その後、大多数のヒトとフレンズ達は、やがて彼女をこう呼んだ――“女王”――と。

 タイリクオオカミはその言葉をあえて飲み込むと、大空に輝く月を見上げ、脳内に二つの“カコ”のイメージを思い浮かべた。

 かばんは少しだけ震えながら、タイリクオオカミを除いた五人のフレンズ達と共にバスの中へと入った。

 かばんは星と、月の輝く広い大空を見上げるタイリクオオカミを見つめながら、サーバルの膝の上で深い眠りについた。





 オープニング




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「ん……。う……?」

 かばんは深い眠りから、突然目を覚ました。

 辺りには、月と、それと並ぶ少数の星以外、一つも明かりは灯っていない。

 また、サラサラという草が揺れて擦れ合う音、滝が流れ落ちる大きな音以外、何も聞こえることはなかった。

 ……ただ、寝息だけは別だ。

 バスの車内では、サーバル達フレンズの、静かな寝息が鳴り響いて、一つのメロディーを……。

 ……おかしい。

 寝息はいつも、もう少し多いはずだ。

 かばんはそんな違和感に気付くと、バスの中、特に座席を見回した。

 バスの中からは、ラッキービーストとタイリクオオカミ一人を除いた、五人のフレンズ達が消えていた。

 もちろん、その中にはサーバルも含まれている。

 かばんはその光景に妙な不安感を覚え、運転席に座るラッキービーストに声を掛けた。

「ら、ラッキーさん!」

 眠るタイリクオオカミを起こさぬよう、囁くようにして。

「ドウシタノ、カバン。マダヨルノニジダヨ。」

 ラッキービーストはかばんの言葉に、相も変わらず無機質な声で、音量を小さめにしてそう聞いた。

 かばんはラッキービーストの問いに、先程から続けて囁くように聞き返した。

「サーバルちゃん……。タイリクオオカミさん以外の皆さんは、どこに行ったんですか?」

 ラッキービーストはかばんの問いかけに、バスのライトをオンにして辺りを照らし出すと、一方向にその身体を向けて答えた。

「ソレナラサッキ、アソコニアルドウクツノナカニハイッテイッタヨ。」

 そんなラッキービーストの言葉を聞き、かばんはその方向を向いた。

 そこには、何者か――恐らくサーバル達だろう――が居るのか、とても弱い光が内部から灯る洞窟があった。

 バスの光を点けないと見えなかったということは、よっぽど遠い場所にあるのだろう。


 かばんはそんな光景を見つめ、こう考えた。

 それならばその洞窟へ入ってみよう。

 でもどうやって?

 いまバスを動かしたら、近くにいるフレンズ達の迷惑になってしまう。


 ……だが、自分が行くと、ラッキービーストも付いてくることになる。

 だとしたら、タイリクオオカミが独りに。

 もしその間に、セルリアンが現れでもしたら……。



 ……仕方がない。

 タイリクオオカミを起こそう。

 彼女には申し訳ないが、フレンズだけで洞窟へと入っていったサーバル達の方が心配だ。


 かばんは静かに寝息を立てて眠るタイリクオオカミを見据えると、そんな彼女の肩を優しく両手で揺さぶった。

 数秒後、タイリクオオカミは寝起きのうつろで、焦点の合わない眼をどこかに向けるように目を覚まし、そんなかばんに自分の目を擦り、大きなあくびをしながら言った。

「ん……。なんだかばん……? まだ夜中だぞ……?」

 かばんはそんな彼女と、その言葉に微笑みを浮かべると、その表情を元に戻して言った。

「サーバルちゃん達があそこにある洞窟に入って行ったようなんです。なので……。」

 タイリクオオカミは寝起きで重い体をゆっくりと起こしながら、そんなかばんの言葉にこう答えた。

「……わかった……。」


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「よいしょ……と。」

 かばんがゆっくりとバスを降りる。

 寝起きだからか、やけに足元がおぼつかない。

 ここで踏み間違えたら痛そうだ。

 かばんはそんな事を考えながら、己の片足が地面に着くのを見守った。

 しっかりと足が地面に着いた事を確認すると、もう片方の足は最初に着いた足よりも割と早めに地面へと降ろした。

 かばんは立ち上がり、とても弱い光の灯るその洞窟を見据えながら考えた。


 あそこまでの足取りは安全に行けるだろうか。


「かばん。」

 タイリクオオカミが考えを浮かべるかばんに言った。

 かばんはそれに気づいて振り向いた。

 タイリクオオカミの片手を取り、小さな力でその身体を支え、その間に彼女が降りる。

 かばんはタイリクオオカミが完全にバスから足を話した事を確認すると、その手を離し、洞窟へと続く暗い夜道を見つめながら言った。

「さあ……、行きましょう。」

 ……おぼつかない足元。

 果たして本当に、怪我をせずにあそこまでたどり着けるのだろうか。




 ……真っ暗な夜道。

 サラリとなびく草が、月の光だけを便りに洞窟へと進み続けるかばんの足に当たり、彼女が身体を震わせる。

 タイリクオオカミもそんなかばんの反応に驚き、彼女と同調して身体を震わせた。

 もちろん、ラッキービーストも彼女達に付いて行っていた。

 ときどき二人の様子を伺いながら、周りを囲うように歩く。

 夜ともなれば、いつどこで何がでるか、見当もつかない。

 だからこそラッキービーストは、かばん達を守るように周囲を見渡しながら歩いた。


 ……数分が経ち、かばんとタイリクオオカミはやっとのこさ洞窟の目の前まで辿り着いた。

 だが既に、洞窟の中から見える明かりは灯っていなかった。

 しかしかばんは中からフレンズが出るような光景を見てはいない。

 恐らく、奥へ、奥へと入って行ったのだろう。

 かばんはそう思いながら、タイリクオオカミの手を強く握って洞窟の中へと入って行った。

「ライトモードニイコウシマス。」

 ラッキービーストは言うと、その目からとても明るい光を放った。

 さっきまでは月の明かりに照らされていたが、洞窟の中となると、その状況も変わってくる。

 かばんはラッキービーストの放つ光をヒントに、タイリクオオカミに注意を向けながらもその奥へと進んで行った。


 ……しばらくすると、広い場所に出た。

 ふとかばんがタイリクオオカミの方向を見ると、怯えているのか、その体を震わせていた。

 いつもは怖がらされてばかりなのもあって、こんな彼女の表情を見るのは(二度目だが)新鮮である。

 歩き続けて行くとまたも光が見えてきた。

 間違いない。

 ……何かがいる。

 かばんはその身を屈め、一歩一歩をゆっくりと踏み入れ始めた。

「……ーい。 …き…おー。」

 微かにそんな声が聞こえた。

 かばんは足音を最小限に押さえた。

 だがその傍らにいたタイリクオオカミが、背筋を張ってビクリと動き、

 小さく声を漏らした。

 すると。

「ん……れか……の…?」

 洞窟の奥から、そんな、小さな声が聞こえた。

 かばんはその声に気付くと、タイリクオオカミの口元を押さえながら近くの岩陰に隠れた。

 足音が聞こえない。

 ……ゆっくりとかばんが岩陰から顔を出す。

 一瞬後、それは現れた。

 それは、暗闇で色は分からないが、それは明らかにフレンズの姿……それも、鳥のフレンズだった。

 かばんは声を掛けようともしたが、その事に気付いて止めた。

 なぜなら……、それの特徴は、タイリクオオカミの話していた“鳥のようなフレンズ”かもしれないからだ。

 そのフレンズが通りすぎたのを確認すると、かばんは急いで洞窟の、さらに奥へと向かった。

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「サーバルちゃん!」

 かばんは叫んだ。

 その視線の先……、そこには、横たわるサーバル達の姿があった。

 ん……待てよ……?

 かばんは考えた。

 ここにサーバル達がいるということは……。

 つまり……、あのフレンズは……。

 かばんがそこまで考えた時だった。

 後方から、こんな声が掛けられた。

「えっ、いつの間にここに来てたんですか!?」

 かばんはその声を聞き、考えた。

 やはり、間違いなのではないか?

 かばんはその考えを信じ、その声を発したフレンズを確かめるために、ゆっくりと振り向いた。

 毛髪には――、白髪はくはつの髪の毛は一本ない。

 そして――。




 ――当たり前の事にはなるが、眼球の色もまた、光り輝くエメラルド色ではなかった。

 ただ。

 肌の色は、紫の混ざったような色でない……、とは言えない、微妙な色だった。

 どちらかと言うと、濃いめの紫色といった感じだろうか。

 タイリクオオカミが言っていた者とは、結構掛け離れているため、危険な存在ではないだろう。

 もっとも、危険があるならば、ラッキービーストが騒ぎ始める……、

 ……はずである。


 ……かばんがそんな事を脳内に思い浮かべていると。

「驚かせてしまい、大変申し訳ありません。私、ニューギニアヒメテングフルーツコウモリの、アメリと申します。」


 ▼■■■■■▼ 翼手目 コウモリ科

 ■  ■  ■

 ■  ■  ■ ニューギニアヒメテングフルーツコウモリ

 ■  ■  ■

 ■■  ■ newginea princess nose fruit bat


 そのフレンズ……アメリはそう言ってお辞儀をして、顔を上げ――。




 ――優しく微笑んだ。

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 ……………ー…… いトウ オねエサん(……し…)

「ニュ…ザザ…ザ…ア…ザ…テ…ザ……ルー…ザ…リは…ザ…ザザザ……の…ザザ…ーギ……に……ザザ……、……ザザザザザどに…………てま…ね……ま…ザザザザザザザザザザザザ―――――――……………」

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「うみゃ……。」

 サーバルが目を覚ました。

 そこは暗闇の中だった。

 月の明かりは雲に乱され、本当の暗闇が彼女を覆っていた。

 辺りの木々にある葉が、風に煽られサラサラ、ザワザワと心地のよい音を立てる。


 ……今は真夜中だ。

 ふとサーバルが窓の外を見ると、何やら上空に、光の塊が飛んで行くのが見えた。

 サーバルはそんな光景を見て、かばんに目を向けた。

 一瞬後、雲に隠れていた月が、サーバルの周囲を最低限見える程度に明るく照らし出した。

 かばんはサーバルの膝元にうずくまりながら眠っていた。

 サーバルはその光景を見つめ、微笑みを浮かべると先程の光の塊の事を思いだし、ふたたび窓の外の上空へと顔を向けた。

 やはり二つの光の塊は、どんどんこちらへと向かってきている。

 サーバルはそれを見つめ続けた。

 あれはフレンズだ。

 彼女が思った一瞬後、そのフレンズはサーバルに気付きもせず、サーバルが声を掛ける暇もなく通りすぎて、どこかへ向かっていった。

 サーバルはそのフレンズを目で追い続けた。

 すると遠くの暗闇の中で突如姿を見せた洞窟に、そのフレンズの姿が消えていくのが見えた。

 サーバルはそれを見ると、かばんへ目を向け、起こそうとした――。


「かば――」


 ――が、サーバルはそれを躊躇った。

 今、かばんを起こすのは容易だ。

 だが、かばんは長旅で疲れているに違いない。

 そう思ったからだ。

 サーバルが他のフレンズへ目を向けたのは。

 まずサーバルはタイリクオオカミを選択肢から抜き取った。

 何故なら、こんなまっ暗闇の中で怖い話をされると、恐怖で一歩も動けなくなる可能性もあるからだ。

 そしてサーバルはかばんとタイリクオオカミを覗く四人のフレンズを起こし、彼女らと共にその洞窟へと向かって歩き出した。


 ……思えば、そのわずか数分後の事だった。

「うみゃあああああああああ!」

 サーバルがそんな悲鳴を上げて、四人とともに気を失い、かばんが起きたのは。

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 洞窟の内部では、一人のヒトと一人のフレンズが対峙して会話を進めていた。

「えっと……。一体何で皆が……。ここで何があったんですか?」

 一人のヒト……かばんが聞いた。

 するとそんなかばんの問いに、彼女と向き合っていたフレンズ……ニューギニアヒメテングフルーツコウモリは口を開いた。

「さっき、ボスにジャパリまんを貰いに出掛けて、帰って来て少し経ったら、この子たちが来て……。」

 彼女は言い、途中で言葉を途切れさせると、未だ意識を失ったままのサーバル達に目を向けた。

 かばんはそんなニューギニアヒメテングフルーツコウモリと同じ場所に目を向けながら、微妙な顔で言った。

「それで……。皆が……。」

 すると、その言葉に捕捉をするように、タイリクオオカミが割り込んで言った。

「アメリに驚き、気絶した訳か。」

 ニューギニアヒメテングフルーツコウモリはタイリクオオカミの言葉に深く頷くいて言った。

「私……、夜行性ですし、夜ですらあまり出歩かないので……。こういうことは結構あるんですよ。」

 彼女は溜め息をついて続けた。

「そのせいで前に、セルリアンハンターに追っかけられるはめになりましたし。」

「あはは……。」

 かばんはニューギニアヒメテングフルーツコウモリの発した言葉に、またも微妙な笑みを浮かべながら言った。

 そしてかばんは表情を元に戻すと、再び口を開いた。

「とりあえず、サーバルちゃん達を起こしましょうか……。」

 かばんは言うと、己の傍らに横たわるサーバルに向け、あるものを近付けた。


 すると、次の瞬間。

「ジャパリまんだあ~っ!!!」

 突如、サーバルがそんな声を上げて飛び起きた。

 そう。

 彼女のその言葉の通り、かばんがサーバルに近づけたもの……。


 ……それはジャパリまんだ。

 サーバルは起きるなり、かばんの手に握られたジャパリまんにむしゃぶりついた。

「……って、ちょ! 指まで! サ……、サーバルちゃん!」

 かばんは気付き、彼女に向かってそう叫んだ。

 サーバルは気付かぬままに口へ入れていた指を放すと、かばんに言った。

「ご、ごめんね! かばんちゃん。痛かった?」

「う、ううん。大丈夫だよ。サーバルちゃん。」

 かばんはサーバルの問いにそう答えた。

「良かった。」

 サーバルはかばんの問いにそんな声を上げ、ふと周りを見回して疑念の表情を浮かべた。

「……あれ? ここはどこ?」

 サーバルはそんな疑念の声を漏らし、かばんへと目を向けた。

「サーバルちゃん、覚えてないの?」

 かばんは言った。

「え? なんのこと?」

 サーバルは聞き返す。

「な、なんのことって……。」

 かばんは言葉を途切った。

「かばんちゃん。」

 サーバルは言った。

 そして気付いた。

 かばんの背後に居る、その何かに。

「サーバルちゃんが――、」

 かばんが話し始めたのにも関わらず、サーバルはかばんの背後を見つめた。

 そして、その姿を見て、サーバルは叫んだ。

「うみゃあああああああああ!」

 かばんはサーバルの異変に気付くと、その方向を見た。

 そこに居るのは、先ほど話をしたニューギニアヒメテングフルーツコウモリのアメリである……

“帰って来て、少し経ったらこの子達が……。”

“それで……、皆が……。”

“アメリに驚き、気絶した訳か。”

 思い出したのは、先程の会話だった。

 かばんは一瞬考えると、サーバルの顔をやや強引に近付けて言った。

「サーバルちゃん! 大丈夫だから! 」

「でも!」

 サーバルは答える。

 かばんはあわてふためくサーバルに、再び彼女……ニューギニアヒメテングフルーツコウモリを見せながら言った。

「良く見て!」

 サーバルはかばんの言葉に沈黙を浮かべると、その特徴をよく観察し始めた。

 かばんはそんなサーバルに言った。

「髪は白くないし……肌も黒くないし……」

 サーバルは彼女を見ながらその特徴と見比べると、表情を変えて言った。

「あ、確かに!」

「分かった?」

 かばんは微笑を浮かべると、それに気付いたサーバルに優しく問い掛けた。

「うん!」

 サーバルは答えた。

 だがしかし、その一瞬後。

「うわあああああああああ!」

 アライグマが驚きの表情を浮かべ、叫び始めた。

 ……やれやれ。

 これをあと三回も、繰り返さなければならないのだろうか。

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 全員が目覚め、かばんが全ての叫びを収め、ニューギニアヒメテングフルーツコウモリと和解を遂げた……、先程から10分程過ぎた後。

「あ、もう日が昇って来てますね。」

 かばんが言った。

 ジャパリパーク、ゴコクエリアに、朝日が昇り始めた。

 夕焼けとは違い、爽やかなオレンジ色が辺りを照らし出す。

 新しい1日の始まり。

 かばん達はいそいそとバスへ乗り込んだ。

 そしてその中で、ゆっくりと眠りに着いた。

 眠りそびれた時間分、しっかりと睡眠をとっておかなければ。

 もしも、タイリクオオカミが話したような脅威が顔を出したら――。
















 ――刻々と、は近づき続けている。

 それ――……その事が、かばんには分かっていた。















 エンディング

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 ……遠い、……とても遠いどこか。


 そこでそれは確実に、着々とその時が来る準備を進めていた。


 それは白い絹のような髪と、薄気味の悪い殆どが漆黒の、紫色の混じったような肌、それに、エメラルド色の眼球を持ち合わせていた。


 その頭頂付近からは羽のような耳が二本、姿を見せていた。


 何かが近づいてくるのを感じる。


 それは思うと、深く、深く息を吸い込んだ。


 そしてそれ……は思った。






 ――獲物は13匹。


 は、遠い暗闇に沈む心の中で、ニヤリ、と、怪しげな笑みを浮かべた。




 ……数体の、仲間達と共に。











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   の        の

    の      の

 の の タイリク予告 の の

    の      の

   の        の

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 どうも……。

 タイリクオオカミだ。

 投稿遅れてすまん。

 なんで私が作者の代わりに謝らなければならんのか、良くは分からんが今後こんな事がないよう、とりあえず作者はピーっておいた。

 ――さて、次回に向けての予習となるわけだが、今回は「サンドスター」について予習(復習?)しておこう。

 サンドスターはジャパリパーク内の自然によって形成される天然物質で、未だに全容は解明されていない。

 ただし、いくつか分かっていること。

 一つは、サンドスターに触れた動物が、私のような「フレンズ」と呼ばれる存在に変化すること。

 私たちフレンズの生命……記憶を維持するためにも使われるな。

 そしてもう一つは、サンドスターには、「亜種」が存在するということ。

 そしてそれは、私たちの知る通常のサンドスターとは、異なった効果をもたらすのだという。

 たとえば、キョウシュウエリアでラッキービーストが言っていた、「サンドスター・ロウ」という物がそれに値するな。

 だがしかし、サンドスターはそれ以外にも、亜種があるらしい。

 まあ……、こんな感じで、今回の予習は終わらせておく。

 次回……、「けんきゅうじょ」。

 次回も、お楽しみに。




















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