6月25日 月曜日 ドラゴン
こんばんは。蒼山皆水です。
スピッツさんの『群青』を聴いております。爽やか!
本日のテーマは『ドラゴン』です。空想上の生き物、ドラゴン。空想上? いや、そんなことはないでしょ。ドラゴンはいます。だって私この前ドラゴン乗ってきましたから!
え、気になりますか? 大天使チタンダエルばりに気になりますか? 私は古典部シリーズも好きですが、小市民シリーズの冬季限定を待ち望んでいます。
では、今日は美少女ミーツドラゴンの話をしましょう。
あれは先週の日曜日のことでした。
はぁ。日曜日なのにデートする相手がいない。それどころか、一緒に遊んでくれる友達もいない。こんな美少女なのに、どうしてなんだろう。
私はそんなことを思いながら、地元をぶらぶらしていました。
私の地元は、それなりに田舎です。駅前はちょっぴり栄えていますが、少し離れると、田んぼや畑ばかりです。
鱗に覆われた体。睨むだけで人を殺せそうな眼。背中に生えた大きな羽。
あらら、どうしましょう。焼かれて死んでしまうわ。まあでも、私が死んでも誰も悲しまない。だったら別に、このまま死ぬのも悪くない。こんな美少女に彼氏ができない不条理な世界とはおさらばよ。私は異世界に転生して逆ハーレムを作るの!
蒼山皆水先生の待望の新作『ドラゴンに焼き殺されて異世界に行ったらイケメンたちに求婚された件』近日公開(嘘)よ!
目を閉じた私に、ドラゴンの顔が近づいてきたのがわかりました。さあ、いつでも殺して。でもどうせなら痛くない死に方がいいわ。一思いに首を噛みちぎってちょうだい!
あれ、待って。ドラゴンに殺されたら異世界に行けるの? いいえ、そんな確証はないわ。もしかして、トラックに轢かれなきゃダメなの? どうしましょう。怖くなってきたわ。皆水、ピーンチ!
閉じていた目をそっと開けると、ドラゴンの顔はすぐ目の前に迫っていた。
私はその眼を見て、びっくりしたの。だって、思ってたよりもずっと素敵な目をしていたんだもの。
そう。まるで、好きな人からプロポーズのときに渡される指輪のダイヤのようだったわ。ふふ。プロポーズなんてされたことないんだけどね。ふふふふ。あら、何がおかしいのかしら。何もかもわからなくなってきたわ。
そのまま、ドラゴンと私は見つめ合ったの。一瞬にも、永遠に思えたわ。この世界に二人だけ、いいえ、一人と一匹だけしかいないような、そんな感じだった。
ドラゴンは顔を元に戻すと、ゴオッともガウッとも聞こえるような重低音の鳴き声を発したの。
「乗れよ」ドラゴンの言葉なんてわからない私にも、そう言っているのがわかったわ。
私はドラゴンの背中にまたがったの。そしてら、ゴオッ、ってドラゴンがもう一回鳴いた。「しっかりつかまってろよ」って言ったのか「君かわいいね」って言ったのかはわからなかったけれど、たぶん後者だと思うの。
休めていた羽を広げて、ドラゴンは羽ばたいた。風圧で木々がざわめく。ざわざわ。ざわざわ。ざわざわ森のがんこちゃん。懐かしいわね。
最初の方はバランスを取るのが難しくて、落ちちゃいそうになったのだけど、というか実際に落ちてしまったのだけど、そのたびにドラゴンがすぐに拾ってくれたわ。
私はドラゴンに「瞳だけじゃなくって、性格も優しいのね」って言ったの。たぶん日本語はわからないと思うけど、意味は伝わったと思うわ。だって、私が乗った背中の温度が、ちょっと上がったから。
このドラゴン、見かけによらず、
美少女とドラゴンの種族を超えた許されることのない恋。なんて背徳的なのかしら。これで一つ長編のネタができたわね。めもめも。
かなり上空まで、私を乗せてドラゴンは飛んだわ。雲もつかめるくらいね。
そこから見た景色を見て、私は思ったの。私の住んでいる場所がこんなにちっぽけだったなんて……。
そのまま、世界を飛び回ったわ。アメリカにイギリス、ブラジルにドイツ。さらにはグンマー帝国まで。
「ねえ。あなた、炎とか吐けるの?」って私は聞いたの。そしたら、ドラゴンの口から真っ赤な炎が吐き出された。すぐに後ろを振り返って、私の方を見たの。ドラゴンにもどや顔ってあるのね。初めて知ったわ。
それから私たちは、世界中の恋人の聖地とか縁結びスポットとか呼ばれる場所を全て焼き尽くしたわ。
だってそうでしょう? 幸せは自分の手でつかみ取らなきゃいけないんだもの。うふ。うふふふふふふふ。
あ、大丈夫です。さすがに焼き尽くしたってのは嘘なので。心配しないでください。
まあ、世界中を旅したのも嘘なんですけどね。
ついでに言うとドラゴンに乗ったのも嘘です。
もっと言ってしまうとドラゴンに出会ったのも嘘です。
しかし! 最初の『日曜日なのにデートする相手がいない。それどころか、一緒に遊んでくれる友達もいない』の部分は本当です。ここも嘘だと思った? うん。私もそう思いたかった!
はい。今日は以上でーす。今一番思うことは、私は何を書いていたんだろう……です。
それでは、おやすみなさい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます