第16話 妹に主人公枠を取られたんだけどどうしよう
「「うわああああああああ!!!」」
ズザー、という砂の音と共に、僕は夏川さんの、夏川さんのおっぱいの下敷きとなって砂浜に倒れこんだ。
そのまま五秒ほど静止していたのは、夏川さんの思考がフリーズしていたからだろうか。いや、もちろん僕の思考回路も仕事をしていないのだけれど。
意識を我に返した夏川さんは、
「うわああああああああ!!!」
「それさっき聞いたわ! 待って、お
絶叫と同時に夏川さんは思い切り飛び
どうしよう全然笑えない。事故とはいえ、向こうの不注意とはいえ、女性の胸に顔を
ちょっと前は夏川さんから押し付けていた? 知らんな。今、こんなことが起こってしまったのが問題なのだ。
飛び退いてからずっと、ほとんど土下座のような体勢をとって僕に謝り続けている夏川さんに、立ち上がった僕はそれをやめるように言った。夏川さんはここまでして謝ってくれたし、僕は
先程も少し述べたように、夏川さんは僕に何度も、抱きついてきたり
…いや、僕は上半身
今までのそういうのを、水に流そうと、時間に解決してもらおうと、そう考えていたこのタイミングでこうなってしまったのが、非常に
僕はどうしていいのか
だったらシャルルだ…! ってあれ、シャルルどこだ?
トイレにでも行ったのだろうか、シャルルの姿がそこには無かった。いつの間に消えたんだよ。
とうとう、どうしようもなくなってしまった僕は、夏川さんと目を合わせることができず、数分、
「う、海…っ! き、綺麗だなぁ…!」
水際から、雪乃の声が聞こえた。あまりにも大根な演技でそう言った雪乃に、僕は思わず問う。
「雪乃、も、もしかして
夏川さんの前でこう言ってしまっては、雪乃が今してくれたことは完全に水の泡となってしまう。そんなことは分かっていた。分かっていたのだが、雪乃が、こんな風に
…フォローできていたかと問われれば、首を横に振らざるをえないけれど。
僕の問いに、雪乃はコクリと、恥じらい交じりの
「ちょっ、晶仁っちの妹ちゃん、可愛すぎじゃね!?」
「くく、くはっ、雪乃、ありがとうな…くくっ。」
この天使、もとい雪乃には、後でアイスでも買ってやろうと思う。我が妹ながらさすがにこれは可愛すぎる。
さて、雪乃のおかげで気も軽くなったし。
「じゃあ、僕らも行こっか。」
「うん!」
僕らは、頬を
もちろん、生野は放置したままである。いっそ
…それにしても。…でかすぎないか?
もはや、何がとは言わない。だが、男性なら間違いなく目で追ってしまうであろうあれのことだとだけ言っておこう。
実は身長のあまり変わらない雪乃と並ぶことで、その大きさは更に際立つ。っておい走るな、揺れる。
これはしばらく、目のやり場に困りそうだ。
———
…えっと、どうも、雪乃です。
今日は、お兄ちゃんと、お兄ちゃんのお友達と、海に来ています。海にもしばらく行っていなかったし、お兄ちゃんの友達にも会ってみたかったので、すごく楽しみにしていました。
…でも。あの女、夏川唯菜にだけは、来て欲しくなかった。まず、昨日家に来た時点でもう嫌で嫌で仕方なかった。
お兄ちゃんを
さっきみたいなあんなのを、どうせ事故を装って昨日も一昨日もやってたんだ。そうやってお兄ちゃんを誘惑して…。本当に許せない。
現にさっきからお兄ちゃん、あの女のおっぱいしか見てないし。
せっかくさっきは助けてあげたのに、お兄ちゃんあんまり構ってくれないし。
ううう、言葉にできないけど、なんかすごくいやな気持ちです。
…だから今日は、お兄ちゃんがあの女に騙されていないかをしっかり見張って、もしもお兄ちゃんがまた何かされたら、雪乃が
…えっと、そしてあわよくば、その、お、おっぱいが大きくなる秘訣を…!
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