世界が窮屈である理由

例えば道路に寝転がってみようと思う。

しかし、そのまま寝転がったところで車が通れば轢かれてしまうし、轢かれないまでも事故を引き起こすことにはなるだろう。では車通りの少ない道ならどうか。だが、やはりそれでも誰かに見られたならば白い目を向けられることは間違いないし、下手をすれば警察を呼ばれてしまうかもしれない。

なるほど、では道路に寝転がるためには、まず車や人を立ち入らせないようにして、万が一誰かが私のことを見たとしても警察を呼ばれないように一時的にでいいから警察の機能を止めておかなければならない。これではほとんど革命を起こすようなもので、非常に面倒な仕事である。

だが、考えても見れば本来道路に寝転がるなんてことはしようと思えば今すぐにでも出来るようなことてはなかろうか。それなのに、安全に道路に寝転がるためには革命を起こすほどの面倒な仕事をしなければならないのだから我々凡人にはとても出来そうにない。

どうも、世界の窮屈さとはこの辺りから来ているのではないかと思われるのである。

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