エピローグ
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「退屈だな……」
木漏れ日すら届かぬ暗闇の部屋で、囚われの魔法使いは、つぶやく。
「やはり、ヘーゼン先生は素晴らしいな……まったく……忌々しい」
戦天使リプラリュラン。聖剣オリディクスを携え、一瞬にして敵を数千回切り裂く。その体躯は炎氷雷土を微塵にも通さず、鋼鉄より遥かに硬い。なにより恐ろしいのは、凝縮された聖光位体が弾け飛び、数千の敵を葬る『這う者への断罪』。それを一度躱したのは、さすがにアシュだけだろうが、連発できたのは全くの予想外。二度目に捕まり、身体はバラバラに弾け飛んだ。
そのまま、約8年間、幽閉状態。
「こちらも、今までにない高位の悪魔がいる」
先の戦いで召喚した悪魔では為す術もなく、敗れた。より、強力な悪魔が必要不可欠だ。いや、それだけでなく、アシュとの相性がよく、戦術に応じて柔軟な対応ができるような悪魔が――
「やれやれ……自由になったら、今度は捕まらないようにしないとな」
でも……それでも……
君ほど強く愛することは……
「……もう、ないんだろうな」
『そんなことない』なんて、
君は言うかもしれないけれど。
それは、酷く……
「退屈だよ」
ーーそんなことない。
「クク……やっぱり。じゃあ、僕にまた大切な人が?」
・・・
「……誰か……いませんかぁ!? 誰か……」
その時、少女の声が聞こえてきた。
「やれやれ……お迎えが来たようだ……君がそうやって、言うのならば……仕方ないな。まあ、僕はあり得ないと思うけどね」
バタン。
扉が、開き。
「やぁ……美しいお嬢さん」
闇魔法使いは、低い声で、笑った。
END
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