永遠


「……アシュ、よく頑張ったね」


「ふっ……僕にかかれば容易かったよ」


「フフフ……そう」


「喜んでいい……神導病の特効薬ができたんだ。これで、君の病気は治るんだ」


「……そう、嬉しいわ。じゃあ、治ったら、ピクニックに行けるわね」


「ピクニックどころじゃない。標高5,000メートルのセージル山の頂上だってーー」


「相変わらず乙女心をわかってないなー。ピクニックがいいの」


「うっ……わかったよ」


「誕生日に行きたいな。お父さんと……ジルと……」


「……ふん、3人で楽しんでくればいいさ」


「フフ……もちろん、アシュとも」


「……まあ、どうしてもと言われれば、行ってあげないこともないけど」


「じゃあ、来てください」


「……ちぇ」


「でも……本当に頑張ったね、アシュ」


「また、脈絡なく話を変えて」


「こっち……来て……」


「き、君は人の話を聞かない時があるな」


「いいから……」


「はぁ……なんだい?」


「……もっと近く」


「えっ……」


「早く早く……」


「……」


「……唇かと思った?」


「べ、べ、別に!?」


「フフ……おまじない。唇には……今度ね」


「ま、まあ……僕は忙しいから、その……」


「あと……これ」


「な、なんだよ。君は話をコロコロと」


「君への誕生日プレゼント」


「プレゼントって……手紙だけかい?」


「なによ」


「い、いや……嬉しいよ。開けてもいいかい?」


「駄目。絶対に、駄目」


「なんだよそれは」


「恥ずかしいから……私がいない時に、読んで」


「……注文の多いプレゼントだね。仕方ないな」


「ふぅ……ちょっとだけ疲れちゃったな。少し寝てもいい?」


「……ああ」


「アシュ……お願いがあるの」


「……なんだい?」


「眠るまで……抱きしめてもらって……いいかな?」


「……ああ」


「ありがとう……」


            ・・・


「もう、寝たかい?」


「ううん……まだ」


「そうか……」


「急かされると寝れないよ」


「す、すまない」


            ・・・


「もう、寝たかい?」


「……寝た」


「……嘘つけ」


「フフフ……でも、あと、ちょっと……」


「そうか……」


             ・・・


「もう、寝たかい?」








「リアナ……」







「もう、寝たのかい」













「リアナ……もう……」



















「死んでしまったのかい?」






















「なんでかな……」




















「君とはずっと……」

















「……一緒にいたかったはずなのに」




























「おやすみ」














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