第5話 悪夢の夜


この後、私はしばらく記憶を失うことになります。やがて記憶は戻りますが、思い出した順番に書かせていただきます。


死ぬほど恥ずかしいことですが、私は須藤に犯されました。


次に気付いた瞬間、私は全裸で応接のソファーに倒され、須藤に組み敷かれていました。須藤は私の身体を好きなように貪り、舌を這わせ、彼の思うままに弄ばれていたのです。


あまりのことに、気を失いそうでした。恐怖で絶望しながら、やっと声に出して言いました。須藤部長は私を犯したんですか、と。


犯したなんて言わないで。合意だったよ。

信じがたい須藤の言葉に怒りでいっぱいになりました。なぜ私が、須藤とこのようになりたがったなどと言えるのでしょうか。会社の仲間として、話せる年上の友人として心を開いていたのに、こんな仕打ちをされるなんて許せませんでした。


「ユリちゃん、ずっと好きだった。もう抑えられなかった。」

逆らう力もない私に、須藤は一方的にキスをしました。


「俺が欲しいと言って。」

逆らったら殺されるだろうかと思いました。この時はもはや、そんなことを言うぐらいなら、死んだ方がましだと思いました。


「殺して下さい。」

私は須藤に告げました。


そんな、極端なことを言わないで。須藤は少し驚いたように言うと、引き続き私の身体のあちこちに口を這わせていました。もう帰りたい、帰して下さいと懇願しても、俺がいくまでは帰れないよ、と言いながら私の中へ侵入しました。私の記憶はまた途切れました。


その後、どのようにして帰ったのか、私は自宅にいました。夜中の3時か、4時だったか、一度目を覚ました時は夢だったのかも知れないと思いましたが、朝再び目を覚ますと、現実に襲われました。


昨夜の衝撃的な場面が思い出され、屈辱と絶望が押し寄せました。なぜあのような出来事が自分の身に起こり得たのか、受け入れられませんでした。嗚咽が口をついて出ました。自分に対して、私の両親に対して申し訳ない気持ちでいっぱいでした。


許してください、どうか許して、と初めて神様に祈りました。

許してください、助けてくださいと今まで信じてもいなかった、存在を認めてもいなかった神様にすがりました。


ひれ伏し、呻き、声を上げていつまでも泣きました。

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