メダカ
黄金の国、ジパング出身のサカナ。
メダカの学校は川の中、でお馴染みの国産魚なので小学校の水槽で飼育されているのを見たことがある人も多いのではないだろうか。
昔は全国の池や小川に生息する関係上、理科や生物の実験に利用されることもあったが、最近は野生種の数が減少したことで販売される個体の価格も上昇しつつある。そのうち理科の実験に使われるサカナがネオンテトラやアカヒレになる日も近いのかもしれない。ちなみに世界規模で見ると実験用のサカナとして有名なのは繁殖が容易で大量に生まれるうえに、稚魚の多くが無事に成魚になる確率の高いゼブラダニオである。このサカナにブームが来れば熱帯魚店は繁盛するのだが、簡単に増えるので価格も安いうえに川に逃がすような者がいれば爆発的に増えるリスクがある。東京都の多摩川ではかつての熱帯魚ブームに乗っかった、にわか愛好家やモラルや常識の欠如した人間型の生物がグッピーやプラティを捨てた影響で「タマゾン川」などと不名誉な名前がつくほどにこれらの生物が繁殖してしまっている。
熱帯魚やその場で採取したサカナと水草を別の場所に捨てることは犯罪である。見つからなければ捕まらないなどという考えは万引きや痴漢などと同類であり、特に生物を生きたまま捨てることはバイオテロにあたる。サカナや昆虫、植物などは周辺の生物を取り込んで成長するので特にタチが悪い。なので、諸事情により飼育できなくなった生物は他人に譲るか殺処分するように。でないと、かわいそうだからと逃がしたばかりにあなたがテロリストになってしまうのだ。なので必ず生物を飼育する際には責任をとって最後まで飼育してほしい。また、サカナが死んでしまった際には処分方法は人によるだろうが、手を合わせて冥福を祈るだけの精神的余裕が飼育者にあることを切に願う。
どうしてもどこかで書いておきたかったので前置きが長くなってしまったが、混泳に関しては少数ならば全く問題はない。ただし、メダカの仲間全般にいえることだが、大量に入れるのはエサをよく食べるうえに水槽上層を生活圏にすることが災いして、他のサカナが餓死するほどエサが行き渡らないことになりかねないので避けるように。一見非力そうなメダカだが、同サイズのサカナには負けないほど強く生きているのだ。
特に四季のある日本の環境に適応していることから時期を問わず安定した数の個体数を入手することができるうえに状態がよいので、水槽の試運転期にパイロットフィッシュとして入れるのはもちろん、ヒメダカやクロメダカだけでなく、白メダカや楊貴妃メダカなど種類も豊富なので、自分の水槽に合う色合いを選べるうえに丈夫なサカナを入れることができるのは他のサカナにはないメリットである。さらに脅威になる大型のサカナがいなければ容易に繁殖し、水質や水温の適応範囲も広いので他のサカナとは比べ物にならないほど飼いやすく、それと同時に混泳水槽ならば海外のサカナにはない魅力をメダカは気づかせてくれることだろう。
最後に話題が逸れるが、おまけとして外来生物による環境破壊について。
日本にいるとアライグマやヌートリア、オウムやガビチョウなど国内の外来生物のことばかり意識が向くが、海外では日本原産の生物による侵食に悲鳴をあげていたりする。何より四季による環境の変化に適応しているうえに、狭い島国で必死に生き残りをかけた生存競争に勝ち抜いた生物が日本産なので、日本の雑草が良い例だがどんなに抜いても焼いても復活するので、汚染された土地をまるごと草木の生えない土地にする以外に対処のしようがないというありさまである。そのうえアメリカで繁殖している、かつての日本の養蚕業を支えたお蚕さんのエサであるクワに至っては、アメリカの環境が肌に合うのか国内での数倍サイズに短期間で成長して家屋を破壊するという怪獣映画ばりの脅威になっている。バイオハザードといえばゾンビのイメージが映画やゲームで有名だが、ゾンビよりも外来生物の方が恐ろしいことを最近になってアメリカ人は実感し、東日本の震災の影響で海流に乗って米西海岸に流れ着く日本の漂着物に付いた生物に警戒するなど対応を行っているが、病原菌の対策は徹底しているのに外来生物の駆除はまだ被害が少ないからと駆除の規模が小さい日本には危機感が薄いと言わざるをえない。映画やゲームではゾンビが大量発生して人間は絶滅の危機にあったが、外来生物をゾンビと考えればすでにその状態にあるはずなのだが……。
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