第14話 ある少女の話
生まれ落ちた世界は酷く、残酷なものだった。
私は世界に一人だけ。
私は世界で一人だけ。
きっと誰も私を見てない。
お母さんもお父さんも。祖父も祖母も。
家族は私をいないものとして扱う。
なぜ?
答えは簡単だ。
『才能』
私にはそれがなかったんだ。
だから、誰も私を見てくれない。理解してくれない。
私は世界に一人だけ。
だって私を見てくれる人なんていないから。
私は世界で一人だけ。
才能を持たない『無能』なんて私以外にいないから。
この世界は才能世界だ。
それが無ければ生きる資格すら与えられない。
「オイ嬢チャン。オレヲ買ワナイカ?」
聞こえた声は窓の外から?
部屋の中から?
それとも、私自身から?
「才能ハ誰ニデモアル。オ前ガ欲シガルナラオレガ与エル」
あなたは誰?
「オレハ『ハンニ』オ前ヲ唯一、理解デキル存在ダ」
私を?
あなたは私を分かってくれるの?
「アァ」
その声は次第に聞こえなくなっていったけれど、私を置いてどこかになんて行っているとは思わなかった。
だって私の胸は温かさで満ちていたもの。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます