第3話 なるほど異世界?
---さてここで今までのあらすじです!
俺は
病院に入院してたら急に空間がグニャグニャになって、気が付いたら神秘的な祭壇のある空間にいました。
そこで眠ってた女神みたいに綺麗なお姉さんに声をかけたら、今度はお姉さんと一緒に見知らぬ森の中に飛ばされちゃいました!
夢だと思いたいんだけど、覚める気配が無いんですよね~。
しかも何だか嫌な予感がビリビリするんです!これからどうしよう?---
……ふざけてなんかない。つまり俺の現状は今、こういうことなんです。
こういう時どうしたらいいんでしょうか?もう一度寝てみたら良いんですかね?
「ハルト……大丈夫?」
しばらく固まっていた俺を心配してくれたのか、彼女が俺の顔を覗き込んできた。
彼女の顔色は酷く青白くなっていて、内心狼狽していることが容易に想像できる。
……正直俺は全然大丈夫じゃないけど……。
俺だっていい加減、この訳が分からない状況を現実として対処しないといけないと思ってる。
彼女だって、急にこんな場所に飛ばされて訳が分からないはずだ。
俺がいつまでも逃避してる場合じゃないよな。しっかりしないと!
「……ハルト、心配しないで。元いた所に帰る方法は、必ず考えるから……ボクがどうにかするから。安心して」
彼女は相変わらず酷く青ざめた顔で、笑顔を作って見せた。
優しいなぁ……自分も大変だろうに俺を心配してくれて……
……ん?いやちょっと待って。元いた所!?
「元いた所に帰る方法ってどういう事ですか!?
ここは何処なんですか!?俺はどうなったんですか!?
一体今、何がどうなってるんですか!!
教えてくださいよ!!」
俺もギリギリの精神状態だったんだと思う。
自分でも驚くくらい、大きな声が出た。
彼女は何か知っている。
……でも、嫌な予感しかしない。
「………すぐには信じられないかもしれないけど……
ここは君のいた所とはかなり違っていて……。
魔物とか魔法とか神や魔族とか……そういうものがまだ存在しているんだ。
それだけじゃなくて、文明レベルや常識とか価値観といったものまでキミのいた所とは違っていると思う。
キミがどうしてここに来たのかは、ボクもよくわからないけど……
きっと、ボクの
「お姉さんの、
俺は茫然となった頭で、力無く彼女の言葉をオウム返しにした。
嫌な予感が的中していく。
「うん……。ボクは、≪時間と空間を司る神≫なんだ。
……いや、正しくは神だった、かな。
……もうたいした力は残って無くて……
今はキミを元いた所に戻してあげるだけの力も無いけど……
でも、大丈夫だよ。方法は必ず見つけるから……」
彼女は耐えきれずに俯いた。
最後の方は声が震えていたように思う。
それに気づきはしたけど、慰めてあげる余裕なんてあるはずがなかった。
……つまり。
ここは魔物や魔族や神様がいるファンタジーな異世界で?
彼女は時間や空間を操れる神様で?
………俺がこんな変な体験をしているのも、彼女の能力のせい……?
そして、もう力が残って無いから元の世界に戻してあげられないって言った……?
「いや……、そんな。ちょっと何言ってるのか……」
それが本当だったら、冗談じゃない。
理由も分からずファンタジーな異世界に来させられて。
で、帰れない??
全身から血の気が引いて行くのを感じた。
彼女から取り上げたままになっていた杖を握りしめたが、手が震えて力が入らない。
血の気が引いたおかげで妙にクリアになった頭に、あの祭壇で彼女が呟いた言葉がフラッシュバックした。
聞き覚えのある懐かしい声で。
《ハルト……ごめんね……》
「なんで、なんで俺なんですか……」
≪ガルルルルルラア゛ア゛アァァァア!!≫
呟いた俺の声は、突如響き渡った鼓膜を裂かんばかりの叫び声にかき消された。
彼女はハッとしてすぐに身構え、声のした上空へと視線を移す。
俺も耳を抑えながら、つられて上空を見た。
木々の間から大きな翼と4本の脚、荒々しくうねる巨大な尻尾が覗いた。
巨大な翼がついていようとおよそ空を飛ぶ事が信じられないその巨体には、太陽の光を浴びて漆黒の鱗が光る。
ドラゴンだ。
数十メートルは上空を飛んでいるが、圧倒的な存在感だった。
次の瞬間ドンっという派手な着地音を立て、上空を飛ぶドラゴンよりも遥かに凶悪な存在感を放つ男が目の前に現れた。
緑色の髪の間から2本の龍のような角を生やし、耳の部分には人間のそれとは全く違う龍の翼のようなものが生えている。服の間から覗く左手は、鱗に覆われた龍の腕そのものだ。
「突然空から光が現れたから何かと思えば……
お前、何故ここにいる?
低い威圧的な声……
全身が粟立つ様な存在感……
一度見たら忘れないだろう特徴的なこの容姿。
夢で見たあの男、そのままだ。
「魔王……!?」
思わず口に出すと、男が纏う空気が更に冷たく重苦しいものになった。
男の視線が、俺を捉える。
「人間か。……邪魔だ。少し黙ってろ」
龍の形状をした男の左手が、俺に向かってくるのが分かった。
瞳だけが何とか動きを捉える中、俺の体は全く反応出来なかった。
死ぬ。本能的にそう思った。
---俺はまた死ぬのか---
と……
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