第12話 目撃
猫神さまの世界 第12話
「ブローさーん、客だよー!」
ランガン村の森に近い小屋にブローという木こりが住んでいるとか。
村に入って最初にあった村人に聞くと、案内してくれたのだ。
「そんなでけぇ声で叫ばなくても、聞こえてるよ」
小屋の中から出てきたのは、ドワーフの男だった。
ドワーフらしく、髭が立派だった。
ブローさんは、小屋から出てくると僕たち三人を見て首を傾げる。
「……あんたら誰だ?」
それを聞いた村人は、慌ててブローさんに指摘する。
「だから、お客だって言ったじゃないの」
「おお、そうか。すまねぇ、で、何か俺に用か?」
「初めまして、僕たちは『運搬ギルド』で依頼を受けてここに来ました。
町の木工屋さんの依頼で、丸太を20本運んでくれといわれまして」
「……ああ、二グルさんの木工屋か!
確かに、頼まれていた丸太は用意してある。 こっち来てくれ」
ブローさんが小屋から森ヘ歩いて行くので、僕たちもついていくことに。
その時、案内してくれた村人にお礼を言って別れた。
「これだ、木工屋に頼まれていた丸太20本、ちゃんと用意しておいたぜ」
目の前に並べられている丸太。
直径30センチのものがこれだけ集められて積みあがっていると、迫力がある。
しかも、長さが10メートルとなればすごいものだ。
丸太を見て驚いている僕たちに、ブローさんが声をかけてくれた。
「で、どうする? 馬車に積み込むのか?」
そのセリフに、意識を戻すと僕はブローさんに手を振って…。
「いえ、僕たちはアイテムボックスみたいなものを持ってますから。
それに入れて運搬します」
「ほう、三人ともなのか?」
「ええ、そうです」
僕がブローさんと話していると、シャロンさんやシェーラさんが丸太を5本ずつ自分たちがもっている『無限収納リュック』に入れていく。
まず、丸太に手で触れて『収納する』と強く思う。
すると、手で触れていた丸太がその場から消える。
そうやって、丸太5本ずつが積みあがっていた場所から消えた。
「へぇ~、便利なものだな……」
「コテツ君、私たちの分は収納しましたよ。 あとは、お願いしますね」
「はい、わかりました」
シャロンさんに声をかけてもらい、すぐにぼくはブローさんのもとから丸太を置いてある場所へ移動する。
そして、残りの10本の丸太を認識すると空間魔法の『収納』を使い、丸太が消えた。
「おお! 小僧の収納はそのこの女子たちとは違うみたいじゃな」
「ええ、僕のは魔法ですからね。
シャロンさんやシェーラさんの魔道具とは違いますよ」
「ほ~う」
ブローさんは、魔道具と魔法の違いに感心していた。
「ブローさん、丸太の代金はどうしましょうか?」
「あぁ? 丸太の代金ならもうもらっとるから、小僧が心配することじゃねぇぞ?」
「そうなんですね、僕たち運搬だけ言われてたから代金とかどうなっているんだろうと思って……」
ブローさんは僕の質問に首を傾げていたが、質問の意図が分かって納得してくれたようだ。
「小僧、木工屋が丸太を注文するときに料金もいただいてんだよ。
それに木を切り倒すなんざぁ、注文を受けてからだ」
「すみません、聞いてしまって……」
「何、気にするな。 自分が利用することない仕事の仕組みは、何故か気になるからな」
ブローさんと僕たちは、笑いあった。
ブローさんの小屋を離れて、僕たちはこれからまた1日かけて町へ帰る。
そのため、村の出入り口に向かうと、門のところで何か騒ぎが起きていた。
「シャロンさん、門のところで何か騒いでいる人が……」
「ん? 何かもめているみたいね」
僕たちが門に近づくと、その会話が聞こえてきた。
「いいから、早く村長呼んで来いよ!」
「とにかく落ち着いてください、村長なら呼びに行っていますから」
兵士にそう言われ、男の人は深呼吸して落ち着きを取り戻す。
「すまない、とにかく急いでほしいんだよ」
「ここは小さな村ですから、すぐに村長は来ますよ」
「どうやら、男の人が急いでいるようですね」
「しかも、村長に知らせることがあるみたいね」
そんな風に話しながら、男の横を通って外に出ようとすると…。
「お、おい、あんたたち、今、村から出ない方がいいぞ?」
そう声をかけられた。
どうやら今、村から出て行くとまずいことに巻き込まれそうだ。
シェーラさんが考えながら…。
「……どうやら、今は村に留まった方がよさそうね」
その意見に、僕たちも従って留まることにした。
少しして、息を切らせた村長が僕たちのところにやってきた。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
そこに門の兵士がコップに水を持ってくる。
「村長、水だ。 ゆっくり飲めよ?」
「す、すまな、い…………ぷはぁ!
……いや、助かった。 それで、私に伝えたいことというのは?」
僕たち三人を見て、村長さんは少し不機嫌に言ってきた。
「村長、その人たちじゃない。 こっちの男だ」
村長さんは、僕たちと兵士の言う男を交互に見て…。
「何と、それは申し訳ない」
と僕たちに一言謝ると、男に向き直って…。
「それで、私に伝えたいこととは?」
「あ、ああ、実は俺は行商人の御者をしている者なんだが……」
「御者? 馬車なんかを操る、あの?」
「そうだ。 で、この村にも行商で訪れる予定だったんだよ。
ところが、ここからさらに南東にある村から出るととんでもないものを目撃したんだよ」
「南東にある村って、ココル村ですね。
……それで、とんでもないものとは?」
「ドラゴンだ、それも黒いドラゴン」
その場にいる全員が息を飲み込んだ。
ドラゴン。
この世界には何種類かのドラゴンが目撃されている。
町の図書館で調べた時、ドラゴンは比較的おとなしいということが書かれてあった。
ただ、ドラゴンの中には近づいてはいけないドラゴンも存在する。
その代表が『黒いドラゴン』だ。
この黒いドラゴンは、暴れるとか気が短いからではなく、鱗から出る液体が危険なために近づかないように注意されている。
鱗から出る液体に触れたが最後、骨まで溶かされて何も残らないらしい。
そんな危険な黒いドラゴンが目撃された。
しかも、こんな田舎の村で……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます