第2話

 劣等生なる言葉はある頃から下達的に使われなくなったようだが、僕はどう客観的に見てもやっぱり劣等生だった。勉強は出来ずに、体育も苦手で、体は小さく気も弱かった。いじめられっ子というほどのいじめられっ子ではなかったが、周囲の多くの人が僕のことを見下していたのは確かなようだ。

 広い所に出たと思ったら学校の校庭だった。

 アコアグタム中学校。

 僕の嫌いな所。

 今日は何曜日だったろうか。

 思い出せない。

 僕は2年の3組で、ああ今日も登校しなければならなかったはずだ。

 見ろ、何人か知った顔がいるではないか。

 風切音。

 渦巻く棒。

 何かが飛来する。

 僕のすぐ脇の地面でそいつが炸裂した。

 すさまじい爆裂音に僕は自分の耳を塞いだ。

 聴覚が鋭くなっている。

 この音はひどい。

 誰がこんな所で爆弾頭の矢を放ったのか。

 ああ畜生、もしかしてこの矢の標的は僕なのか?

 また悲鳴が聞こえた。

 校門の所に弓を持った奴が二人立っていた。

 警備隊か、ゾンビハンターか。

 惑乱と闘争心が僕の内に二つ同時に湧き上がる。

 心の整理などつかない内に、僕は勝手に走り始めていた。

「敵」に対して。

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