14歳の朝、少年は死んだ。その瞬間から少年は語り始めた。
@ennoshin
第1話
恐怖に引きつった姉の顔。
目覚めて僕が初めて目にしたものはそれだった。
雨の朝。
誰かの悲鳴。
そして母の顔。
僕は走った。
ここにいてはいけないと思った。
パジャマ姿のまま、僕は雨の中に飛び出した。
ドアを開ける時に、自分の手の先に鉤爪が生えていることに気づいた。
迷路のようなアコアグタムの路地。
狭いところにギュウギュウ詰めに家を詰め込んだからこうなる。
僕の姿を見て驚く人。
近所の森谷さんの奥さんだ。
僕は犬歯の伸びた歯でざらつく唇をかみながら、奥さんの頭上を軽々と飛び越えた。
僕の手足は妙に長くなり、運動神経の鈍かったはずの体は猫のような敏捷さで宙を駆けた。
そぼ降る雨の中で、僕は自分の体温の上昇を感じた。
ふいに何も怖いものがなくなって――
なぜか笑い出したくなる衝動に駆られた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます