第11話「歴戦リズムゲーマーVSバーチャルリズムゲーマー」
5月11日午前10時、リズムゲームVSのウィークリーランキング対象楽曲が変更された。
その1週前の結果に関しては後ほど集計されて、火曜日の発表になるようだが――デンドロビウムが逆転したとは考えづらい状況にある。
何故かと言うと、最終的に彼女は1曲だけ未プレイで終わっていた為だった。ランキングはスルーしていたのか、それとも忘れていたのかは不明。
ちなみに、未プレイだった楽曲は既にプレイ済みだった曲であり、解禁していなかった曲ではなかった様子。
スコアがあるのに集計外だったのは、集計期間内にプレイしていなかった為と言うのが有力だろう。
何故に情報が錯綜したのかは不明だが、SNSテロやネット炎上等に悪用しようと考えられた節もある。
ネット上ではデンドロビウム圧勝を考えていた人物もいた為、この状況は――波乱の展開だったと言えるかもしれない。
しかし、それはリズムゲームVSに様々なプレイヤーが参戦している証拠でもあった。
「想定外な結果だったな」
「しかし、火曜に集計結果の発表がある。最後までは分からない」
「だが――」
「結果は予想外の方向になると?」
「そうだ。ウィークリーランキングは一種のイベントであり強制参加ではないが――」
「ランキングに依存しすぎるのもリズムゲームの面白さを半減させかねないだろう」
センターモニターで他のプレイヤーのプレイを見ていたギャラリーも様々な意見を持っている。
彼らはまとめサイト等の記事を鵜呑みにせず、自ら調べた情報のみを信じると言う特殊なタイプかもしれないが。
「展開は想定外と言うべきか、それとも――」
「これを想定外と言っていたら――」
「ジャイアントキリングはめったに起きないからこそ、見ものなのだ――ウィークリーランキング開催の度に起きたら、つまらなくなる」
「しかし――」
「記録は記録であり、破られる物――という意見があるのも分かる」
プレイ映像に関しては、既に別のプレイヤーの物になっているが――ランキングの話は尽きないようだ。
センターモニターに関してはボリュームが小さくなっている訳ではないのだが、モニターからプレイしている曲は聞こえにくい。
(冒頭のジャンル表記にはドラマティックとあったが――ランキング対象外の曲かも)
若干遠目で見ていたのは、順番待ちをしているユニコーンだ。
特に動画で中継告知等はしていないので、ギャラリー内に動画視聴者はいないと思われるが――。
お昼になって、相変わらずの簡易昼食だったのは村正(むらまさ)マサムネである。
今回はジャージの上下ではないが、下はジャージ――上はメイド服と言う状態だ。スカートが面倒な訳ではないかもしれないが。
彼女のテーブルに置かれているのは生ラーメンだが、コンビニラーメンなのは変わりがない。醤油系の野菜ラーメンと言う具合か?
キャベツやもやしが多い気配だが、コンビニラーメンでもやしのトッピングはないらしく――独自のアレンジかもしれない。
「相変わらずネット炎上案件が続くと言うか――」
受付スペースに置かれたテレビは、ニュースなのだが――その内容は草加市内のネット炎上に関する物ばかりだ。
ここにきてメッキがはがれた訳ではなく、この場合は関東地方のニュース枠と言うべきかもしれない。
『次のニュースです。埼玉県は、地方活性化の一環として――』
このニュースを聞いたムラマサの手が止まる。ラーメンに手を付けようとした所なのだが――。
「どういう事――!?」
ニュースの映像を見ても、詳細な内容は伝わってこない。
映像は越谷駅付近とテロップは出ているのだが、草加市で行われているようなコスプレ解放、ARゲームエリアの様な分かりやすいものとは――違うのだろうか?
『既に草加市等ではプロジェクトは進んでいる一方で、他の市町村では遅れているのが現状の様です――』
やはりというか、ここまでやるのか――というニュース内容だった。
草加市はアニメやゲームで地域振興を行う一方、他の市町村が足並みをそろえない理由の方を報道していたのである。
まるで、これがSNSテロの引き金としたい位の――何者かによる悪意をニュースの内容から察した。
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