7-3
リズムゲームVSで導入される予定だったアバターシステム、それはリズムゲームにおける演奏部分に該当するシステムだった。
ドラムタイプでは実際のドラムをモチーフとしたデバイスで演奏し、ギタータイプでは弦は付いていないがエアギターに近いような演奏感覚があるだろう。
タブレット端末でアバターの操作を行い、そのアバターが演奏を行うシステムだが――別のゲームで類似システムがあった関係で不採用となった。
これが影響してのスキル凍結事件に直結したのかは定かではない。
ある意味でも操作感覚を変え過ぎているとネット上でも言及されていたのだが、実際にプレイしないと細かい部分の評価はできない。
俗に言うエアプレイ勢によるコンテンツ炎上行為――リズムゲームVSでも問題視されていたことだが、このシステムを使用していたリズムゲームはロケテから稼働初期辺りでは何度か炎上している痕跡もあった。
しかし、この辺りの部分に関してはいつの間にか空気化したと言う印象があり――エアプレイも気が付くと言及されなくなった様子。
エアプレイにしても、アンチ活動にしても――ネット炎上要素を根絶させようと強硬姿勢を見せている過激派がいたのは事実だが――。
結局、その辺りの動向も曖昧なままで黒歴史化した傾向であり――真相は今も明らかになっていない。
「結局は――繰り返すのか。全ては――特定勢力の思うままに」
アバターシステムに言及されたまとめ記事をタブレット端末で見ていたのは、ゲームのプレイ予定がないのに『オケアノス・ワン』へ向かっていたビスマルクである。
4月17日、このまとめ記事がアップされた事で――様々な事件が特定のアフィリエイト勢力やアンチ勢力による物と言及されたも同然であり、彼らの活動は大きく縮小する事となった。
これでようやく、邪魔者が全て排除された――というのは時期尚早と言える。
「まるで、ヒーロー物のシリーズを思わせる展開だが――」
ふと足を止め、ながらタブレットになりかけていた状況を――自分で止める。
ながらタブレットで自転車と衝突したり、思わぬ事故に発展するのは目に見えていたからだ。
(あの行列は――)
ながらタブレットを止めたビスマルクの視線、そこにはパチンコ店に並ぶ一般客の行列があった。
さすがに煙草を吸いながら待つようなマナー違反はいない。草加市では歩きたばこや歩きスマホと言った物にも罰金が設定されていたからである。
ビスマルクがながらタブレットを寸前で止めたのには、こうした事情がある。罰金の金額は最悪のケースで1億円という話もネット上に拡散しているが――デマなのは間違いない。
(真相を運営側が明らかにしないと言う事は――)
タブレット端末でビスマルクの見ていたのと同じまとめ記事をチェックしつつ、ユニコーンは別の疑問を抱く事になった。
何故、自分を呼びだしたのか――と言う意味でも。本来であれば、真田(さなだ)ソラの指示を受けて動いていたはず――。
それが途中からアルタイルが出現し、気が付けば一部の大手まとめサイトを掌握していた芸能事務所は解散という結果となり、急展開の決着を迎えていた。
まるで、今までの展開を一度リセットし、仕切り直しでWEB小説をアップしていくような――。
(最初から、真田は一連の炎上勢力をつるしあげる目的だったのか)
炎上勢力やまとめサイト管理人が撤退したり、アフィリエイトサイトや不正なスパムメールを送信していた企業にも警告が入り、その背後には大手芸能事務所がいた事も判明する。
結局、SNSテロやネット炎上の陰には芸能事務所AとJが関与し、それらが全ての2次元コンテンツをかませ犬として自分達のアイドルを売り出す為の経験値とするような行為――。
明らかに夢小説やヘイト創作、アンチ勢力のまとめ記事等で行われるような妄想を――ノンフィクション化させようとしたのが、一部の過激派勢力だと言う事を聞く。
(まるで、本当の主役は――)
いわゆるアカシックレコードに記載されているような夢小説における二次創作のオリジナル主人公無双――それを完全に否定し、こうした炎上の火種を根絶しようと言う気配が感じ取れる。
しかし、本当にそれだけなのだろうか? 一連の事件に関する真相が黒歴史化した事には別の事情も関与しているのではないか――と。
(どちらにしても、決着を急ぎ過ぎたことで全てが破たんしたのは――)
特定勢力の暴走は、もしかすると芸能事務所が急ぎ過ぎたのではないか――と考える。
しかし、何を急いだのか? スポーツの国際イベントか? それとも経済を変えるような法案か? もしくは――。
(一連の勢力は――)
スキルシステムは精錬されて再調整――というネット上のまとめサイトにおける言及が正しいかは不明だが、賛否両論なのは事実だった。
この流れが良いのかどうかは不明だが、一方的にアンチやまとめサイト管理人等が営業妨害と言えるような炎上行為を行う事が問題――なのかもしれない。
リズムゲームVSにアバターの方が実装されたとしても、別ゲームと化してしまっては『新作で出した方が早い』と批判されるのは明白だ。
午前11時30分頃、ビスマルクとユニコーンの2人が向かっていた場所は同じであり――入口付近で偶然遭遇した。
お互いに知っているような気配もするが――反応は真っ二つに分かれる。
「バーチャルゲーマーのユニコーン……」
(まさか、ここでプロゲーマーのビスマルクに会うなんて――想定外にも程がある)
ビスマルクはポーカーフェイスでユニコーンの方を見つめていたが、向こうは明らかに意識――していなかった事もあって、言葉にならない驚きを表情で見せた。
その後、ユニコーンは無言で顔を赤くして――リズムゲームVSの設置されている2階へ続くエスカレータに向かう。
「少し――やりすぎたか」
ビスマルクとしては、ユニコーンの事を知った上で試していたのだが――この反応は予想外である。
後で謝るべきか――色々と考えていたのだが、まずはエレベーターで2階へ向かう事にした。
10分後、ユニコーンは別のゲームのセンターモニターをチェックしていた。
そのゲームはリズムゲームだが、タイプとしてはアバター系と呼ばれる物である。
(アバター系ならば、そのまま――)
画像を見て、ふと思ったのはバーチャルゲーマーとしてのアバターを流用できないか――と言う事だった。
しかし、システム的には流用は難しい。下手に使おうとすれば不正ツールとして弾かれかねない状況である。
この辺りはARゲームで起きた事例やリシュリューを巡る事件を書いたとされるまとめ記事で把握済みだ。
(両方をプレイするよりも、まずは――)
オールラウンダーを決め込むのもありと考えていたが、まずはリズムゲームVSである。
デンドロビウムは別の意味でも特殊事例なのだ。彼女と同じような事を簡単に出来るとは思えない事情もあるだろう。
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