2-2nd. ED 開運

 知識と経験は、アウトプットが出来て初めて価値を生む。吸収や積み重ねだけなら誰でもできるが、整頓が不十分な記憶の引き出しや形成できない経験など、宝どころか時間の持ち腐れに過ぎない。特に格闘技においては一手、刹那のミスで敗北に繋がるのだから。


『さあ、1st.EDも残り時間わずかとなりました!』

「かぁああ!!!!」


 1st.EDの開始から18分が経過した。ディスプレイに映る残り時間2分の情報とアナウンスに剛池がラストスパートをかけるべく吠える。


 剛池は、前屈立ちの姿勢から右足を後ろにずらした不動立ちの型より空をも裂く全体重を一点集中させた左突きを繰り出す。そしてその腕を右に180度捻る。続けて、左腕を後ろに引くと同時に右手からの迅雷のよう攻防を兼ねた手刀を放ち、ちょうど肩幅の位置で止める。


 どちらの一撃も鍛えていない者が喰らえば、致命傷になりかねない破壊力であることは素人目でも判断できる。だが、その攻撃はトシには届かない。その目標は、剛池の目前にあるホログラムキーボードである。ちなみにデスクは床に収納されており、トシからは彼の全身が映る。


 一枚、ちょうど拳サイズほどのキーパネルが20枚ほど、それが1~3枚を一列一組して縦に並べたシンプルかつ珍しいライズ・フィールドが展開される。最初はその配列が何だか分からなかったが、それが人体の急所、経絡・経穴を象っていると気付いたトシは冷や汗が出た。


 少ない枚数のキーパネルながら、それを打ち込む、もしくは手が掠る度に剛池は手首の軌道や角度を変えて、文字をフリック入力するという極めて消費カロリーと攻撃力の高いタイピングを披露していた。一方、トシは……


 カタカタカタカタカタカタカタ……タンタン


 ホログラム・リアリティことHR(投影現実)の誕生で失われた文明の遺物、キーボードを用いた高速タイピングは、HRにもひけを取らない魅力があるはずなのだが、剛池の動作と比べるとどうしても地味に見える。先般の校内選抜で見せた芸術的な迫力も空手演舞の前では霞んで見えた。


《なにこいつらのノベライズは笑笑笑》 《これhひど》《ひょっとして拳法vs紙相撲?》《ソウルライドまだ?》 《パフォーマー対決とかレアじゃね?》 《すめらぎ以外はザコのあつまり》


 ルーム内、二人のノベライズの邪魔にならない位置にメッセージが次々と流れては消える。


 すべてのノベライズはスタジアムのロビーをはじめ、ネット配信でリアルタイムで閲覧することができた。予選一回戦からここまで閲覧者やコメントが書き込まれるのは珍しいのだが、筆聖ひっせいこと皇義 莱斗すめらぎ らいと のノベライズを閲覧するついでの書き込みである。


《こいつスメラギにびびって泣いてるぜ 笑笑笑》……《あ、書き込むルーム間違えた》


 どうやら、1st.EDで既に勝負がつきそうなノベライザーもいるようだが、ノベライズの勝敗は見た目で決するわけではない。肝心なのは物語である。そして……


『アウト・ライズ!』


 1st.ED終了を告げるブザーとアナウンスがスタジアムに響いた。

 拳法タイピング VS アナログタイピングという、異色対決の第1ラウンドは、互いにノベライズ・ハイには至らず、ソウル・ライドなしに終わった。


「だいぶ身体が暖まってきたぜ! 野鐘、お前なかなか面白いノベライズを見せてくれるじゃねえか!」


 肩を揺らしながら呼吸を整えるトシに対して、剛池は汗こそは浮かべているがまったく息切れしていなかった。その証拠に大声で相手を讃える余裕すらあった。


『それでは、1st.EDのアナライズに入ります! 果たしてどんなライズ・ノベル……ラ・ノベが見られるのか注目です!』


 各選手たちの作品データがネット回線を通じて【(R)izing Seed】ライジング・シードのホストコンピュータに送られてレギュレーション解析が行われる。その結果が出るまでわずか数秒。そして各ルームのホログラム掲示板に解析結果が表示される。


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1【MASATOSHI – NOGANE】

字数:12,664 整合率:99% (R)ize Novel release


2【DAICHI – GOUNOIKE】

字数:10,213 整合率:92% (R)ize Novel release

Except Foul Rise Granted Point:2

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 1st.EDはともにアウト・ライズだったので、先攻・後攻はランダムで決まる。二人とも文字数、整合率ともに条件はクリアした。トシは入力の正確さこそ出ているが、時間の割に字数が心もとない。一方、字数、整合率ともにギリギリだった剛池の情報欄には一文追記されていた。


「なんだ、 エクス……なんとかグラン…俺に2ポイントくれるのか?」


 状況が呑み込めない剛池だが、その逆である。掲示板には『ライズ・ノベルとして認める。ただし、反則として相手に2ポイントが付与される』と表示されている。つまり、トシが2ポイントを獲得したことを意味していた。


『おっと!第5ルームではファール・ライズが発生しました。どうやら剛池選手のカウントダウン中に相手の搖動を強く誘った行為がノベライズシップに反すると判断されたようで、ペナルティとして野鐘選手に2ポイントが入ります。ただし意図的、悪質ではないことも考慮しての得点とのことです』


 ノベライズでは、稀にろくにルールを知らないノベライザーが、予め用意した大量のテキストや文字数稼ぎでコピーペーストに及んだり、登録した辞書機能、予測変換を用いて長文を即座に打ち込む行為でファール・ライズとなるケースがある。しかし、剛池のような行為で反則点が生じるのは珍しい。


「くそっ、俺としたことが! やるじゃねえか野鐘!」


 剛池は片膝をついて拳で床を鳴らす。


「まだ何もやってないだろが……。幸先がいいぞトシ。このままEX(エクセレント)でも取れば、1st.EDでノルマの半分以上到達だ」

「わからないよ天馬。逆にこのまま2ポイント差になる可能性もある」


 そのとおりだった。些細な慢心で痛い目に遭ったのは自分自身であること、そして何より、わざわざ相棒の油断を導く発言をしたことに天馬は反省する。


 どうやら、チャージャーという役目も奥深く、やりがいがありそうだ、と天馬は思った。


『1st.ED:ジャッジ・ライズ……先攻、野鐘 昇利』

『ライズ・ノベル【黒ネジ鬼気一発】』


 合成音声とは思えないリアルな自然口調のアナウンスが聞こえると、人ひとりが収まるほどのアブストラクトな電子模様をしたホログラム製のボックスゲートが出現して、トシと剛池を包み込む。


 そして、作成した文章情報を特殊な波長光線や音にして、相手にそれを転送して速読させることを可能にした仮想刷込情報、STIが発動した。


 STIに変換された、トシのライズ・ノベルのデータは螺旋状のビームとなり剛池の全身を往復し、通常の聴覚では聞こえない特殊な周波数を通じて全細胞を巡る。


 果たしてどんな概要と評価が見られるのか、天馬はその様子を静かに見守る。


―――――――――――――――――――――

【黒ネジ鬼気一発】 ジャンル:SFアクション


 かつて巨大隕石の衝突によりあらゆる文明と資源が滅びかけた地球だったが、その隕石から採掘された石炭と酷似する原子構造を持ちながら自己増殖する物質『跡炭』により、人類は蒸気をエネルギーの糧とした新たな歴史を歩んでいた。


 小さな蒸村に暮らし、将来は蒸気エンジニアを夢見る少女セリナは、裏の谷に落下したスチーム・ノイドと世界の秩序を乱す存在“蒸鬼”からの脱走を図った青年ロックスと出会う。最新鋭スチーム・ノイド『黒ネジ』を修理し彼を保護したことで組織、国家から追われることとなった二人の運命は?今ここに新たなスチーム・パンク浪漫が始まる。


【RP:リスペクト 2ポイント】

―――――――――――――――――――――


 ディスプレイに映し出された結果は、上から二番目となる得点である。


「ファールと併せて4ポイント! 悪くないなトシ。このペースで行け」

「うん……でも、EXが取れると思ったんだけどな。冒頭から剛池さんが楽しめそうなバトル描写を書いたつもりだったんだけど……」


「冒頭、序文だけでこれだけの反応はあったんだ。このペースで書き続ければ、次はEXだって圏内だ。自信を持て」

「……ありがとう天馬。やれる気がしてきたよ」


 こういう時、チャージャーとして筆者を不安にさせない精神的な支えは大きい。


『1st.ED:ジャッジ・ライズ……後攻、剛池 大地』

『ライズ・ノベル【隻腕の合成獣士ワンハンド・キメラ】』

  

 続けて、剛池の作品がSTIとなってトシに転送される。


「野鐘!お前のラ・ノベ、すげえ面白いぞ! ちょっとよくわかんねえ用語があったけどな!」


 剛池は感想を直に述べる。実はトシの作品はかなりレベルの高い仕上がりであった。もしもの文明と技術を舞台にした地球。ヒロインの打算のない純粋さから見た広く知らない世界。心を閉ざした青年が初めて味わった人間の温もり。そんな二人の主人公が織り成す物語は、開放の黎明とも言える完成度を誇っていた。


 ただし、ロボットやSF、工学知識に嗜みがない剛池には少し理解が難しい点もあったらしく、そこがEXに届かなかった要因である。ノベライズにおいて、優れた筆力、豊富な知識=有利とは限らない場合もあることを示していた。


―――――――――――――――――――――

【隻腕の合成獣士】 ジャンル:ダークファンタジー・ボイルド


 人間の心を持ち、小翼竜とエルフの合成獣士として生を受けるも、片腕がない失敗作として世界の果てに捨てられたカイルは、人間だった頃の僅かな記憶を頼りに旅を続けていた。ある国で行方不明になっている第一王子の特徴と背景が自分の記憶と重なったカイルは藁にもすがる想いで国を訪れるが、そこで王位継承の座を巡る謀略に巻き込まれる。


 戦いを拒もうとするも、異形の姿と埋め込まれた合成獣士の本能はそれを許さない。血だまりに零れる一滴の涙は人間の証か、それとも……。


【RP:リスペクト 2ポイント】

―――――――――――――――――――――


 ディスプレイに映し出された結果はトシと同じだった。


「ちくしょう!2ポイントか!」


 トシの作品とは対象に剛池のラ・ノベは、ダークなテーマが題材み反して軽快な描写が目立った。語り口調な表現は読み易さを誘うが、逆を言えばアニメのシナリオを文字で読んでいるような感覚である。しかし、ストレートながら設定はかなり錬成されているので、感受性を刺激しやすい有利さはあると言える。


1st.ED

【NOGANE:4― 2:GOUNOIKE】


『それでは皆さん2ndEDに入ります! ノベライズ続筆の場合は合図、意思表示をお願いします!』


「ネクスト・ライズ!このまま一気に畳みかける!」

「面白くなってきた。当然、ネクスト・ライズだ……コォオオオオオオオオオオオオオオ……」


 二人のノベライザーはともに続筆の意思を示す。そしてカウントダウンと同時にトシは即座にキーボートに手を置き入力体勢を取るが、剛池は膝をやや曲げながら右足と右手をゆらり前に出す。背筋を伸ばして仁義を切るような構えと共に、深く長く息を吸い始めた。


「あれは確か、息吹……?」


 造詣とまではいかないが、格闘漫画などの範囲で多少知識があるトシはあの動作を知っている。深い複式呼吸により、気力と落ち着きを巡らせる拳法や空手などの基本であり上達、実戦に欠かせない技である。


 ポイントはトシが勝っているが、あくまで剛池のミスによるものであり、戦況はすぐに覆る。今の時点で実力は互角である。


 正直、ノベライズ開始前、トシにわずかな安心感が巣くっていた。拳法の使い手というノベライズとは無縁そうな世界と初心者という剛池を心の底では、“これなら勝てる“と見下していたかもしれない。実際はパフォーマーどころか圧倒的な筆力を持ち、そして全力でぶつかってくる彼に気圧されてしまった。


 勝てるのか……? トシの中で今日初めて不安感が過ぎった。


『ゴォオオオオ・ライズ!!』


「はぁ嗚呼!!」

「……あっ!?」


 2nd.ED開始の合図と剛池の掛け声でトシは我に返る。最初に目に入ったのは、剛池の右足を軸に地を掠るように這う高さで半円を描いた、左足の水面蹴りだ。床にマットのように配置された、水平のホログラムキーボードが反応して文字を紡ぐ。


 トシは完全に出遅れた。まさしく足元を掬われてしまった。

 そこから剛池は、正拳、側拳、伏拳、表・裏拳、底拳、開掌拳、掌拳、手刀拳、頂拳、表・裏足、表足、刀足、踵足、直突き、前・後拳面直突き、連撃面直突き、押さえ直突き、後拳胴直突き、揚げ蹴り、突き蹴り……etcと拳法のフルコースを繰り出す。


 トシから見れば人間離れした躍動に加えて、天馬以外とのノベライズ経験がない乏しさにどこか浮足が立っている。実戦馴れしている剛池との差が顕著に表れていた。


 何とかタイピングに集中しようと、トシは文書画面だけに視線を固めようと自らに言い聞かせるが、剛池のさらに高まる闘争心は、猛攻を猛襲へと変貌させる。


「来るぜ……来るぜ……!」


 熱を纏った身体と猛進の筆力によるノベライズ・ハイに突入する剛池。その時、彼の腕に巻かれたリスト型の端末から黒光を放つ巨岩石が飛び出し、その頭上に浮遊する。


「ソウル・ライド……!」


 トシは焦りの声を漏らす。

 そこから黒き岩石は、ひび割れながらまばゆい光を放ち、そしてバラバラに爆発四散したかと思いきや、再び中央に戻り巨人の姿として形成される。そのどんな攻撃も通さない厚き剛壁は、自らの砦を守る番人か、それとも誰かの為の守護神か。


―― 磐誇ばんこたる護攻拳ごこうけん ガディア・バルドム ――


「打って!打って!打ちまくれ!ガディアぁ嗚呼々々々!!!」


 ただでさえ優れた速度と破壊力を持った、剛池の拳法タイピングの勢いがさらに増した。実際には変化していないのだが、ソウル・ライドのホログラムが次々に放つ拳打や蹴撃がそう錯覚させる。


「あ、あの野郎、無茶苦茶だ!」


 執筆はもはや闘筆となり、文字どおり猛襲と化した剛池のタイピングに、天馬は思わず両腕で身を守りながら驚きの声をあげる。


 ソウル・ライドが放つ攻撃の動作は、主に筆者の意思や指示に大きく反映されるが、そちらに集中しすぎると執筆に影響が出るどころか、最悪はソウル・ライドと執筆の集中力の両方を失う可能性がある。ところが、剛池は執筆速度が衰えることなく、ソウルライドを巧に操っていた。もはや操作ではなく、一心同体である。


 ─ 筆心導態ひっしんどうたい ─ トレージング・ソウル

 攻撃と入力が一体となった、拳法だからこそ可能とした筆刷技ひっさつわざである。


 執筆に集中できないということは、当然、ソウル・ライドも発動しない。もはやトシはサンドバックと化していた。


「エンド・ライズ…………コォオオオオオオオオオ……」


 時間を僅かに残して剛池は執筆を切り上げる。そして、再び “息吹“ を見せる。目的は激しく消耗した体力の回復だが、ソウル・ライドが消えないようにノベライズ・ハイを保つべく、気合いを籠めることも忘れない。


『アウト・ライズ!』


 遅れた分を取り戻そうと、ようやく執筆に集中できたトシだったが、その時間は短く、瞬く間に2nd.EDの終わりを迎えた。


『それでは、2nd.EDのアナライズに入ります! 』


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1【DAICHI – GOUNOIKE】

字数:10,495 整合率:92% chein (R)ize Novel release


2【MASATOSHI – NOGANE】

字数:9,709 整合率:99% reject

Unformed Point:3

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「なんだぁ!? また野鐘のやつに今度は3ポイント入るのか?」


 ディスプレイに映った結果に剛池は眉をしかめながら声を荒げるが、1st.EDとは逆である。『reject:没』『Unformed:未完成』とは、すなわちトシのペナルティであり、剛池に3ポイントが入る。


「あ……!」


『おっと!第5ルームで今度はアンフォームドが発生しました! 野鐘選手、字数がわずかに規定に届かず。整合率も高いだけに、これは心筆しんひつともにかなりの痛手となりそうです!』


 まさか、トシの文字足らずをまた見ることになるとはな……。

 かつて天馬が何十回と嘲弄したトシの出来損なったラ・ノベ。それを呆然と立ち尽くしながら声を漏らすトシと無残な結果に思わず目を背ける。


『2nd.ED:ジャッジ・ライズ……剛池 大地』

『チェイン・ライズ・ノベル【隻腕の合成獣士】②』

  

 このエディションでは、ペナルティに加えて攻撃権も失ったトシに容赦なく、STIとなって転送される剛池の続編。結果は【RP:リスペクト 2ポイント】と1st.EDと同じ点数を叩き出す。


 文章力は1st.EDと変化なく粗削りだが、自分の存在意義を問い求める主人公である合成獣の心の叫びが、ひしひしと伝わってきた。


2nd.ED

【NOGANE:4― 7:GOUNOIKE】


 得点は一気に引き離され形勢が逆転した。トシのライズ・ノベルが成立さえしていれば、点差は縮まらなかったか、最悪でも同点で済んでいただけにこの展開はかなり窮地だった。


「ネクスト・ライズだ! 」


 あれだけ激しい動きを見せながら、呼吸を整えた剛池はソウル・ライドを維持していた。今にも相手を焼き尽くしそう炎の闘志で続筆の意思を伝える。


「ネクスト・ライズ……!」


 トシは何とか弱気を悟られないように声を張るが、このままの状態で3rd.EDに突入すれば、先ほどの二の舞になるのは明白だった。


 そもそも、剛池の実力が最初から発揮されていたら、この時点で決着がついていた可能性もあった。ある意味、今の状況は幸運なのかもしれない。


 幸運といえば……その時、トシにある閃きが走る。


「天馬。教えてほしいんだけど、字数不足で『reject:没』になったライズ・ノベルって、次のEDでも使えるの?」

「問題ない。だが、それをもう一度執筆できるだけの集中力が出せるか?」


 質問を質問で洗われたトシの顔は、無理して平静を保とうとしているのが見え見えだった。


『それでは3rd.EDに入ります!レディ・ライズ!』


「……ところで天馬。僕の今日の占い結果は最高って、さっき言ったよね?」

「なんでまた、そんな話をする」


 『……9……8……7……』


 トシが何か根拠も確実性もないことを企んでいると、天馬は察した。


 『……6……5……4……』


「新しいことにチャレンジする絶好のチャンス。成功間違いなしだってさ」

「……その番組の占いだが、実は俺も見たよ。こっちは二位だった」


 『……3……2……1……』


「それで占いの内容は?」

「ピンときたらその直感を信じてヨシだとよ。今日くらいは、あの占いに乗ってもいいかもな」


『ゴォオオオオ・ライズ!!』


 起死回生と占い結果の信頼を賭けた、3rd.EDが始まった。

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