第四章 『PIECE OF MY WISH』05


「――――」


 ひとり、自室で、彼女はメモリーカードを数えている。

 一枚一枚、そっと指先で触れながら。

 それが、今日、100枚を超えた。


 ついに、その時が来たのだという思いに、背筋から鳥肌が立つ。

 一枚平均10匹、それがおよそ104枚。

 1000匹のヒズラギを集めた時こそ、その時だ。

 

「なにも言えなくて、ごめんね、東雲くん、佐々河くん」


 彼女は知っている。

 自分の中にある"揺らぎ"が、教えてくれているのだ。


「とうさん、かあさん、待ってて。すぐに、いくから」


 いまこそ『扉』が開く、と。




 ――わたしはここにいては、いけない。




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