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「でも先輩ったら全然私のこと見てくれないし」

「いや、ちゃんと顔見て話してるじゃん、一応」

「一応って。ってかそういう事じゃなくてッ。物理的に視界に入りたいとかじゃなくて、心の、気持ちの中に私を入れて欲しいってことなのッ」

 なるほどなるほど。先輩に自分の事を気にして欲しいと。

「いや、入ってんじゃないの? だってあんなに追い掛け回していたら嫌でも頭の中にあんたがいるでしょうよ」 

「ちょっと、追い掛け回すなんて誤解のある言い方をしないでくれる? 毎日先輩の顔を見に行ってるだけじゃない」

「いや、毎休み時間でしょ」

「いやいや、さすがに毎回じゃないけど」

「あんたが押し掛けるせいで先輩たちは昼ごはん、ばれない様に色んな場所で食べているらしいよ。まぁそれでも懲りずにあんたは先輩の席でお昼食べているんだから本当凄いよ」

 先輩の席で、先輩いないのにご飯食べているの? え、まじか・・・先輩、どんまい。恋は盲目なんて言うけれど、盲目と言うよりは猪突猛進?

「ってかあんただって喜んで付いて来てるじゃないの」

「私はあんたの付き添いってだけだし」

「嘘吐かないでよ、本当はあんたも先輩の顔が見たいんでしょ」

 ん・・・? ちょっと待って。傍観者面だった友達ももしかしてそっち側の人間だったの?

「シモダ先輩の方がカッコいいから」

「なっ、ハシノ先輩の方が背が高くてカッコいいから! シモダ先輩チビだし」

「いやいや小さいのにカッコいいってのがギャップで良いんでしょうがっ。まったくなんでハシノ先輩と友達なんだろ、凸凹が目立っちゃうってのに」

「本当引き立て役ご苦労様でーすッ」

「そのまんまお返ししまーすッ」

 わぉ・・・なんてこった。ここには恋する乙女が二人もいたのか。いや恋(?)する乙女、か。

 女の子って本当、男が想像するよりも何倍も強かだ。

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