計画
ツヤマの訳を聞いた僕は、彼がなぜ僕を拾ったか納得した。
人とコミュニケーションが取れるカラスなんて、特殊だ。叩かれても、賞賛されても、注目を浴びる。
「そういえば、お前はどうしてだ?」
僕は質問の意図がわからず、『?』と書く。どうして?と書くより、随分省略できる
「お前はどうして、俺に飼われようとしたんだ?」
それは当然の疑問だ。僕は彼に、理由を話していない。
話しそびれた、というよりは、話したくなかった、という方が正しいと思う。どうしてかはわからないけど。
でも、話さないのは、ツヤマに対して不誠実な気がした。
だから話した。あの街での出来事を。彼女との事を。
全てを書き終えたので、僕は紙をツヤマに見せた。それに目をやり、腕を組んで
「なるほどなぁ……」
と、呟き、目を瞑り考え始めた。
しばらくしてだろうか、「利害は一致しているか…」という呟きが聞こえたが、目を開ける様子がない。
近所迷惑だが、仕方ない。
僕はしばらくぶりに、カァー!と鳴いて、ツヤマに紙面を見るように促した。
『お前はどうするんだ?』
僕の問いに、目を開けたツヤマはいたずらっ子みたいな笑みを浮かべて、心底楽しそうに、
「なに、簡単なことさ」
そう言って、ツヤマはカメラを取り出した。
「お前は、簡単な質問に答えてくれればいい。」
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