4話「星崎祭・昼」

「そらちー! また後でね!」

「うん、しんたろうまたねー!」

学校が終わり、ようやく下校。

今日は星崎祭があるために、短縮授業&部活休養日であったため、あまり長くは感じなかった。

帰ったら星崎祭行くまで結構時間あるし、なんか作ろうかなー、なんて考えつつ歩いてたら、お兄ちゃんが隣にいないことに気がついた。

「いつもだったら一緒に帰ってるけれど、そういえば今日、お兄ちゃん色々準備があるって言ってたなー...今日は一人か」


なーんて独り言を喋っていたら、ワゴン車が星見崎中央公園入り口付近の道路に止まっていることに気がついた。

そしてその車の前には、まるで不審者の格好をした男性が立っていた。

現在の時刻を腕時計で確認しつつ、近付いてみると、やっぱり話しかけられた。


「ねえそこのお兄ちゃん、家は遠いかい?」

なるべく今その人の存在を気づいたように話しつつ、少しとぼけつつ言った。

「家、ですか?」

「家が遠かったら送って言ってやろうと思ってな」

「いえ、大丈夫です。家は遠いですがそこまでではないので。ちなみに、あなたと僕はどういう関係性がありますか?」

嘘だ。家はここから目と鼻の先にあるレベルの近さで、家が遠かったのは小学校の時だった。

「君とは、君のお母さんの知り合いという関係性だよ」

「そうですか、でもそれは嘘ですね、っと!」

僕は男を車へ投げ入れ、そっとドアを閉じた。投げ入れたが、流石に怪我はしていないはずだ。

「さて、ちょっと報告しに行こうかなっと」

僕はその場で勢いよく走り、学校までは10秒弱で到着した。

運良く玄関前に担任がいたので、さっき起こった話をし、納得してもらえたので、あいつはいろいろとすごいことになるように願っておこう。





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