5話「星崎祭・夜」

「ねえねえお兄ちゃん、あそこにソフトクリーム屋さんあるよ、食べに行こ!」

星見崎神社には、複数の屋台があった。ソフトクリーム・射的・わたあめ・くじ引きなど、ちょっと昔を感じるような屋台があったけれど、僕の目的は屋台じゃない。

 ––綺麗な星空を撮り、流れ星に願いをすること。

それが僕の目的。

「お、そらじゃん、宙も願い事しに来たの?」

 話しかけて来たのはゆいちゃんだった。

「まあ、そんなところだね。ゆいちゃんも?」

「そう!私は〈宙君がこのまま可愛いままでいますように〉って願おうと思ってね」

「そうゆうのやめて、ちょっと照れるから...」

 彼氏ができますように、や人間関係が良くなりますように、なんかではなく、まさかの僕が可愛いま

までいてほしいって...

 予想していなくて、少し照れがっていたら、

「あ、俺もそれ願おうと思ってたわ!」

 と声が聞こえた。

「この声はー...しんたろうくんか!」

「ぴーんぽーん!正解!よくわかったねぇ!」

「そりゃ毎日会ってるからね...しかも朝話してたじゃん」

「あ、そういえばそうだったな、ははは!」

そんな話をしながら、僕たちは屋台を少し回って、祭り本番の時刻まで、話をしたりした。

笑い話とか、ネタ話とか。思いついた単語で文章を作ったり、壊したり、突っ込んだり。

そんなことをしていたら、ようやく、町の灯りが消え始めた。

ーそろそろかな。

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