「ゴジラVSコング」(2021)……二大怪獣真っ向勝負!真の王はどっちだ

原題「Godzilla vs. Kong」

製作国:アメリカ

監督:アダム・ウィンガード

製作:メアリー・ペアレント、アレックス・ガルシア、リック・マクレオド、ジョン・ジャシュニ 、トーマス・タル 、ライアン・ロジャース

製作総指揮:ジェイ・アッシェンフェルター、ハーバート・W・ゲインズ、ダン・リン、ロイ・リー、坂野義光、奥平謙二

原案:テリー・ロッシオ、マイケル・ドハティ、ザック・シールズ

脚本:エリック・ピアソン、マックス・ボレンスタイン

撮影:ベン・セレシン

美術:オーウェン・パターソン、トーマス・S・ハモック

衣装:アン・フォーリー

編集:ジョシュ・シェファー

視覚効果監修:ジョン・“DJ”・デジャルダン

出演:アレクサンダー・スカルスガルド、ミリー・ボビー・ブラウン、レベッカ・ホール他


 ゴジラとキングギドラの戦いから5年。髑髏島のコングは、モナークが建設したドームの中で管理されていた。ゴジラから守るための措置だったが、成長したコングにとってドームは狭く、苛立ちを募らせていた。

 一方、ずっと姿を隠していたゴジラは、突如としてエイペックス・サイバネティクス社の工場を襲撃。破壊の限りを尽くし、再び海へと去っていく。救世主と謳われていたゴジラだったが、この突然の破壊行動によって、世間はゴジラを危険視し始める。エイペックス社は対ゴジラ用の新兵器開発に必要なエネルギーを入手するため、怪獣たちの発生源と目される地下空洞への突入を画策。そして、その水先案内人としてコングを利用することとなった。地下空洞の入り口がある南極大陸を目指し、海路でコングを輸送する一行。しかしそこへ宿敵コングの存在をかぎつけたゴジラが現れる――。


 モンスターバース第4作にして(現時点での)完結編。予定されていた通り、ゴジラとコングの直接対決が描かれることとなった。両者の対決は「キングコング対ゴジラ」以来、実に59年ぶり。登場怪獣は同じだが単なるリメイクではないとされ、「キンゴジ」では両者の勝敗が曖昧に終わったことから、本作の製作陣は公開前から「きちんと決着をつける」と明言。どちらが勝つのか、どんなふうに決着がつくのか、世界中のファンが予想妄想を繰り広げていた。


 公開前の予想の中でも、特に「前作でキングギドラを倒したゴジラに、果たしてコングが敵うのか」と、不安視する声が多かった。しかし今作のコングはゴジラと同じサイズにまで成長。身体能力を生かしてゴジラと互角の肉弾戦を繰り広げるうえ、ゴジラの熱戦に対抗する武器まで手にしている。

 対するゴジラは「王」としての貫禄、というかふてぶてしさを感じさせる面構えに。本シリーズのゴジラは基本的に善玉寄りだったので、久々にワルっぽいゴジラ、破壊神としてのゴジラを見られるのも嬉しいところだ。そんなゴジラが野生剥き出しでコングとバチボコに殴り合うのだからファンなら燃えないわけがない。対ムートー時は天敵の撲滅、そして対キングギドラ時は偽の王の排除という大義名分があったが、今回はそんなもの一切なし。ただひたすらライバル同士どっちが強いかを拳で語り合う、粗野で野蛮でプリミティブな肉弾戦が展開されるのだ。バトルのシチュエーションも素晴らしく、第1ラウンドはまさかの海上戦。艦隊の上を跳びまわるコングに、水中へ引きずり込もうとするゴジラ。監督曰く「今まで見たこともないような怪獣バトルシーン」が次々と展開され、観る者をぐいぐいと引っ張っていく。

 両者の対決シーン以外も、ほとんど特撮パートと言っていいほどで、新顔のモンスターも複数登場。SFチックなマシーンも次々投入され、科学考証どうなってんだと言いたくなるが、地球空洞説なんてものを真正面からやられてしまっては、そんな突っ込みも引っ込んでしまう。まあこのようなトンデモSF&怪獣バトルにすべてを割り振った結果、ドラマパートがだいぶ薄味で、前作との繋がりがスルーされたり(アラン・ジョナはどうした?)、重要人物っぽい芹沢博士の息子が白目剝いてただけだったりするのだが、もうそんなことはどうだっていいのだ。最新技術で描かれるゴジラとコングのバトルを死ぬほど見せてくれるうえ、それに加えて「エイペックス社の技術と陰謀の結晶」までもが参戦する。過剰なまでの怪獣バトルのつるべ打ちには、否応なしに童心に帰らされてしまう。怪獣バトルをメインに展開してきたモンスターバースだが、ここにきてさらに頭一つ抜けた怪獣バトル映画ができてしまった。まさしくモンスターバースの集大成にふさわしい、凄まじい熱量の怪獣映画であった。


 本作はもともと2020年内に公開される予定だったが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、2021年へと延期。海外では3月に公開されたが、日本のみ緊急事態宣言等の影響で7月の公開となった。パンデミック下という逆風の中での公開となったが、世界中でヒットを記録。これを受け、レジェンダリーはモンスターバース継続の可能性を示唆している。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る