「ランペイジ 巨獣大乱闘」(2018)……ゴリラとマッチョのマッスルタッグマッチ
原題「RAMPAGE」
製作国:アメリカ
監督:ブラッド・ペイトン
製作:ボー・フリン、ジョン・リカード、ブラッド・ペイトン、ハイラム・ガルシア
製作総指揮:マーカス・ヴィシディ、ドウェイン・ジョンソン、ダニー・ガルシア他
原案:ライアン・イングル
脚本:ライアン・イングル、カールトン・キューズ、ライアン・J・コンダル他
撮影:ジャロン・プレサント
プロダクションデザイン:バリー・チューシッド
編集:ジム・メイ、ボブ・ダクセイ
音楽:アンドリュー・ロッキングトン
出演:ドウェイン・ジョンソン、ナオミ・ハリス、マリン・アッカーマン他
エナジン社の宇宙ステーションで研究されていたゲノム実験のサンプルが、事故によって地球に落下してしまう。サンディエゴの動物保護区で暮らす白ゴリラのジョージは、そのサンプルの影響で巨大化する。一方、ワイオミング州でもオオカミが巨大化していた。エナジン社のワイデン姉弟は巨大化した生物から遺伝子のサンプルを回収すべく、傭兵を雇ってオオカミを仕留めようとするが、傭兵集団はあっさりと返り討ちにされてしまう。ワイデン姉弟は作戦を変更、巨大化生物のバイオソナーを利用し、特殊な低周波を出して生物をシカゴにおびき寄せることに。そんな折、メキシコでもう一体の巨大生物が生まれていた――。
2010年代は怪獣映画が盛り上がった。「パシフィック・リム」に始まり、ハリウッドで「ゴジラ」と「キング・コング」のリブートとモンスターバースの始動、そして国内でも「シン・ゴジラ」をきっかけに再びゴジラ熱が高まった。すでに怪獣映画は冬の時代を抜け出した感があり、怪獣映画ファンにとっては嬉しい状況が続いていた。そんな中公開されたのがこの「ランペイジ巨獣大乱闘」だ。リブートものやシリーズものではない、完全新作の怪獣映画である。一応1986年のアーケードゲームを原作にしているが、共通点は怪獣の名前くらいなので、原作知識などなくても問題ない。
巨大ゴリラといえばやはり「キング・コング」を思い出すが、野性的なコングとは対象的に、本作のジョージは人間に保護され、人に馴れたゴリラである。手話を使って人間と簡単なコミュニケーションを取ることも出来る、優しく知性的な存在だ。もちろんゴリラらしいパワフルさも併せ持ち、凶暴化して暴れまわるシーンでの荒々しさはコングに負けずとも劣らない。またビジュアル的な面で言えば、本作のジョージはアルビノ個体、つまり毛が真っ白なので、コングとは全く違った印象を与える。
そんなジョージとコンビを組むのが、霊長類学者のデイビス・オコイエ。演じるのはドウェイン・ジョンソンである。学者らしからぬゴリマッチョだが、元特殊部隊所属で霊長類学者に転向したという設定なので納得だ(?)。本作のストーリーは大体ドウェイン・ジョンソンの脳筋プレイで進行していくため、まるでゴリラが2体存在するかのよう。とにかくこのゴリラとマッチョが世界を救うために筋肉パワーで全てをねじ伏せるというのがこの映画である。
ジョージ以外にも2体の怪獣が登場。巨大オオカミ・ラルフと、巨大ワニ・リジーである。どちらも単に巨大化しただけではなく、モンスター感ある見た目に変貌し、怪獣としての魅力が溢れている。ラルフはオオカミながらもムササビのような飛膜を持ち、滑空飛行を身に着けているうえ、針のような体毛を逆立てて発射するという特殊能力を身に着け、米軍を翻弄した。一方のリジーは飛び道具などは持たないものの、3体の中では最大のサイズに成長し、その巨体と強靭な外皮が最大の武器となっている。ジョージ含めた三大怪獣のキャラクター性が素晴らしく、それぞれの個性をフルに活かしながら市街地を破壊し戦いを繰り広げるさまは、いやでも胸が躍る。
映画のクライマックスでは、シカゴの市街地で怪獣3体+ドウェイン・ジョンソンの豪快なバトルが展開される。何がすごいかといえば怪獣同士の戦いに何の違和感もなく混じっているドウェイン・ジョンソンの存在感だ。冷静に見れば無茶苦茶だが、もはや筋肉の前に理屈は不要。この映画においては、ドウェイン・ジョンソンもまた怪獣なのである――。
という感じの脳筋怪獣映画、それがこの「ランペイジ 巨獣大乱闘」である。怪獣同士の激しいバトルと、軍隊を蹴散らし高層ビル街をぶっ壊す破壊のカタルシスを存分に味わえる、激アツの一本だ。ぜひシリーズ化してほしい。
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