「キングコング:髑髏島の巨神」(2017)……脅威と狂乱に満ちた巨大生物の島
原題「KONG: SKULL ISLAND」
製作国:アメリカ
監督:ジョーダン・ヴォート=ロバーツ
製作:トーマス・タル、メアリー・ペアレント、ジョン・ジャシュニ、アレックス・ガルシア
製作総指揮:エリック・マクレオド、エドワード・チェン
原案:ジョン・ゲイティンズ、ダン・ギルロイ
脚本:ダン・ギルロイ、マックス・ボレンスタイン
撮影:ラリー・フォン
プロダクションデザイン:シュテファン・デシャント
衣装デザイン:メアリー・フォークト
編集:リチャード・ピアソン
音楽:ヘンリー・ジャックマン
出演:トム・ヒドルストン、サミュエル・L・ジャクソン、ブリー・ラーソン他
1973年。地球観測衛星が発見した未知の島、スカルアイランドの地質調査を行うべく、特務機関モナークのランダを中心とする調査隊が島へと上陸した。調査隊にはベトナムから帰還する予定だったパッカード大佐の部隊も護衛として同行した。島に到着した一行は、地質調査のために早速サイズミック爆弾を島のあちこちに投下していく。しかしその爆撃によって巨大なコングが出現、怒り狂うコングによってパッカード大佐のヘリ部隊は全滅し、一行はバラバラになってしまう。実はモナークの真の目的は地質調査などではなく、島に生息する巨大生物の調査であった。一行は脱出のために島の北を目指すが、パッカード大佐は密かにコングへの憎悪を燃やしていた。そんな彼らの前に、さらなる巨大生物が姿を現す――。
「パシフィック・リム」「GODZILLA ゴジラ」などを手掛けたレジェンダリー・ピクチャーズによる作品であり、モンスター・バースの第2作目に位置する。2005年のピーター・ジャクソン版以来のキングコング映画である。今までのコング映画は「島に行く→コングをつれてかえる→コングが町中で暴れる」という、おおむね原典を踏襲したシナリオになっていたが、今回は違う。主人公たちの目的はあくまで「島から生きて帰ること」であり、コングを捕まえようなどとは露とも思わない。それもそうだろう、コングが単身で軍用ヘリを落としまくるところを目の当たりにしてしまっているのだから。一方でパッカード大佐はコング抹殺に執念を燃やす。パッカードを演じるサミュエル・L・ジャクソンの迫力は怪獣に勝るとも劣らず、戦争に取り憑かれた男の狂気が凄まじい。パッカード大佐はベトナム戦争帰りで、映画の随所にもベトナム戦争(というか「地獄の黙示録」)を意識したような演出が目立つ。監督自身「これはモンスターが出てくるベトナム戦争映画」などと語っているとおり、怪獣同士のバトルだけではなく怪獣と人間の戦争も描いており、怪獣映画と戦争映画を融合させたような特異な作品となっている。
本作のコングはピーター・ジャクソン版のようなリアルゴリラではなく、背筋が真っすぐ伸びた完全直立二足歩行タイプで、巨大ゴリラというよりはまさしくゴリラ怪獣と呼ぶべきデザイン。生物としてのリアリティよりも怪獣としてのケレン味をとった見た目は他の怪獣たちも同様で、巨大クモや巨大バッファローなどの個性的な怪獣が次々と登場する。本作の怪獣描写はとにかくパワフルで快活。従来のコングは人間の武器によって儚く倒されるのが恒例だったが、今回は軍用ヘリを返り討ちにするという強烈なデビュー戦で歴代コングとの違いを見せつける。ヒロインとの交流というコングらしい場面もあるにはあるが、ほんの味付け程度。ひたすら強く、たくましく、パワフルなコングを堪能することができる。また「パシフィック・リム」「GODZILLA ゴジラ」では夜間の場面が多く、画面が見にくいという意見も出ていたが、今回の特撮シーンはほぼ昼間。明るい画面で怪獣の細部までじっくりと見られるのが嬉しい。過去の様々な作品へのオマージュを盛り込みつつ、怪獣映画としてもコング映画としても新しい作品として仕上がった。とにかく出し惜しみなしのエンタメ超大作である。
モンスター・バースシリーズは、2019年の「ゴジラ・キング・オブ・モンスターズ」、そして2020年内に「ゴジラvsコング」が公開予定となっている、
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