「シンクロナイズドモンスター」(2016)……怪獣とシンクロしちゃったダメ女の運命
原題「COLOSSAL」
製作国:カナダ、スペイン
監督:ナチョ・ビガロンド
製作:ニコラス・シャルティエ、ゼヴ・フォアマン、ドミニク・ラスタム他
製作総指揮:アン・ハサウェイ、ショーン・ウィリアムソン、ジョナサン・デクター他
脚本:ナチョ・ビガロンド
撮影:エリック・クレス
プロダクションデザイン:スーザン・チャン
衣装デザイン:アントワネット・メッサン
編集:ルーク・ドゥーラン、ベン・ボードゥイン
音楽:ベアー・マクレアリー
音楽監修:リンダ・コーエン
出演:アン・ハサウェイ、ジェイソン・サダイキス、ダン・スティーヴンス他
仕事を失い、彼氏からも家を追い出され、地元へと帰ってきたダメ女・グロリア。彼女は小学校時代の幼馴染・オスカーと再会し、彼の経営するバーで雇ってもらうことに。ある日、店で呑みまくった後、自宅で目覚めた彼女は、韓国ソウルに巨大怪獣が出現したというニュースを目にする。ニュースに衝撃を受けるグロリアであったが、驚きはそれだけでは収まらなかった。怪獣の動きは、グロリアが近所の公園を歩いている時の動きとシンクロしていたのだ。バーで働く仲間にこのことを報告したグロリアは、みんなで一緒に公園へ行き、怪獣とグロリアがシンクロしていることを証明する。それを見たオスカーが公園へ足を踏み入れると、なんとソウルにロボット怪獣が出現する――。
アン・ハサウェイが主演と製作総指揮を務めた異色の作品。大人の女性が怪獣と関わる映画も珍しいが、「人間の動きが怪獣とリンクする」という奇抜なアイデアが冴えている。ただアイデアだけの出落ち作品ではなく、その設定がストーリーと深く絡み合い、歪んだ人間ドラマを作り上げている。
怪獣が人間の動きと連動するという都合上、怪獣は限りなく人型に近く、直立二足歩行で手足が長いという変わったデザイン。怪獣の演出にはモーションキャプチャー等は用いず、すべてCGのみで描かれたという。ちなみに、もともと怪獣の出現場所はソウルではなく東京になる予定だった。なぜソウルに変更されたのか、については明確にはされていないが、出資者向けの企画書に「ゴジラ」の画像を大量に使用していたことが東宝にバレて、裁判沙汰になったことが関係していると思われる。最終的に東宝とは和解に至ったが、その過程で色々あったのだろう。余談だが、日本での公開日は2017年11月3日、つまり「ゴジラの日」であった。
本作のストーリーは意外な方向へと突き進んでいく。設定だけ見ればコメディだと思われるかもしれない。実際、序盤は軽いノリで笑えるシーンも多い。しかしオスカーがロボット怪獣とシンクロできることが判明してからは一転、物語はシリアスな方向へ。巨大な力を得て増長するオスカーは、己のうちに秘めてきた歪みをここぞとばかりに曝け出し、DVモラハラ男へと変貌する。仲間たちに暴言を吐き、グロリアにも「言うことを聞かなければソウルを破壊する」と脅して支配下に置く。なんとかオスカーを止めようとするグロリアだが、男の力に敵うはずもない。ロボット怪獣の力でソウルを蹂躙するオスカー。しかし、グロリアはついにオスカーを止める画期的なアイデアを思いつく。その一発逆転の秘策が実に痛快で、イヤ~な人間ドラマで溜まったフラストレーションを全部吹き飛ばしてくれる。怪獣の設定とかグロリアたちとシンクロした理由とかがいまいちよくわからんが、まあ終わりよければ全てヨシなのである。
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