「ウルトラマンサーガ」(2012)……無人の地球に胎動する最強怪獣の恐怖

製作国:日本

監督:おかひでき

監修:大岡新一

アクション監督:カラサワイサオ

チーフプロデューサー:北浦嗣巳

製作:柴崎誠、垰義孝、大下聡他

企画:岡崎聖、渋谷浩康

エグゼクティブプロデューサー:山本英俊

制作プロデューサー:小山信行

ラインプロデューサー:中井光夫

脚本:長谷川圭一

撮影:高橋創

美術:木場太郎

編集:松木朗

音楽監督:田靡秀樹

音響効果:古谷友二

音楽:原文雄

特技監督:三池敏夫

VFXプロデューサー:鹿角剛司

VFXスーパーバイザー:前川英章

照明:関口賢

録音:浦田和治

装飾:山下順弘

スクリプター:山内薫

操演:上田健一

出演:DAIGO、つるの剛士、杉浦太陽他


 動物や人間を含め、ほぼすべての生物が姿を消した無人の地球。そこはバット星人がハイパーゼットンを生み出すための実験場と化していた。消滅を免れたごくわずかな地球防衛軍の生き残りと、数人の子供たちは、怪獣の脅威に怯えながらも逞しく日々を生き抜いていた。そんな地球に現れたのがウルトラマンダイナであった。やがてダイナの声に引き寄せられるように、ウルトラマンゼロとウルトラマンコスモスも地球へやってくるが、すでにダイナの姿はなかった――。


 ウルトラマンゼロ主役映画の第3弾。ウルトラシリーズとしては久々に地球が舞台となり、本格的なミニチュア特撮も復活した。ゼロが地球で戦うのも今回が初である。監督は平成ゴジラシリーズや平成ウルトラシリーズに参加し、OV作品「ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ」でも監督を努めたおかひでき。そして平成ガメラシリーズ、ミレニアムゴジラシリーズの特殊美術で活躍した三池敏夫が特技監督を務め、ミニチュアとCGの入り交じる特撮映像を見事に演出した。またダイナとコスモスの共演、そしてDAIGOやAKB48メンバー、東国原英夫などのキャスティングも話題を呼んだ。


 登場怪獣はアーストロン、グビラ、ゴメス、そしてハイパーゼットン。本作の怪獣は人間との絡みが多く、ユニークな合成シーンの多さが楽しい。特にグビラとの戦いはコメディタッチに描かれており、初戦ではグビラのドリルの上でランニングするDAIGO、第二戦ではドリルに振り回されるゼロなどなど、コミカルなシーンが笑いを誘う。5メートルサイズにしか巨大化できないゼロと子供たちとの触れ合いや、サイズ差をものともせず怪獣を投げ飛ばすパワフルな戦闘シーンなども、本作ならではの名場面だろう。ゴメスは「ウルトラマン」の前身である「ウルトラQ」の第一話に登場した、シリーズ最古参の怪獣だが、「大怪獣バトル」での復活を期に、後のウルトラシリーズでも何度も顔を見せるようになった。本作で地中から出現するのは、「モスラ対ゴジラ」へのオマージュであり、ゴメスの着ぐるみがもともとゴジラの改造であったことに由来する。

 そして後半で登場するのが、宇宙恐竜ハイパーゼットン。ゼットンとは初代「ウルトラマン」の最終回に登場し、ウルトラマンを死に至らしめた最強の怪獣である。そのゼットンがバット星人の手によってさらに強化されたのがこのハイパーゼットンだ。最初は「コクーン」と呼ばれる繭のような状態で登場。繭から覚醒したハイパーゼットンは、体長300メートル、体重30万トンという超ド級の大怪獣。従来のような人形二足歩行ではなく、ダンゴムシとカマキリを掛け合わせたような多足の虫型怪獣で、両腕に大きなカマを持つ他、触手を伸ばしたり、従来型と同じく火球を飛ばすこともできる。その凄まじい巨体とパワーでウルトラマンたちを圧倒し、ゼットンの名に恥じない最強ぶりを見せつけた。

 しかし、この形態はまだ幼体に過ぎない。バット星人が融合し、完全体になったハイパーゼットンは、もとのゼットンよりもスマートになり、戦闘力と機動力がさらに高まっている。テレポートやバリアーなど、基本的な技もパワーアップ。もはやわけのわからない強さになってしまったが、これに対抗するのが新ヒーロー・ウルトラマンサーガである。最終決戦の舞台は市街地へ。せっかくの地球だから、ミニチュアの中で戦わってくれるのは嬉しい。地球防衛軍との連携プレイも、最後の戦いを盛り上げる。ゼロの映画は人間社会から遠く離れた場所での話ばかりだったが、今回は人とウルトラマンの繋がりを描いた物語なのである。


 本作は東日本大震災の影響を受けて一時は制作中断に追い込まれたものの、復興支援を目的として制作が再開された。また劇場公開版ではカットされているが、ウルトラ兄弟の戦闘シーンも撮影されており、テレビ番組「ウルトラマン列伝」等で公開された。

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