「キング・コング」(2005)……「ロード・オブ・ザ・リング」監督による超大作コング映画
原題「King Kong」
製作国:ニュージーランド、アメリカ
監督:ピーター・ジャクソン
製作:ジャン・ブレンキン、キャロリン・カニンガム、ピーター・ジャクソン、フラン・ウォルシュ
原案:メリアン・C・クーパー、エドガー・ウォレス
脚本:ピーター・ジャクソン、フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエン
撮影:アンドリュー・レスニー
クリーチャーデザイン:リチャード・テイラー
ミニチュアデザイン:リチャード・テイラー
視覚効果監修:ジョー・レッテリ
特殊メイク:リチャード・テイラー
プロダクションデザイン:グラント・メイジャー
衣装デザイン:テリー・ライアン
編集:ジェイミー・セルカーク
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ナオミ・ワッツ、エイドリアン・ブロディ、ジャック・ブラック他
1933年の映画「キング・コング」の、二度目のリメイク作。作中の時代は原典と同じく世界恐慌に喘ぐ1930年代と設定され、シナリオの展開なども、おおむね原典に忠実なリメイクとなっている。
監督を務めたのはピーター・ジャクソン。スプラッター映画「バッド・テイスト」(1987)や「ブレイン・デッド」(1992)で名を馳せ、「ロード・オブ・ザ・リング」三部作(2001~2003)でアカデミー賞を総なめにしてみせた。しかし彼が本当に撮りたかったのは「キング・コング」のリメイクであった。90年代半ばに一度は「キング・コング」リメイクの企画を立ち上げるも、制作会社はエメリッヒ版「GODZILLA」や「マイティ・ジョー」などの競合作とぶつかることを懸念し、企画は立ち消えになってしまう。その後、「ロード・オブ・ザ・リング」が大ヒット、世界的映画監督の地位を得た彼は、再び「キング・コング」のリメイクを企画。2億700万ドルという、映画史上最高額(当時)の予算を注ぎ込んで、長年の悲願を実現したのである。
最新のCG技術は、怪獣映画の古典に新たな息吹を吹き込んでいる。1930年代のニューヨークの町並みがCGによって緻密に再現され、髑髏島の巨大生物たちもさらに躍動感たっぷりに描かれている。原典へのオマージュもそこかしこに見られ、監督のコング愛とリメイクへの意気込みを感じさせられる。特に注目したいのは、原典でカットされた巨大昆虫の登場シーンだ。巨大なカマドウマやミミズが大挙して群がってくるという、虫嫌いの人にとっては悪夢にしか思えない場面だが、スプラッター映画で培った不快描写が冴え渡っている。コングのバトルシーンもさらなるパワーアップを遂げており、ティラノサウルスとの戦闘(正確に言うと、今回はバスタトサウルス・レックスという架空の恐竜)では3対1という多勢に無勢での戦闘に加え、片手にアンを掴みながらのハンディキャップマッチ。谷の上から谷底へとリングを変えながらぶつかりあう巨大生物たちの雄姿は、中盤最大の見せ場である。クライマックスはお約束の、エンパイアステートビルでの最終決戦。複葉機とのバトルでは視点が目まぐるしく移り変わり、高所恐怖症の人にとっては胃が縮むような映像が続くが、歴代コング映画の中でも最もスリルと迫力に溢れたシーンに仕上がっている。全体的には原典をそのままパワーアップさせたような出来。今後50年はもうリメイクしなくていいだろう。ただもともと100分の作品を180分に膨張させるのはさすがにやりすぎな気がしないでもない。ちなみにソフトに収録されているエクステンデッド版は、さらに12分長い200分。長すぎだろと思われるかもしれないが、トリケラトプス風の角竜や人食い巨大魚などの特撮シーンが追加されているので、長い方がおすすめである。
本作のラストシーンで、カール・デナムが言う「美女が野獣を殺したのだ」というセリフは、もともと原典でアン・ダロウを演じたフェイ・レイが語る予定だった。フェイ・レイも出演を快諾したというが、撮影前に急逝したため、結局叶わなかった。
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