「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」(2003)……モスラも参戦!機龍二部作完結編
製作国:日本
監督:手塚昌明
製作:富山省吾
プロデューサー:山中和成
脚本:手塚昌明、横谷昌宏
デザインワークス:西川伸司
撮影:関口芳則
視覚効果プロデュース:小川利弘
美術:瀬下幸治
編集:普嶋信一
キャスティング:斉藤謙司
音楽:大島ミチル
特殊技術:浅田英一
録音:斉藤禎一
照明:望月英樹
製作担当:平山高志
特技・撮影:江口憲一
特美:三池敏夫
特技・照明:斉藤薫
造形:若狭新一
特効:久米攻
操演:鳴海聡
特技・助監督:加藤晃
VFXスーパーバイザー:泉谷修
助監督:村上秀晃
特技・製作主任:原田耕治
出演:金子昇、虎牙光揮、吉岡美穂他
ミレニアムシリーズ第5作。今回は前作の直接の続編となっており、一年前の戦いで傷を負ったゴジラが再上陸、改修された機龍がそれを迎え撃つ。そこにモスラも加わって、初代ゴジラの骨を巡る三つ巴の戦いが展開される。またゴジラ生誕50周年を翌年に控えた本作は、シリーズにおけるひとつのゴールとしても位置づけられており、初代ゴジラでの見せ場であった国会議事堂襲撃を再現しつつ、ゴジラシリーズでは意外にも初となる東京タワーの破壊も描かれた。ゴジラの東京侵攻は初代以降幾度もあったが、今回はその集大成にしようという意気込みを感じられる。監督は前作に引き続き手塚昌明で、今回は脚本にも参加している。特撮の浅田栄一は「ゴジラ対メガロ」から助監督を務めてきたベテランで、手塚監督の強い要望により抜擢。手堅い演出で三大怪獣の戦いにリアリティを与えている。浅田は次回作「ゴジラファイナルウォーズ」でも特撮を担当する。
高い人気を獲得したメカゴジラ(3式機龍)は二作連続の登場。前回のゴジラとの戦いでかなりの損傷を受けたため、突貫工事で改修が行われた。最終兵器アブソリュート・ゼロは部品が調達できないとの理由から修復を断念され、三連ハイパーメーサーという現実的な(?)武器に換装、バックユニットの小型化、右手にドリルを搭載して格闘戦での殺傷力をさらに高めている。
モスラは2年ぶりの再登場で、初代に寄せたデザインとなった。生物感のある動きが追求されており、従来のモスラは羽を上から吊って羽ばたかせていたが、今回は下からも吊ることで羽の動きを大きくし、より自然な羽ばたきを実現している。劇中では冒頭から自衛隊機とのドッグファイトを展開、オープニングを盛り上げた。
今回は初代「モスラ」の続編でもあるということで、初代へのオマージュに溢れている。中でも小学校の校庭に机を並べてモスラのマークを描き、モスラを呼び寄せるシーンは圧倒的。ちゃんと鐘の音とともにモスラが飛来するのも心憎い演出である。初代のクライマックスそのまんまだが、現代的な要素を加えて上手く昇華されている。他にもゴジラとの戦闘では「モスラ対ゴジラ」を彷彿とさせるカットがいくつもあったり、初代で中條信一を演じた小泉博が同役で出演したりしていて、昭和モスラのファンならば見逃せないポイントがいくつもある。まあ、ちょっとマニアックな方向に寄りすぎている気がしなくもないが。
モスラもメカゴジラも、ゴジラと何度も戦ってきた人気怪獣だが、両者が共演するのは今回が初。そもそもモスラはファンタジックな怪獣で、メカゴジラはSF要素の塊のような存在だから、両者は水と油なのだ。しかし主人公を中條信一の甥かつ機龍の整備士という設定とすることによって両者のドラマを上手く融合させており、また「メカに感情移入してしまう」という性格付けから、前作ではかなり唐突だった主人公と機龍との共鳴にも自然な説得力が与えられている。ドラマパートも特撮パートも出来が良く、ミレニアムシリーズの中ではこれが一番オススメである。
本作はアニメ映画「劇場版とっとこハム太郎 ハムハムグランプリン オーロラ谷の奇跡 リボンちゃん危機一髪!」と同時上映された。しかしハム太郎効果も虚しく、観客動員数は大幅に減少。ゴジラシリーズは次回作で終了することが決定した。
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