「ゴジラ×メカゴジラ」(2002)……骨から生まれたメカ“初代”ゴジラ

製作国:日本

監督:手塚昌明

製作:富山省吾

エグゼクティブプロデューサー:森知貴秀

制作:富山省吾

脚本:三村渉

デザインワークス:西川伸司

撮影:岸本正広

視覚効果プロデュース:小川利弘

美術:瀬下幸治

編集:普嶋信一

キャスティング:田中忠雄

音響効果:佐々木英世

音楽:大島ミチル

造形:若狭新一

特殊技術:菊地雄一

録音:斉藤禎一

照明:望月英樹

製作担当者:金澤清美

特技・撮影:江口憲一

特美:三池敏夫

特技・照明:斉藤薫

特効:久米攻

操演:鳴海聡

特技・助監督:野間詳令

助監督:兼重淳

特技・製作担当者:川田尚広

出演:釈由美子、宅麻伸、小野寺華那他


 ミレニアムシリーズ第4作。モスラ、キングギドラに続きメカゴジラが復活、東京を舞台にゴジラと激闘を繰り広げる。手塚監督の他、脚本の三村渉や音楽の大島ミチル、造形の若狭新一など、「×メガギラス」のスタッフが再集結している。特殊技術は「×メガギラス」の他、「ガメラ3」などに参加した菊池雄一が手掛ける。菊池は後のウルトラマンシリーズでも特技監督を務めている。


 もはや毎回恒例となったが、今までのシリーズはリセットされ、初代の直接の続編である。ただし今回は初代ゴジラの他にも「モスラ」「サンダ対ガイラ」といったゴジラ以外の東宝特撮作品が作中の歴史に取り込まれており、さまざまな特殊生物に対処するための専門組織「対特殊生物自衛隊(特生自衛隊)」が結成されているという設定。主要な兵器はメーサー殺獣光線車で、平成シリーズのメーサー戦車とは違い、「サンダ対ガイラ」の方に寄せたデザインとなっているのがマニアには嬉しいところか。ストーリーも特生自衛隊を中心に描かれており、久々に自衛隊の全面協力を得られたこともあって、ミリタリー色の濃い作品に仕上がった。


 本作のメカゴジラは特生自衛隊によって開発された対ゴジラ用の戦闘兵器で、劇中では主に「3式機龍」もしくは単に「機龍」と呼称される。1954年、オキシジェン・デストロイヤーによって抹殺された初代ゴジラの骨をベースに使用している他、初代ゴジラの骨髄間質細胞を利用したDNAコンピュータを搭載しており、純粋なロボット怪獣というよりは生体ロボットと呼ぶべき存在である。武装は口内のメーサー光線砲、腕部のレールガン、バックユニットから射出されるミサイル等の他、胸部から絶対零度の光弾を放つ。この「アブソリュート・ゼロ」と呼ばれる兵器は、機龍の最強の武器でもあるが、エネルギーの4割を消費するというリスクも伴う。なぜこれを機龍に搭載したのか、機龍でゴジラを抑え込んでいるうちに別の場所からアブソリュート・ゼロを撃った方が確実なのではないか、という点は気になるが、まあとにかくこの絶対零度砲がゴジラ攻略の切り札となっている。

 遠距離武器を多数搭載している点は従来のメカゴジラと同じだが、今までと決定的に異なるのは、その機動性の高さ。バックユニットをオミットすることで身軽になると、ロボット怪獣とは思えないスピーディーな動きでゴジラを翻弄し、肉弾戦でも圧倒する。ただし装甲はそこまで固くないようで、ゴジラの熱戦にあっさり吹っ飛ばされてしまうなど、メカゴジラらしからぬ脆さも併せ持つ。しかしあちこち破壊されながらも敵に立ち向かっていくのも、ロボットのカッコよさであろう。

 デザインを手掛けたのは西川伸司。従来のロボット怪獣とは一線を画するシャープかつスマートなデザインは高い人気を獲得し、今でもフィギュアやプラモデルなどが新しく発売されている。バンダイのソフビでも定番の怪獣となっており、近年の怪獣映画を代表する怪獣の一匹と言っても過言ではないだろう。


 機龍の対戦相手となるゴジラは、前回と同じく白目ゴジラ――ではなく、「×メガギラス」をベースにしつつ、頭部を小さく、背びれを白く、直立に近い姿勢となり、体色も黒っぽくなったことで、よりスタンダードなイメージのゴジラとなった。熱戦の色も青に戻されている。このゴジラは主演の釈由美子の名前をとって「釈ゴジ」などと呼ばれる。クセの少ないデザインが重宝されてか、ミレニアムシリーズが終了した後も、企業とのタイアップやイベントなどで見かける機会が多かった。劇中では機龍メインのストーリーなため脇役といった感じだが、冒頭の館山襲撃や夜空に熱戦を撃ちまくるシーンなどで強い印象を残している。


 本作はアニメ映画「とっとこハム太郎 ハムハムハムージャ!幻のプリンセス」と同時上映された。ゴジラ本編内にも、ハム太郎の飼い主であるロコちゃんを模した人物がハムスターのカゴを抱えている場面がある。

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