「ゴジラ×メガギラス G消滅作戦」(2000)……あのメガヌロンがメガ進化

製作国:日本

監督:手塚昌明

製作:富山省吾

脚本:柏原寛司、三村渉

キャラクターデザイン:西川伸司

撮影:岸本正広

視覚効果:小川利弘

美術:瀬下幸治

造型:若狭新一

編集:普嶋信一

キャスティング:田中忠雄

音響効果:佐々木英世

音楽:大島ミチル

特殊技術:鈴木健二

録音:斉藤禎一

照明:斉藤薫

制作担当者:金澤清美

特殊技術・撮影:江口憲一

特美:高橋勳

特殊技術・照明:川辺隆之

特効:渡辺忠昭

操演:鳴海聡

特殊技術・助監督:菊地雄一

ビジュアルエフェクトスーパーバイザー:岸本義幸、大屋哲男、小野寺浩

助監督:宮村敏正

出演:田中美里、谷原章介、勝村政信他


 ミレニアムシリーズ第2作。20世紀最後のゴジラ映画でもある。監督を努めたのは大のゴジラファンだという手塚昌明で、これが監督デビュー作となった。手塚はこの後「ゴジラ×メカゴジラ」「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」でもメガホンを取り、ミレニアムシリーズ全6作中の半数となる3作が手塚監督作品となっている。ちなみにミレニアムシリーズでは「対」「VS」の代わりに「×」と表記されているが、これを使っているのも実質的に手塚監督作品だけである。


 前回と同じく、「ゴジラの逆襲」以降の設定をすべてリセット。1954年にゴジラが初出現した後、エネルギーを求めて何度も日本に上陸しているという設定。この作品では54年の出現時にゴジラが倒されておらず、登場するゴジラはすべて同一個体である。なお54年のゴジラの映像は第一作の流用ではなく、本作のゴジラの着ぐるみを使って新しく撮り直されている。序盤の見どころの一つである。


 ゴジラによって東京を壊滅させられた後、日本政府は大阪に首都を移転(大阪城の横に国会議事堂ができている)。またゴジラ上陸を回避するために原子力発電の永久放棄も宣言しており、現実の日本とは全く異なる歴史を歩んでいる。さらにゴジラ対策のための機関「特別G対策本部」その戦闘部隊である「Gグラスパー」なる組織が存在し、最強の対ゴジラ兵器として小型ブラックホール砲「ディメンション・タイド」の開発が進められている。比較的リアリティに重きを置いていた前作とは一転、SF要素の盛り沢山な、エンタメ性の強い作風になっているのが本作最大の特徴だろう。Gグラスパーなどはもはやウルトラマンから借りてきたような組織であるが、こういった要素が堅苦しさをなくして明るく快活な作風を生み出している。


 新怪獣メガギラスは、メガヌロンの成長した姿である。メガヌロンといえば「空の大怪獣ラドン」でラドンの餌になっていたヤゴの怪獣だ。数十年の時を経て、大胆なアレンジとともにゴジラの敵として大復活を遂げたのである。作中ではまず、ディメンション・タイドの実験時に生じた時空の歪みを通って、古代昆虫のメガニューラが現代日本に現れる。メガニューラが山中に産み落とした卵を、少年が持って帰り、そのまま東京へと引っ越し。卵に異常を感じた少年は、自分の手に負えないと悟って下水道の中に捨ててしまう。そこから大量のメガヌロンが孵り、地下水を氾濫させて渋谷を水没させ、己の縄張りへと変えてしまうのだった。

 メガヌロンが羽化するとメガニューラになる。メガニューラの大群はゴジラを襲撃、ゴジラから得たエネルギーを一匹の巨大メガヌロンに注ぎ込み、メガギラスへと成長させるのだ。昆虫型の新怪獣も貴重だが、トンボ型怪獣は怪獣映画全体でも輪をかけて珍しい存在である。超高速で空を飛び回り、羽を振動させて高周波を発生させる他、両手のハサミや尻尾からのエネルギー吸収を武器に戦う。モスラやバトラとの差別化のためか高速で飛び回りながらの格闘戦が主体であり、主に操演やCGで演出されるが、格闘シーンのための着ぐるみも制作されている。


 ゴジラとはお台場で交戦。高速飛行するという設定に特撮がついていけてない感があるのはまあ残念ではあるが、それでも互いの持てる武器をフルに使った一騎打ちは面白く、怪獣バトルのツボを抑えた作りになっている。ゴジラが背ビレを武器として使ったのなんてこれが唯一じゃないだろうか? ゴジラに対し果敢に肉弾戦を挑みかけるメガギラスも、モスラやバトラとはまた違った攻撃性が見えて、新怪獣として魅力的であったし、その最期には昆虫怪獣の儚さと憐れさがちゃんとあった。


 メガギラスの着ぐるみは怪獣ショー用のものも存在。人が入れるように両足が追加され、二足歩行となっている。もはやトンボではない。

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