「ガメラ大怪獣空中決戦」(1995)……ガメラ復活!平成三部作の第一弾
製作国:日本
監督:金子修介
製作:池田哲也、萩原敏雄、澤田初日子
企画:佐藤直樹、武井英彦、森江宏、鈴木伸子
製作総指揮:徳間康快
プロデューサー:土川勉
脚本:伊藤和典
撮影:戸澤潤一
特撮監督:樋口真嗣
怪獣デザイン:前田真宏
怪獣造形:原口智生
美術:及川一
編集:荒川鎮雄
音楽:大谷幸
音楽プロデューサー:三浦光紀
ビジュアルエフェクトスーパーバイザー:松本肇
特技・撮影:木所寛
特技・助監督:神谷誠
特技・操演:根岸泉
特技・美術:三池敏夫
特技・編集:普島信一
助監督:片島章三
出演:藤谷文子、小野寺昭、中山忍他
生誕30周年記念作でガメラが大々的に復活。「宇宙怪獣ガメラ」以来15年ぶりの新作となる本作は、昭和シリーズの設定をすべてリセット。ゴジラとは異なり、ゼロからの再スタートを切ることとなった。監督にはヒットメーカーの金子修介、脚本には「機動警察パトレイバー」シリーズ等で知られる伊藤和典。そして特撮には「八岐之大蛇の逆襲」で精巧なミニチュアワークを見せた樋口真嗣が抜擢され、全く新しいガメラ像を生み出すことに成功した。
登場怪獣はガメラとギャオス。別々の場所から出現したガメラとギャオスの因縁が次第に明かされていき、最後には東京で決戦を迎える、という筋書きである。
両怪獣は超古代文明によって生み出された生物兵器という設定。文明を滅亡へと追いやらんとしたギャオスに対抗すべく生み出されたのがガメラである。新生ガメラは作品を重ねるごとによりシャープな体型になっていくが、本作ではまだ昭和ガメラのような愛嬌と生物的なリアルさが同居したデザインとなっている。飛行能力は従来どおりだが、火炎放射がプラズマ火球へとパワーアップしている他、腕にはエルボークローが仕込まれ、戦闘力は大幅に強化されている。
対するギャオスは生理的嫌悪感を湧かせるような、より凶悪な見た目へと変貌を遂げた。着ぐるみもスリムになり、昭和版の「首が回らない」という弱点も克服されている。昭和版では「生き血を好む」という設定だったが、今回は「人を捕食する」「単体での繁殖が可能」と、人類の脅威となる点がさらに強調された。
本作のコンセプトは「怪獣映画の王道」。大怪獣同士の一対一のストイックなバトル、という点もそうだが、ギャオスによる被害の調査、ギャオスとの邂逅、捕獲作戦を経てギャオスの生態を少しずつ解き明かしていく展開は往年の怪獣映画のそれである。またギャオスを捕獲するか抹殺するかで対立する学者と役人、という構図も怪獣映画のお約束のひとつ(まず初代「ゴジラ」を思い出すが、政府と学者の立場は正反対である)。そして自衛隊やマスコミの協力のもと、「怪獣によって破壊される日常」をリアルに描き出し、ゴジラシリーズとは一線を画す緊張感を生み出している。なお、本作の公開は阪神大震災の直後だったため、「震災を思い出す」という声もあったとかなかったとか。
特撮シーンもリアリティある演出のために試行錯誤が重ねられた。伝統的なミニチュアワークが用いられているが、ゴジラシリーズのように「広大なスタジオに敷き詰められたミニチュアの中に怪獣を歩かせて色んなアングルから撮影する」という手法は、スタジオが狭くて実現不可能だった。そこでカットごとにミニチュアを並べ替えるという手間のかかる方法が選ばれた。あまりに非効率的で、一日数カットしか撮れなかったというが、スタッフはリアルさを求め、あくまで「人の視点」からの映像にこだわった。またCGの多用も当時としては画期的で、ミサイルやガメラのプラズマ火球、円盤飛行のシーンなどに使われている。
終盤の東京での決戦はオープンセットでの撮影。ギャオスが東京タワーに巣を作る場面も、本物の夕陽をバックにしている。自然と特撮の見事なマッチであり、美しさとともに怪獣の恐怖をまざまざと見せつける、本作最大の名シーンとなった。
本作は公開当時から高い評価を受け、数々の賞を受賞したほか、1995年度の「キネマ旬報ベストテン」に怪獣映画として初めてランクインしている。本作のヒットを受けてシリーズ化が決定、翌年には「ガメラ2レギオン襲来」が公開された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます