「ゴジラVSスペースゴジラ」(1994)……G細胞が生んだ最凶の破壊神降臨

製作国:日本

監督:山下賢章

製作:田中友幸、富山省吾

脚本:柏原寛司

撮影:岸本正広

特殊効果:渡辺忠昭

美術:酒井賢

編集:米田美保

音楽:服部隆之

殺陣:宇仁貫三

特技・撮影:江口憲一、大川藤雄

特技・助監督:鈴木健二

特技・操演:三橋和夫

特技・美術:大澤哲三

特技監督:川北紘一

助監督:三好邦夫

出演:小高恵美、橋爪淳、米山善吉他


 平成ゴジラシリーズ第5弾。本来ならば前作でシリーズ終了となるはずであったが、ハリウッド版「GODZILLA」の制作が遅れたことにより、急遽制作が決定した。シリーズの主要スタッフは「ヤマトタケル」に参加していたため、監督・脚本ともにゴジラ映画には初起用。音楽も伊福部昭ではなく服部隆之が手掛ける。特技監督は引き続き川北紘一だが、撮影開始は例年より2ヶ月遅れ、突貫工事での制作であった。

 本作の特徴としては、今までの作品との繋がりが深いことが挙げられる。「VSビオランテ」で壮絶な戦死を遂げた権藤一佐の親友と妹が中心人物として活躍する他、「VSモスラ」で宇宙に飛び立ったモスラがフェアリーモスラとして再登場。そしてベビーゴジラの成長した姿であるリトルゴジラなど、平成シリーズの総決算のような作品に仕上がっている。同時に三枝未希がメインヒロインとなっていたり、ゴジラ打倒に燃える男たちの熱いドラマが描かれるなど、新風も吹き込まれている。


 新怪獣スペースゴジラの誕生にも、以前の作品の出来事が深く関わっている。スペースゴジラは「VSビオランテ」や「VSモスラ」で宇宙に運ばれたゴジラ細胞が結晶生物と結びつき、莫大なエネルギーを吸収して異常な進化を遂げた姿であり、ゴジラの分身とでも呼ぶべき存在である。ゴジラよりも刺々しい体に巨大な結晶体を持っており、強力な光線攻撃を使う他、念力のような力でゴジラを宙に浮かせたり、バリアーを張る、空を飛ぶ、周囲に結晶体を生やしてそこからエネルギーを得たりするなど、いかにも宇宙怪獣らしいなんでもありな怪獣である。


 スペースゴジラに対抗するのが、ゴジラ、そしてロボット怪獣のモゲラである。もともとは「地球防衛軍」(1957)に登場したロボットで、大幅なアレンジが加えられている。今回はメカゴジラと同じく国連G対策センターが開発した対ゴジラ用戦闘兵器という設定で、正式名称の「Mobile Operation Godzilla Expert Robot Aero-type」からもそのコンセプトが見て取れる。原典とは異なり地中への潜行はせず、メカゴジラと同じように空中を横移動しながら光線やミサイルの集中砲火を浴びせかけるという戦法を取る。また両足の大型キャタピラによって、地上でもスムーズに移動することができ、相手に急接近して顔面のドリルで攻撃することもできる。また分離合体機構を搭載。下半身は戦闘機スターファルコンとなり、上半身はドリルタンク・ランドモゲラーとなる。この形態なら地中へ潜ることが可能で、劇中でも重要な役割を果たしている。


 ゴジラ対策に開発されたモゲラであったが、ゴジラと交戦するのはほんの一瞬。戦闘のほとんどはスペースゴジラが相手であり、結果的にゴジラと共闘することになる。明確な悪役であるスペースゴジラに対し、(リトルゴジラを救うためとはいえ)人類と共闘するゴジラは、どちらかといえば善玉のように描かれている。またゴジラのことを敵視というよりはライバル視するような人物がいたりと、ゴジラの扱いに関しては平成シリーズの中でも異色である。


 最終決戦の舞台は福岡で、ゴジラが九州に上陸するのは今回が初だったりする。鹿児島湾から上陸するのだが、なぜかまっすぐ北上せず、途中で大きく東にそれている。理由は謎。

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