「キングコング2」(1986)……まさかの続編!コングは生きていた

原題「KING KONG LIVES」

製作国:アメリカ

監督:ジョン・ギラーミン

製作:マーサ・シューマカー

製作総指揮:ロナルド・シャセット

脚本:ロナルド・シャセット、スティーヴン・プレスフィールド

撮影:アレック・ミルズ

特殊効果:カルロ・ランバルディ

音楽:ジョン・スコット

出演:リンダ・ハミルトン、ブライアン・カーウィン、ジョン・アシュトン他


 ギラーミン版「キングコング」から、なぜか10年も経っていきなり公開された正統な続編。ジョン・ギラーミン、デ・ラウレンティウス、カルロ・ランバルディと、前作の主要スタッフがそのまま引き継がれている。ただしリック・ベイカーは参加していない。


 物語は前作のラストシーンから幕を開ける。ビルの屋上でヘリの機関砲に撃たれ、地上へと落下するコング。そのまま息を引き取った――かと思われたが、まだ死んではいなかった。コングは大学の研究施設に運ばれ、そのまま10年間も昏睡状態で生きながらえていたのである。研究班は多額の費用を投じた巨大な人工心臓でコングを蘇生させる計画を進めていたが、手術には輸血が不可欠。しかしコングに輸血できる生物などいるわけがない――かと思われたが、ちょうどボルネオからメスのキングコング、すなわちレディコングを生け捕りにしたという報告が入る。レディコングはアメリカに運ばれ、輸血によって手術は成功し、コングは復活を遂げる――。


 なぜコングを生かしておいたのか、なぜコングを蘇生させる必要があったのか、という疑問は湧いてくるが、怪獣という貴重な生物を殺してはならぬと主張する学者は、怪獣映画において珍しい存在ではない。ともかくコングは10年の眠りから目を覚ましたのである。その後、コングはメスの匂いを嗅ぎつけ、鎖を引きちぎって囚われたレディのもとへ向かうと、そのまま二匹は愛の逃避行。そう、今回は「美女と野獣」ではなく「野獣と野獣」のラブストーリーなのだ。無人の山へと逃げた二匹はそこを愛の巣として思いきり二人だけの世界に浸る。レディにデレデレするコングの締まりのない表情が非常にバカっぽく、もはやキングコングらしい威厳も凄みも一切感じられない。ただの発情した猿である。10年間の技術の進歩によってコングのスーツは割と出来が良いものの、それがやけに人間臭い振る舞いをするので、もはやコントの様相を呈している。


 ただまあ全編に渡ってこんなバカっぽいわけではない。レディが再び軍に囚われた後は、レディを取り戻すために大暴れ。モーテルを破壊し、ハンターどもを殺し、陸軍のジープや装甲車と戦闘を繰り広げる。ヘリの機関砲で倒せるのに大量の装甲車を投入する意味はあるのか、という疑問は湧いてくるが、荒野を駆ける陸軍車両の大群や、撃たれて傷つきながらも孤軍奮闘するコングの姿は本作最大の見せ場である。キングコングとしてのキャラクター性をかなぐり捨てて、単なる巨大ゴリラのパニック映画になってしまった感はあるが、どうしてもオリジナル版と比較されてしまう前作よりは、こちらのほうが素直に楽しめるだろう。まあ、世間的にはこちらも酷評を受けているが、これはこれでアリだと思います。


 本作はコナミよりゲーム化され、ファミコン用に「キングコング2 怒りのメガトンパンチ」として発売された。「キングコング2」で検索すると映画よりこのゲーム版の方が先に出てくるあたり、原作より有名なんじゃないだろうか。

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