「宇宙怪獣ガメラ」(1980)……これがほんとの昭和ガメラ最終作
製作国:日本
監督:湯浅憲明
製作:大葉博一
企画:徳山雅也
プロデューサー:徳山雅也、篠原茂
脚本:高橋二三
撮影:喜多崎晃
美術:横島恒雄
編集:田賀保
音響効果:小倉信義、小島明
音楽:菊池俊輔
特技・撮影:築地米三郎、藤井和文、金子友三
特技・操演:恵利川秀雄、金子芳夫、関谷治雄、田中実
特技・美術:井上章、山口熙、矢野友久、石塚章隆
特殊技術:東通ECGシステム
助監督:村石宏實
ナレーター:中村正
出演:マッハ文朱、小島八重子、小松蓉子他
70年代末、第3次怪獣ブームと呼ばれる現象がにわかに巻き起こった。79年に放送開始されたアニメ作品「ザ・ウルトラマン」、東宝のヒーロー番組「メガロマン」そして早朝や夕方のウルトラシリーズの再放送などが、そのきっかけであった。その勢いは翌年の「ウルトラマン80」まで続き、その間に特撮関連の書籍やグッズが数多く展開された。その中には大人向けの商品展開も見られ、60年代の特撮作品を見て育った世代もブームを担う存在であったと思われる。現在も大人向けの特撮グッズが数多く発売されているが、その源流はこの時代にまで遡れるだろう。
また当時は「宇宙戦艦ヤマト」の劇場版に端を発するアニメ映画もまたブームになっていた。このふたつのムーブメントに東宝も乗っかった。東宝は新作アニメ映画「ドラえもん のび太の恐竜」と「モスラ対ゴジラ」の短縮版を同時上映し、ヒットを飛ばした。一方、徳間書店の子会社となっていた大映は新作映画「宇宙怪獣ガメラ」を制作した。実に8年9ヶ月ぶりのガメラ復活であった。
物語の主役となるのはガメラ好きの圭一少年と、平和星M88からやってきた女宇宙人、キララ、ミータン、マーシャの三人組。宇宙海賊船ザノン号が地球を狙っていると知ったキララたちは、宇宙海賊の怪獣軍団に対抗するべく、超能力でガメラを呼び寄せる。かくしてガメラと6大怪獣との大決戦が幕を開ける――。
などと書けば怪獣盛りだくさんの超大作のように思われるかもしれないが、特撮パートはほとんど過去作品からの流用であり、いわゆる総集編映画である。一応、ガメラが単独で登場するシーンは新しく撮られたもので、着ぐるみも新調されている。
ヒーロー番組から借りてきたような女宇宙人トリオの活躍が印象的だが、パロディの多用も本作の特徴。宇宙海賊の船は明らかに「スター・ウォーズ」のそれであり、また「キン肉マン」「こち亀」などといった漫画が紹介されるうえ、両津勘吉そっくりのお巡りさんなども登場する(たいして似ていない)。ガメラが都市を襲撃する際には、どう見てもゴジラな「さらば、ドジラ」なるポスターが映る。極めつけは「宇宙戦艦ヤマト」と「銀河鉄道999」とのコラボで、これらはアニメの映像をそのまま着ぐるみのガメラと合成しているため、非常にちぐはぐである。まあ「ヤマト」の方は少年の夢の中の出来事ということにされているが、「999」の方は――もはやわけがわからない。
総集編であることと節操のないパロディから、他のガメラ作品と比べて一段低く見られがちだが、とにかくウケる要素を盛り込みまくっているので、決してつまらないわけではない。そもそもガメラシリーズは子供に楽しんでもらうことを第一にやってきた。スーパーマン的な宇宙人や大量のパロディネタも、その精神を受け継いだものであろう。約9年間のブランクがあっても、ガメラの基本姿勢は、決してブレてはいないのだ。
第3次怪獣ブームは「ウルトラマン80」の放送終了とともに終息し、80年代のガメラ映画もこれきりとなった。もっとも、あのラストシーンからして、シリーズ化は最初から予定していなかったような気もするが。
次のガメラ復活は15年後、1995年の「ガメラ大怪獣空中決戦」である。設定が一新されており、昭和シリーズとの繋がりはない。
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