「ゴジラ対メカゴジラ」(1974)……今度の敵は全身兵器のニセゴジラ
製作国:日本
監督:福田純
製作:田中友幸
原作:関沢新一、福島正実
脚本:福田純、山浦弘靖
撮影:逢沢譲
美術:薩谷和夫
編集:池田美千子
音楽:佐藤勝
特技・合成:三瓶一信
特技・撮影:富岡素敬
特技・美術:青木利郎
特技監督:中野昭慶
出演:大門正明、青山一也、田島令子他
ゴジラ映画第14作。今回も東宝チャンピオンまつりの一編ながら、シリーズ20周年記念ということでかなり気合の入った作りになっている。悪の侵略者やその怪獣とゴジラが戦う、というフォーマットは引き継ぎつつも、ドラマパート、特撮パートともにコミカルな描写は鳴りを潜め、シリアスな雰囲気が貫かれる、昭和後期としては珍しい作風である。監督は前作から福田純が続投、そして中野昭慶が特技監督の座についている。中野は前年に公開された大作「日本沈没」にて、円谷英二の没後初めて特技監督に昇格していた。また川北紘一も「対ヘドラ」以来3年ぶりにゴジラシリーズに参加している。そして原作者の一人に日本SF界の大御所、福島正実が招かれており、SF志向をさらに強めようとしていた点が窺える。キャスティングの面では平田昭彦や小泉博といった往年の東宝特撮を支えた面々が久々に集結、佐原健二もチョイ役だが顔を見せている。「流星人間ゾーン」で主役を務めた青山一也や、名優・岸田森の活躍なども特撮ファンとしては見逃せないところ。
さてゴジラ生誕20週年の記念すべき年に対戦相手として選ばれたのは、ゴジラを模したロボット怪獣・メカゴジラ。全身シルバーの鋼鉄のボディに、ミサイルやビームといった飛び道具を備え、バリアーを張ったり空を飛んだりすることも可能という万能戦闘ロボットである。デザインを手がけたのは「帰ってきたウルトラマン」や「ウルトラマンA」で怪獣デザインを担当していた井口昭彦。ただ全身のリベットや腕のMGマークなどは着ぐるみを作る段階で加えられたアレンジで、井口の意図したものではなかったという。
最初はゴジラの皮を被ったニセゴジラとして登場。見かけは完全にゴジラだが、光線の色や鳴き声が異なっている。ゴジラの舎弟(?)のアンギラスだけはそれが偽物だと見破り、果敢に挑みかかっていくも、無惨にアゴを割かれて退場している。その後、燃え上がる石油コンビナート地帯で本物のゴジラと対峙。本物ゴジラが熱戦を浴びせかけると、まばゆい光とともに偽物の革が剥がれてメカゴジラが正体を顕わにする。正体バレをものともせず、むしろその姿を見せつけるかのように火炎の中に佇むメカゴジラ。非常にカッコいい。メカゴジラはミサイルやビームでゴジラに猛攻を加えるが、最期は相打ちに終わり、修理のために基地へと戻っていく。
最終決戦の舞台となるのは沖縄。公開当時は沖縄が日本に返還されたばかりであり、翌年には沖縄国際海洋博覧会も控えていた。沖縄がフィーチャーされたのは、そんな時代背景からだろう。沖縄では、メカゴジラの危機に対抗するため、古代琉球王族の末裔だという娘が「ミヤラビの祈り」という歌を捧げ、伝説の怪獣キングシーサーを覚醒させた。この歌がやたら長い上に単なる昭和歌謡なのは、まあ大人の事情とかだろう。
キングシーサーはその名の通りシーサーの怪獣。珍しく哺乳類系の怪獣である。二足歩行で俊敏に動き回り、肉弾戦を得意とする一方、光線を反射する能力でメカゴジラに対抗する。やがてゴジラも沖縄に駆けつけ、戦いはゴジラ&シーサーvsメカゴジラという二対一の構図に。メカゴジラにとっては不利な状況だが、そこはさすがにロボット怪獣というべきか、火力にものを言わせて両怪獣を圧倒する。ゴジラとシーサーに挟み撃ちにされながらも、首だけ180度回転させ、体は微動だにしないまま前後同時にバカスカ武器を撃ちまくるカットなどはもうロボット怪獣の真骨頂ともいうべき名シーンだ。メカゴジラの攻撃によって巻き起こる、過剰なほどの火薬を用いたド派手な大爆発もすさまじい。都市破壊シーンもわずかで、軍隊なども一切登場しないが、三大怪獣のバトルの迫力だけでもお釣りが来るくらいである。
メカゴジラは登場早々人気を呼び、観客動員数も回復した。メカゴジラは翌年も登場する他、キングギドラやモスラと並ぶ定番のライバル怪獣として、幾度もゴジラの前に立ちはだかることとなる。
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