「怪獣総進撃」(1968)……東宝怪獣オールスター、ここに集結!

製作国:日本

監督:本多猪四郎

製作:田中友幸

脚本:本多猪四郎、馬渕薫

撮影:完倉泰一

美術:北猛夫

編集:藤井良平

音響効果:西本定正

音楽:伊福部昭

特技・合成:向山宏

特技・撮影:富岡素敬、真野田陽一

特技・操演:中代文雄

特技・美術:井上泰幸

特技監修:円谷英二

特技監督:有川貞昌

出演:久保明、田崎潤、アンドリュウ・ヒューズ他


 1968年に入ると怪獣ブームにも陰りが見えはじめていた。子供たちの関心は妖怪モノやスポ根モノに移りはじめており、映画館の来客数自体も減少の一途をたどっていた。その煽りを受けて、東宝は怪獣映画の制作打ち切りを決定。これまでの総決算として、二億円の巨費を投じ、11体もの怪獣を大集合させた、東宝特撮の集大成的な作品に取り掛かった。それが「怪獣総進撃」である。


 時は近未来、20世紀末。人類は小笠原諸島に「怪獣ランド」を建設し、世界中の怪獣を集めて管理していた。ゴジラ親子を初め、ラドンやアンギラス、モスラまでもが集められ(インファント島はどうした)、ふんだんに用意された餌を食べながら平和に暮らしている。島の周囲には忌避剤や磁気バリアが張り巡らされ、怪獣たちが島外に逃げ出すこともない。人類は怪獣の恐怖を克服したのであった。

 しかしある時、怪獣ランドのコントロールセンターが破壊され、怪獣たちが逃亡。世界の主要都市を襲撃する。事変の黒幕は地球侵略を狙う宇宙生命体、キラアク星人であった。人類は、キラアク星人から怪獣のコントロールを奪い返すために立ち上がる。


 登場怪獣は、ゴジラ、ミニラ、ラドン、アンギラス、モスラ、クモンガ、マンダ、バラゴン、バラン、ゴロザウルスにキングギドラを加えた総勢11体。これほどまでに大量の怪獣が投入されたのはもちろん怪獣映画史上初。多くの怪獣を生み出してきた東宝でなければ実現できない企画であったろう。当初のプロットではエビラや「妖星ゴラス」のマグマなども登場する予定だったという。


 南海の孤島が舞台となっていた前作前々作とは打って変わって、怪獣たちによる都市破壊シーンが楽しめる。着ぐるみ怪獣の進撃だけではなく、操演怪獣のマンダがモノレールに絡みつくシーンなども見どころのひとつ。ゴジラとマンダの戦闘も撮影されていたのだが、結局お蔵入りとなっている。クライマックスは地球怪獣とキングギドラとの最終決戦。キラアクのコントロールから解放され、地球人の管理下に戻った怪獣たちは、キラアクの基地がある富士山麓に集結。キラアクが呼び寄せたキングギドラを迎え撃つ。


 キングギドラからしてみれば戦力差10倍という絶望的状況だが、地球怪獣でまともに戦っているのはゴジラ、アンギラス、ゴロザウルスくらい。アンギラスは「ゴジラの逆襲」以来13年ぶり2回目の登場かつカラー作品初出演で、デザインも一新。キングギドラの首に噛み付いたり、地上に落とされるもその衝撃でキラアク基地を露出させるといった見せ場が用意されている。ゴロザウルスは前年の「キングコングの逆襲」からの再登場。今回はなぜか準主役と呼んでいいくらいに活躍しており、前半では地中から現れてパリの凱旋門を破壊、キングギドラとの戦闘でも得意のドロップキックをお見舞いし、ギドラを地面に突き倒したり、しっぽに噛み付いてダメージを与えたりするなどの健闘っぷり。一方で、バランやバラゴンなどは一切戦闘に参加していない。この映画、バラゴンの扱いがあまり良くない。


 最終作とされていた本作だったが、結果的には前作を上回る観客動員数を記録し、怪獣映画の制作が続けられることになった。また、1972年には「ゴジラ電撃大作戦」というタイトルで、短縮版が公開されている。

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