「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」(1967)……昭和ガメラシリーズを代表する名作
製作国:日本
監督:湯浅憲明
製作:永田秀雅
企画:仲野和正
脚本:高橋二三
撮影:上原明
美術:井上章
編集:中静達治
音響効果:小倉信義
音楽:山内正
特技・合成:金子友三
特技・撮影:藤井和文
特技・助監督:阿部志馬
特技・操演:金子芳夫
特技・美術:矢野友久
助監督:小林正夫
出演:本郷功次郎、上田吉二郎、笠原玲子他
高速道路を建設したい道路公団と、それに反対する地元住民との間で対立が続いていた。地元住民はゴネ得による立ち退き料の吊り上げを狙っており、交渉は一歩も進まない。そんな中、村長の孫である英一少年は、謎の光を取材しに来た新聞記者とともに、二子山の洞窟へ。そこは怪獣ギャオスの巣穴であった。ギャオスは新聞記者を捕食すると、栄一少年をも喰らわんとする。そこへガメラが飛来。二大怪獣の戦いの火蓋が切って落とされる。
前年の「ガメラ対バルゴン」に続く、ガメラ映画第三弾。監督は前作の特技監督だった湯浅憲明で、今回は本編と特撮の両方を手がけている。タイトルにもある通り新怪獣ギャオスが登場。直立二足歩行で翼を持ち空を飛ぶ、ラドンと同タイプの飛行怪獣だが、ギャオスは翼竜に加えてコウモリや悪魔といったモチーフを取り入れ、よりシャープで凶悪なデザインとなっている。本作はもともと「ガメラ対バンパイヤー」という企画であり、コウモリのようなデザインや光に弱いといった設定はそこから生じたものであろう。
またギャオスは口から超音波メスと呼ばれるレーザー状の光線を発し、あらゆるものを一瞬で切断してしまう。劇中では、超音波メスを発するために首の骨が音叉状になっており、そのせいで首が回らないのだと解説されている。着ぐるみの弱点を逆手に取った上手い設定である。
ちなみにギャオスと命名したのは英一少年。いわく「ギャオーと鳴くからギャオス」とのことで、真面目な対策会議の最中にも、大人たちにその呼び方を強いている。もしかしたら、これが本作で最も有名なシーンだろうか。
対するガメラ、今回は露骨に子供の味方である。ギャオスを退け、英一少年を助けると、甲羅に乗せて空を飛び、大人たちが少年を甲羅から下ろすまでおとなしく待機。やりすぎな気がしなくもないが、この手のシーンは次回以降もっとあからさまになっていくので、これでもまだ控えめな方である。ちなみに英一少年が乗る甲羅は実際に巨大なセットが作られた。
ガメラとギャオスの対決は、お互いの能力をフルに活かしてぶつかりあう激闘である。空中戦も展開されるが、やはり空中ではギャオスに分があり、しかもギャオスは消火ガスを噴射することができるため、ガメラのジェット噴射を消火し飛行能力を奪い、一方のガメラも自身に有利な海中へとギャオスを引きずり込もうとする――といった具合に互いの弱点を狙い合うバトルは、物語が進むごとに激しさを増していき、流血描写の壮絶さもあいまって、一時も目を離せない。怪獣登場までが長く、対決も短かった前作とは打って変わって、全編に渡り怪獣が出ずっぱり、さらに怪獣対決も三ラウンドまで用意されており、かなり満足度の高い作品に仕上がっている。村の大人たちが怪獣騒動の中でその欲深さを悔い改め、ギャオスを倒すために山を差し出すというドラマパートの展開も、特撮パートとしっかり噛み合っていて秀逸な出来。本作を昭和ガメラの最高傑作に推す声も多く、特撮ファンなら見ておくべき一本である。
ギャオスは後の作品でもたびたび再登場し、ガメラの宿敵としてシリーズ定番の怪獣となる。人を喰い、翼で飛び、シャープな見た目のギャオスと、人を護り、ジェットで飛び、重厚な見た目のガメラ。まったく正反対の両者は、生まれたときからライバル関係となることを宿命づけられていたのである。
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