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「フランケンシュタイン対地底怪獣」(1965)……原爆が産んだ巨人の恐怖と悲哀」への応援コメント

  • こんばんは。
    それまでの怪獣映画の多くは核の恐怖を描いていましたが「フランケンシュタイン対地底怪獣」は戦争被害者の悲劇を描いていますね。
    本作に登場するフランケンシュタインは、戦時中に不死身の兵士となるべく作り出されたというのに、戦争が終わった後は異端の存在として阻害されなければならなくなり、まさに彼こそは悲しい戦争の被害者です。
    もう1人の戦争被害者といえば、冒頭に登場した原爆症(おそらくは白血病)の少女。原爆で両親を亡くし、自分も不治の病に罹って死の恐怖に怯えている。こちらの方が現実的で、観ていて胸が痛かったです。
    そして、後に出現する地底怪獣バラゴン。地底に潜んでいたはずの彼が地上に現れた原因が核実験による地殻変動や地熱の上昇だったとしたら、彼もまたゴジラなどと同様、核=戦争の被害者。思えば、怪獣達の多くが人間の引き起こした戦争の被害者なんですよね。

    私はラストは「大ダコ」よりも「生き埋め」の方が良いと思います。あの大陥没はバラゴンが地底を掘り進んだ為に起きたらしいですので、勝負の結果は相打ちという事になります。こちらの方が戦争被害者同士の戦いの悲しさが引き立ちますが、訳分からん大ダコがいきなりしゃしゃり出てきての締め括りでは興醒めしてしまいます。
    「フランケンシュタイン対地底怪獣」は、異端の存在を人間態のキャラクターとして描く事によってより悲劇性を高め、人間の業の深さを追及しているように思えます(後の「サンダ対ガイラ」にも同じ事が言えますが)。

    余談ですが、バラゴンの生贄になる山小屋の若者男女の中に「南海の大決闘」でダヨを演じる予定だった高橋紀子さんがいます。本作には代役の水野久美さんも出演されてますので、ダヨが2人出ている事になりますね。
    http://plaza.rakuten.co.jp/achachan

    作者からの返信

    フランケンシュタインは恐竜と違って人間そのものですからより生々しいですね
    なまじコミュニケーションをとれる可能性がある分、逆に異端としての面が強調されているように思われます
    大ダコは……まあやっぱり海外ウケ狙いなんでしょうね