「クロノス」(1957)……映画史上初、巨大ロボット怪獣登場
原題「KRONOS」
製作国:アメリカ
監督:カート・ニューマン
製作:アーヴィング・ブロック、ルイス・デウィット、カート・ニューマン他
製作総指揮:E・J・ボームガーテン
原作:アーヴィング・ブロック
脚本:ローレンス・ルイス・ゴールドマン
撮影:カール・ストラス
編集:ジョディ・コープラン
音楽:ポール・ソーテル、バート・シェフター
出演:ジェフ・モロー、バーバラ・ローレンス、ジョン・エメリー他
今回紹介する「クロノス」は、「モノリスの怪物」と同じく、意志も生命も持たない無機質系の怪獣だ。ただし岩石や結晶体などではなく、機械である。そう、クロノスはロボット怪獣なのだ。
ロボット怪獣……男の子なら誰もがときめきを感じるこの言葉。メカゴジラやキングジョーがその代名詞的存在となっているが、その原点が本作であり、クロノスこそが世界で初めて映像作品に登場した巨大ロボット怪獣なのである。
ストーリーはまず空飛ぶ円盤が地球に飛来するところから始まる。円盤はメキシコの海に落下。やがてクロノスは海上にその巨大な姿を現すのだった。
さて、世界初の巨大ロボット怪獣、その外見はいかなるものであったかというと、まずカラーは黒一色というシンプルなもの。形状は直方体と円柱を重ね合わせ、てっぺんに半球を乗っけて、アンテナが二本、にょきっと伸びている。腕も手もない。武器もない。顔も目もない分、不気味さと妙な威圧感がある。
ただまあこれではロボットと言うよりはただのビルかマンションのようにしか見えないが、足が四本あり、歩き回ることができるのだ。その歩き方も機械的な無駄のない動きで、ズシンズシンと地面を震わせながら大地を踏みしめる、といった怪獣然とした歩行ではなく、四本足をピストンのように動かして滑るように移動していく。着ぐるみ怪獣にはできない動きであり、映画中ではアニメーションで表現されている。
またクロノスの大きさは100フィート、つまり30メートルほど。このサイズで動き回られるだけでも結構な被害を生む。しかし、クロノスはただ町を踏み潰すためだけに送られてきたわけではない。クロノスは、エネルギーを吸収・蓄積する機能を備えているのだ。クロノスを送り込んだ宇宙人の真の目的とは、地球上の電力や原子力を根こそぎ奪い尽くすことだったのだ!
活動を開始したクロノスは、まず原子力発電所を襲撃。あたりを火の海に変え、エネルギーを吸収する。全体的には低予算っぽいが、このシーンはなかなかの迫力。人類側も負けじと武力を用いてクロノスを破壊せんとするが、クロノスはその兵器のエネルギーすら吸収、なんとさらに巨大化してしまう。どういう仕組みなのかは全く不明だが、巨大化然り、エネルギー吸収然り、ともかく地球人の想像も及ばぬような超技術で作られているのは確かなようだ。しかしそこにこそ、クロノス撃破の突破口が隠されていたのである……。
ロボット以外にも、憑依型の宇宙人も登場。地球人の体を乗っ取ってクロノスを操る。ロボットの設定といい宇宙人といい、「ウルトラセブン」のエピソードにありそうな作風である。ちなみに世界初の巨大ロボット怪獣はクロノスだが、では日本初のは何かと言うと、同年末に東宝が公開した「地球防衛軍」に登場するモゲラである。こちらも宇宙人の侵略兵器として用いられた。
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