「モノリスの怪物~宇宙からの脅威~」(1957)……成長と自壊を繰り返す鉱物怪獣の進撃

原題「THE MONOLITH MONSTER」

製作国:アメリカ

監督:ジョン・シャーウッド

製作:ハワード・クリスティ

原案:ジャック・アーノルド 、ロバート・M・フレスコ

脚本:ノーマン・ジョリー、ロバート・M・フレスコ

撮影:エリス・W・カーター

特撮:クリフォード・スタイン

出演:グラント・ウィリアムズ、ローラ・オルブライト、レス・トレメイン他


 一口に怪獣と言っても、それぞれの怪獣は実に個性的で、バラエティ豊かな存在である。現代に蘇った、古の巨大生物。薬品や放射能で巨大化した生き物たち。怪獣映画の可能性は広がり続けていき、特に50年代後半からはさらに新しいスタイルの怪獣映画が次々に生み出されていった。その中でも特に異彩を放っているのが、この「モノリスの怪物」である。


 「モノリスの怪物」は、宇宙より飛来した、鉱石の怪獣である。あくまで石であり、生き物ではない。石なので、自ら動くこともない。生命もなく、意志を持っている様子もない。ただそのへんに転がっているだけだ。そんな怪獣の何が脅威なのかというと、ただ「巨大化する」という一点にある。


 物語は隕石が地球に落下するところから始まる。ロサンゼルスに近い田舎町、隕石の落下地点近くには黒い小石が散らばっていた。そこに通りすがった何人かの住人が、その石を持ち帰ってしまう。翌日、彼らは体が石化して死んでいた。家の中にも大量の黒い石が溢れている――この石こそが宇宙から来た「モノリスの怪物」なのであった。

 研究によって、黒い石は、水を吸収して成長することが判明する。しかし時はすでに遅く、外は大雨。黒い石は急激な成長を遂げていた。巨大化した石は石柱となり、一定の大きさになると自重を支えきれず倒れ、砕け散る。その破片がまた水を吸って巨大な石柱となり、倒れ、砕ける。そしてまた破片が巨大化し――という、ただひたすらにこのプロセスを繰り返しながら、無限に増殖し、石柱の大群が街へと迫りくるのだ。


 正体はただの鉱物でしかないので、命を断つこともできず、武力で破壊してもその破片から成長するので意味はない。要するに無敵なのであり、天災を体現したかのような怪獣である。このアイデアが素晴らしい。自分から動かない、何もしないタイプの怪獣は、日本でも「ウルトラQ」(1965)のバルンガをはじめとして、ウルトラシリーズでもちょくちょく出てくるが、本作はそれらに先駆けた画期的な怪獣映画だ。


 ストーリーもシンプルながらホラーのテイストもあり飽きさせず、石が成長と崩壊を繰り返す様子も、巨大さと重量感をしっかりと感じられ、秀逸な出来。石を殲滅するときの××××のシーンもよく作り込まれており、最後まで手抜かりのない映画だ。


 しかしやっぱりこの映画の最大の魅力は「モノリスの怪物」というキャラクターに尽きる。成長と自壊を繰り返しながら町に迫りくる巨大石柱群――ぜひ今の技術でリメイクしてほしいところ。

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