「コングの復讐」(1933)……「キング・コング」の後日譚
原題「Son of Kong」
製作国:アメリカ
監督:アーネスト・B・シェードザック
脚本:ルース・ローズ
技術顧問:ウィリス・オブライエン
出演:ロバート・アームストロング、ヘレン・マック他
「キングコング」のヒットの勢いに乗って作られた続編。公開されたのは「キングコング」の公開からわずか9ヶ月後である。前作の主要スタッフやキャストがそのまま引き継がれてはいるが、短期間、そして前作の半分以下の予算で作られているため、その出来は、前作と比べると明らかにスケールダウンしている感は否めない。「キングコング」に比べてこちらがマイナーなのも、それゆえだ。
物語は前作の一ヶ月後から始まる。ニューヨークにコング騒動を巻き起こした張本人、カール・デナムは、コングの被害を受けた大勢の市民から損害賠償を請求され、困窮しきっていた。そこでデナムは、人生の一発逆転を賭けて仲間のエングルホーン船長とともにインドへの航海に旅立つ。行き着いた先で、彼らはヘルストームなる男と再会。彼こそが、デナムにドクロ島の情報を与えた男であった。
彼いわく、「髑髏島には原住民の宝が眠っている」とのことで、それを聞いたデナムは再びドクロ島へ。そこで出会うのが、全身を白い毛に覆われた、「コングの息子」であった。
息子ということで今回のコングは前作より小柄。沼に落ちたところをデナムに助けられ、彼になつくという、人間くさく、親しみやすいキャラクター付けがなされている。前作とは打って変わって、まるでファミリームービーのようである。
前回のコングは暴力の権化のような野獣であり、気に食わないものは何でも拳でぶちのめしていた。だが、それゆえに人間と心を通わせることも出来ず、アンをドリスコルに奪われて死んでいく。そんな悲哀は今回のコングにはないし、さらにこれ以降のコング映画も、ヒーロー的、もしくは女子供に優しいフェミニスト的な性格として描かれることになる。これは後のゴジラが辿った変遷ともよく似ている。まあ、ゴジラは人間と恋仲になることはなかったが。
ストップモーションアニメを手がけたのは、前作と同じくウィリス・オブライエン。しかし彼は様々な事情が重なって途中で降板。後は別のスタッフが引き継いで完成させた。前作から予算も製作期間も大幅に削られてはいるが、特撮シーンの出来は決して悪くはない。スティラコサウルスや熊など、前回とは異なった生物が出てきてコングとの戦いを見せてくれる。物語がドクロ島だけで終わってしまうために前作のような都市破壊シーンはない。その代わりに(?)終盤では島を大地震が襲う。とってつけたようなラストだが、ここだけではなく全体的に脈絡のない展開が続く作品である。脚本も時間がなかったんでしょうね。
なお、邦題は「コングの復讐」というものものしいタイトルだが、原題は「Son of kong」、つまりは「コングの息子」であり、今回のコングは人類に対する復讐など何一つ行わないということは、誤解を招かないように付け加えておく。普通に原題直訳でよかったのでは?
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