200話突破記念SS『コタツとミラと………』
SS込みではありますが、いつの間にか200話越えてましたΣ(゚Д゚;)
100話目の時には、気付かずにスルーしてしまいました……(汗)←オイ
私の拙い小説をいつも読んで下さる皆様へ感謝と愛を込めて……( •̀ω•́ )/
(時間軸は14歳頃の冬)
*******************
「あーーーー、幸せだぁ…………」
私はスリスリと木目の綺麗なテーブルに頬をすり寄せた。
『冬』といったらやっぱりコレでしょう!
もう、ここから一歩も動きたくなーいー!
「ああ……ミラは、人を堕落させる物を作りだしてしまったぁ……」
??「これ、最高だな!」
正面に座るミラは、うっとりと
そうでしょう!そうでしょうとも!!
やっぱり、冬の風物詩といえば『コタツ』だよね!!しかし、この世界にはそんな文化は存在しない。
だから――――作っちゃいました!
**
「ねえ、ミラ。私、どーーしても欲しい物があるの!」
「……今度は何?」
ミラが胡散臭げな眼差しをこちらへ視線を投げ掛けてくる。
……そ、そんな顔しなくても良いのに……!
「だってさー、シャルロッテに付き合うと、
「あー……」
……そ、それは否定出来ないかもしれない。
結局はお兄様にバレて、お説教orお仕置きコースになるのだもの。
でも………!
「だって、ミラは規格外だから!」
(今回はきっと大丈夫!)
「……本音と建前が逆になってるけど?」
「え?あっ……。き、気のせいだよ?あははっ」
つい心の中にあった本音が、私の意思を遮って、口からうっかりポロリと出てしまった。
「テ、テヘッ?」
「……」
「そ、それよりも、作りたい物!あー、早く作りたいなー!?」
「『欲しい物』じゃなかったの?」
……ふぐっ。ツッコミが細かい。
ミラは、簡単には流されてくれないかもしれないが、私はこのまま突っ走るしかないのだ!――全てはコタツの為に!!
「欲しい物は、作りたい物なのです!イコールです!全然間違っていませーん!!」
左手を腰に当てながら右手でVサインを作る。
「…………」
ミラにジロリと睨まれた。
「絶対に後悔はさせないから!」
私は両手をあわせて『拝み倒す』作戦に切り替えた。
「お願い!ミラだけが頼みなの!手伝って下さい!お願いしまーす!!」
これで駄目なら、次は泣き落としだぁぁぁ!
……と、思ったのだが。
「…………分かった」
再び大きな溜め息を吐いたミラが大きく頷いた。
「……良いの?」
もっと粘らないと折れてくれないと思っていただけに拍子抜けしてしまった。
「ミラは責任取らないからね?怒られるのは、シャルロッテだけにしてよ?それでも良いなら取り敢えず話してみてよ」
「やったー!ありがとう!ミラ!!」
私は勢いよくミラに抱き付いた。
「うわっ!離れてよ!」
「ミラー、ありがとう!」
「わ、分かったから……!」
不機嫌そうにプイッと視線を逸らしたミラに、私の身体はグイッと押し退けられた。
むう。そんなあからさまに嫌そうな顔しなくても良いのに……。
だが、しかーし!私は気にしない!
これでコタツが私の物になるからだーー!!
ぐははははっ。
**
――――と、私はミラを誘導し、見事にコタツを勝ち取ったのである!!
……誘導できてないだろう、って?
いえいえ、勢いも計算の内ですヨ!
「ね?作って良かったでしょう?」
「うん……。これは最高だよー……」
コタツで
ふふふっ。もうコタツからは逃げられないヨ?
猫と言えば――我が家の黒猫兼、魔王であるサイは、コタツの端の方で丸くなって眠っている。サイの娘の金糸雀は、サイのお腹の辺り潜り込んで一緒に眠っている。
金糸雀はこうしてサイとくっ付いている事が多いので、素朴な疑問でその理由を聞いてみたところ――
…………ま、まあ、まあ。
サイが嬉しそうなので良しとする。
相変わらずの仲良し親子です!!
こんな風にみんなで利用してもゆとりのある大きめ設計なのでとても快適だ。
そして、コタツといえば……大切な
この世界にもの蜜柑が存在するのだか、地球でいうところの
こんな風に感じるのは私ぐらいかもしれないが……。名前は【ミップル】という。
このミップルは――なんと!
私達の馴染みのある蜜柑の様に、ツルリと手で剥く事ができるのだ。しかも、中の果実はそのまんま蜜柑の様に房で分かれている。
ええと、つまり……ミップルは、林檎の皮を被った蜜柑なのだ。
蜜柑が林檎の仮装をしちゃったYO☆的な果物なのだYO!!
…………ふざけました。すみません。
私がこんな変なテンションになっている原因は―――
「あー……居心地が最高過ぎて、騎士団にも戻りたくなーい。……助けてー、師匠ぉぉお……」
……ハワードのせいです。
どうして私の部屋にいるんだYO……。
「訳が分からない修行をさせられるのはもう勘弁なんだよ!お使いを口実にアヴィ家に来たのに、ルーカスは構ってくんないし!あー、もうアイツは本当冷たいヤツなんだよ!」
「……話し聞き――」
「聞いてくれるのか……!」
ハワードの目がギラッと輝いた瞬間に、私の言葉は途中で遮られた。
ええと、やらかした……?
「……少しだけなら」
「良いよ!聞いてくれるだけで良いんだよ!流石は俺の優しい師匠ー!!」
やらかした……!!
ハワードは放置しなくちゃダメだったのに!
つい、同情心が働いてしまった。
ああ、本当、バカ。私のバカ、バカ、バカ!
「ミラ、助けてよー!」
「むにゃむにゃ……」
テーブルに顔を預けて幸せそうに眠っているミラの身体を大きく揺すったが、ミラが起きる気配はない。
酷い!そして、ズルい……!
「師匠!もっと俺の話を聞いてくれよー!」
私の両手はハワードにガッシリと掴まれた。
「あのな、あのな!」
ギラギラとした眼差しを向けながら話続けるハワード。
……泣いても良いですか?
ハワードから視線を逸らして天井を見上げた私は、そこにあるシャンデリアの装飾をゆっくりと数える事にした。
ああ、綺麗な装飾品がいっぱい付いてるぅぅ……。ひとーつ、ふたーつ……。
――せっかく手に入れた至福のコタツタイムを心行くまで味わうはずだったのに……ハワードに付き合わされて散々な日になってしまったとさ。
――続く?
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