クランクランで…(番外編)
クランクランはさくらんぼに似た果物だ。
そのクランクランを使った果実酒は、エールに次いで有名なお酒である。
ゲームでそのお酒を知った時から、ずーーっと、このお酒を飲んでみたいと思っていた。
せっかくそのお酒のある世界へ生まれ変わったというのに、年齢が邪魔をしていてまだ飲めていない。14歳なう。
飲みたくて、飲みたくて、震える・・・。
ってアル中か!!
・・・ひとまず年齢の話しは置いておこう。
それよりも何故、クランクランの話題を出したか、だが。
それは、サイラスの祖父であるエルフの里の長から大量に貰ったからである。
あの復讐劇の後、閉鎖的だったエルフの里は【アイスクリームの里】として、なかなか賑わっているらしいのだ。
アイスクリームの力は偉大だ!!(byルーカス)
そこで私が《アイスクリームの聖女》として奉られているのを知った時の衝撃といったら・・・・・・。
今は穏便な話し合いの末、あんな横断幕は速攻で燃やし…コホン。外してもらった。
もっと早く気付きたかった・・・サイラスの馬鹿・・・。と八つ当たりをしてみたり。
何だかんだで、エルフの里とは良好な関係を築けていたりする。
サイラスとの結婚を夢見ている長の思惑もある様だが・・・
私には愛しのリカルド様がいるので有り得ないけどね!!
今まで何度か貰ったクランクランは、ドライフルーツにしたり、アイスクリームに加えたりと色々と利用させてもらっている。
試しにドライフルーツに加工してお返ししたら、エルフの女性達にとても喜ばれたそうで・・・次は倍の量のクランクランが送られて来た。
なので、倍のドライフルーツとクランクランで作った化粧水を一緒に送った。
そしたら今度は、クランクランが三倍になって送られてきた・・・(汗)。
長寿で美女揃いのエルフでもアンチエイジングや美容は、やはり気になる所らしい。
因みに化粧水は、毛穴やたるみ等の諸々の問題が解消され、更に美白効果も得られる、とのお墨付きだ。byお母様
そんな栄養的にも優れているクランクランで、私は試したいと思っている事があった。
今日はそれの実験をしてみようと思う。
まずは、煮沸消毒した大きめな蓋付きの瓶を用意する。
そこに、クランクラン、ドライフルーツでお馴染みの、桃の様な【モスク】、パイナップルの様な【レップル】、葡萄の様な【アーマス】を生のまま瓶の中にゴロゴロと投入します。手間のかからない皮付きです。切りません。
そして、次が肝心!
【超スーパーハイポーション】、【超高性能目薬】、【超万能胃薬】、【超即効性育毛剤】を一瓶ずつ。これを果物の入っている瓶へどんどん投入します。
材料はたったこれだけ!!
これを私のチートさんで『圧縮』と『発酵』をさせたら・・・。
「完成ーーー!!!」
ひゃっふー!!超簡単だね!
・・・因みに。
お兄様に使用禁止を言い渡され、隠されてしまったポーション等々は、この前偶然にも邸内で見付けた。
ふふふっ。お兄様チョロいな。
ウキウキ気分でグラスに完成したばかりのソレを注ぎ入れる。
早速、出来立てを試飲してみようと思います!
まずはクンクンとグラスの中の液体を嗅いでみる。
想像していたよりも匂いはキツくない。これなら普通に飲めそうだ。
そしてこれからが本番だ。
グラスを傾け、中身を一気に飲み干す。
くぅーーーーーーーっ!!
これこれ。私が求めていたのはコレだ!!
これこそ養命・・・
「何をしているの?」
突然、背後から聞こえて来た声にギクリと身体を強ばらせる私。
・・・ですよねぇ。
振り返った背後には、超ニコニコ笑顔のお兄様が立っていた。
「・・・で?何をコソコソ作っていたの?」
ジリジリと距離をつめて来るお兄様。
近い・・・近いですから・・・。
「ええと・・・それはですね・・・。」
疚しさからお兄様から視線を逸らし続ける私。
「・・・視るから良いけど。」
視る!?それは困る!!
慌てて瓶を隠そうとした時には既に遅かった。
「『【養○酒】疲労回復、滋養強壮、虚弱体質改善、ストレス解消、育毛。状態異常完全超回復。女神の与えし飲物。飲み続ければ不老不死』・・・って、何これ?」
『鑑定』を終えたお兄様の瞳がスーッと細くなる。
相変わらずでたらめだな!?・・・私のチートさん。
「没収。」
「えー!そんな!!」
「・・・不老不死になりたいの?」
「そ、それは嫌です!!」
リカルド様と一緒に年を取って死にたいもん。
「じゃあ、問題ないよね?」
「・・・はい。」
「しかもこれお酒だよね?16歳未満禁止ってあるけど・・・?」
やばい・・・。
お兄様の声のトーンが落ちてきた。
そう。私が作り出したのはお馴染みの『養○酒』だ。
酒成分が代謝を促して疲労回復等をしてくれるお酒である。
この世界だからこそ16歳未満禁止になってはいるが、日本では20歳未満禁止の大人の為のお薬である。
「目を離すと直ぐお酒を作ろうとするんだから。」
「て、テヘペロ?・・・痛っ!!お兄様、痛いです!!」
笑って誤魔化そうとしたら、こめかみを片手で締め上げられた。
「反省、した?」
「はい・・・。」
正座です。正座で説教を受けています。
「以前に没収したポーションを見つかりやすい場所に隠して泳がせてみれば・・・。本当、外さないよね。君は。」
な、何だと!?まさかの罠!!!
「しかもまたこんな世の中に出せない様な物を簡単に作るし・・・。」
呆れ顔で溜息を吐くお兄様。
「薬なら良いかな・・・って。」
「16歳未満は飲めないのに?」
あ・・・。お兄様の口元が歪んだ・・・。
「何度説明しても分かっていないみたいだから、またじっくり話そうか。」
「い、いえ!分かりました!!
「『暫く』?」
ああああ・・・。
墓穴を掘り続けた自分のせいで、私はそれから2時間程お兄様から説教を受けたのであった・・・。
未成年の飲酒はダメ!絶対!!
byシャルロッテ
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