知らない (番外編)

『ロッテ』は、かつてのドライフルーツブームの際に、シャルロッテとミラのチート魔術の合体により生み出されたオーブンである。実は歌も歌える。


ブームは落ち着いたものの…未だにアヴィのドライフルーツは人気が高い。


アンチエイジング効果付きだからねっ!


ドライフルーツ製造に欠かせなくなってしまったロッテは、アヴィ家の家宝的なオーブンに昇格したのだ。

アヴィの特産の半数をロッテが支えていると言っても過言ではない。


そんなロッテが一番大好きなのが、ご主人様であるシャルロッテだ。

ミラに対しては作り出してくれたという感謝を持ってはいるが、シャルロッテを盲目的に崇拝していたりする。


ご主人様であるシャルロッテが学院に入学する際には、好き過ぎて離れたくないロッテが、ミラを珍しい魔石『コーディアル』で買収し、自分の分身の『ロッテ2号』を作って連れて行って欲しいと、シャルロッテへ進言するようにミラを唆したのは記憶に新しいと思う。


若き天才のミラが開発した魔導具は数知れない。ミラが独自に編み出したものや、シャルロッテが関わった物等々。世の中には数多あまたの魔導具が溢れている。


そんな中。注目されている魔導具がある。

優れた吸引力を持って、縦横無尽に動き回りながらお掃除してくれる物。

ルン○の様な自立型の掃除機だ。


『放置しておくだけで綺麗になる』

これをキャッチコピーとし、着々と売上げを伸ばしている。

因みに魔力持ちの人が定期的に魔力を流し込むだけで充電は可能だ。


一家に一台ならぬ、一家に数台。


この自立型の掃除機は、王城や学院内でも採用され、たくさんのルン○達を至る所で見る事となった。


さて、ここで本題に戻ろう。


『ロッテ』は

シャルロッテとミラの生み出したチートの産物。

チート×チート=・・・?

ロッテは魔導具同士を繋いで、ありとあらゆるネットワークを広げる事が出来るのだ。


つまり、チート持ちな魔導家電のロッテは、色んな魔導具とリンクする事が可能だ。


もう一台の自分を作らせて、学院まで着いて来たロッテが寮の部屋の中でじっといている訳もなく…。


『ウフフ。私、ロッテ。今アナタノ後ロニイルノ。』


学院中にばら蒔かれているルン○は、全てロッテが制御を乗っ取り管理している。


『ウフフ。私、ロッテ。今、アナタノ横ニイルノ。』

『ウフフ。私、ロッテ。今、アナタノ足元にイルノ。』

『ウフフ。私、ロッテ。イツモ側ニイルヨ。』

『ウフフフフフフッ。』


今日もロッテのご主人様は気付かない。



訳の分からない悪寒に、今日もシャルロッテは身体をビクリとさせるのであった。



終わり

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