夢の再会

@iiima009

第1話 シェハアウス

 「やっぱり死にたい。」生理前になるといつもこう思うのだった。大学生のころから変わらずずっとこうだ。お腹は張るし、眠気が強くなるし、体は熱くなるし、だるい感じがする。そして何より私を苦しめたのは気分の落ち込み。憂鬱な気分。そして死にたいと思う気持ち。もうどうにでもなれと思ったり、とりあえず何もやる気が起きず動けない状態になったりする。そしてこんな風になる自分が悪いんだと自分を責める。ああ、なんで私はこんなふうになるのか。だれか助けてよ。ちょっと悲劇のヒロインにもなったりする。だいたいこれが毎月くる。長い時は2週間、短い時は数日この状態になる。二十歳ごろからいま、26歳もこれに悩み続け、とうとう仕事を辞めた。もちろん仕事を辞めたのはこれだけの理由ではないが。病院にかかり薬も様々試したが自分としては効果があまり感じられず、どうすればいいかわからないままでいた。そして結局ピルを開始した。それでもなぜか気分は憂鬱。私はずっとこんな感じで生きていくんだろうか。漠然とした不安がある。夜、一人になるとすごく考えてしまう。だからそれを紛らわすためにSNSに入り込むがそんなことをやってる自分が嫌になる。なにしてんだろって。もういっそ消えてしまいたい。消えたらとりあえず何にも考えなくていいから楽になるだろう、そう思う。私はきっと楽になりたいんだ。何にも考えない世界に行きたいんだと思う。涙がぽろぽろ流れてくる。なんでなんで泣けてくるのだろう。誰か助けて。誰にも頼れない。いや、頼りたくないのかな。いや頼る人がいないんだよ。気軽に話せる人がいないんだな私。こういう時さらに人間関係の薄さに絶望する。

今日は疲れていたこともあり泣いたまま寝た。

 

 翌朝、起きると私は知らないところにいた。でもベットに寝ていた。普通の部屋だ。ベッドがあり、机、いすがあり、服や小物など私のものが置かれている部屋だった。でも昨日眠りについた部屋ではなかった。この部屋を出てみると台所やリビングなど部屋があった。そこでご飯を食べてる人もいればテレビを見ている人、新聞を読んでる人、スマホをいじっている人合わせて4人がいた。

「え、ここはどこ。」

思わず声が出た。でも小さい声だったから誰も返事はしなかった。もしや、シェアハウス?そんな気がした。いやそうだ、きっと。私はシェアハウスに住んでみたいという気持ちがあったからだと思った。じゃあこれは夢の中なんだな。それにしてもリアルだなあと思って腕をつねってみると痛い。え、私起きてるの??そしてトイレに行きたくなった。え、これってしちゃったらおもらしかなあ・・・。

それはちょっとやばい。でもしたいしなあ。

だれかに確認してみよう。

「あの、すいません。」ご飯を食べている男性に声をかけた。

「ああ真奈美、おはよ。変な顔してどうしたの。」その男性は私に向かったそういった。

え、呼び捨て?とまず思った。

「あの、私ってここに住んでるんですか?」

「何言ってんの。1週間前からいるじゃん。」と答えた。

え、1週間前?!まじで。でも夢か夢じゃないかってわかんなーい。

「顔洗ってきたら?」その男性に言われた。

「あ、はい。」

「変なの。ふふふ。」笑われてるしー。なんだか顔が赤くなった気がした。

すると初めての家のはずだが勝手に体が動いて洗面台にたどり着いた。

そういえばさっきの人・・・・・。

「貴だよね!!!」

「そうだよ。なにいってんだよお前。おかしいよ。」

まさか、あの貴がここにいるなんて。シェアハウスとはいえ一緒に住んでるなんて。

夢のようだった。うれしかった。顔がにやけてしまった。私ずっと片思いしていた人だった。小学校、中学校大好きで、そのあともなんとなく心の片隅にずっといた人、貴。イケメンで、背が高くで、性格もいい。思いやりがあって、優しくて、でもノリも良くて。完璧な人だった。大人になってからも変わっていなかった。さらに言うともっとかっこよくなって、優しくなってた気がした。

そういえば何年ぶりに会っただろうか。成人式以来だから6年ぶりかあ。意外と経ってなかった。でも嬉しくて嬉しくて言葉では言い表せないけど洗面所の鏡には満面の笑顔の私がいた。にやけすぎて自分が見るには気持ち悪かった。うわー不細工。こんな顔で会ったなんて最悪。

まあでも1週間ももうここにいるだなんて、何が起こってるんだろうか。まあいいや。

普通ならまあいいやで終わるはずない状況であるが私は好きな人に逢えたことがうれしすぎてそんなことはもうどうでもよかった。どんな経緯であれ一緒に住んでいるのがありえないほどうれしい。うきうき気分でみんながいるリビングへ戻った。

同居人はみんな仕事に行くようでバタバタと動いていた。私は自分の手帳を確認すると今日は仕事が休みなことが分かった。そしてなんとこの前やめたばっかの看護師に復帰していた。なんとまあびっくり。でも正社員ではなく臨時職員としてだった。週4日で働き、夜勤は月2回あるだけだった。

 夜になってみんな帰ってきたため改めて自己紹介してもらった。え、1週間前来た時にやったじゃんかと言われたがお願いをしてもう一度やってもらった。まず一人目沙耶香さん。30歳で病院勤務の薬剤師さん。2人目、陽子ちゃん。21歳の大学生。3人目聡一郎さん、32歳アパレル店員。そして4人目が私の好きな人、貴。26歳の同い年で仕事はIT関連の営業をしている。

私がここに来た経緯をみんなに聞こうか迷ったが聞いたらおかしいことに気付いたのでやめておいた。おかしなやつだとシェアハウスに来て早々思われるのは嫌だと思ったからだ。

まあそのうちわかるだろうからいいやと思った。

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