第22話


 国語は苦手だった。

 漢字が難しかったから。


 算数は苦手だった。

 公式が理解できなかったから。


 社会は苦手だった。

 覚えることが得意じゃなかったから。


 理科は苦手だった。

 言っている意味が分からなかった。


 英語は苦手だった。

 俺は日本人だから、英語を喋る必要性を感じなかったから。


 体育は得意だった。

 体を動かすことが楽しかったから。



 ――だが、上には上がいることを思い知らされた。

 異常に発達した筋肉。ハリウッド映画にいそうな威圧感。目が追い付かない程早い俊敏な動き。同じ人間とは思えなかった。


 西・ローランドという名の怪物が、鍋の蓋片手に重火器で武装した学生を蹂躙していく。


 あぁ、神様。俺の才能はなんですか?

 あるなら教えてくれ、そして、それを活かせる環境をくれっ


 神様への祈りが届くよりも先に、俺の意識は途絶えた。

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神田君のモテキ ー kiss and die ー 虹色 @nococox

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