第14話
体育館は一度案内されたが、改めて見るとかなり大きい。地方の野球ドームくらいのスペースはありそうだ。
「じゃあ、各自袋の中身を空けてくださいー、他人に自分の袋を見られないように注意してくださいなー」
神代先生のけだるそうな指示に従い、僕は自身の袋を開けた。
黒い塊が入っていた。いや、その説明は語彙が貧弱すぎて分かりにくい。
「へぇー、神田のは拳銃か。しかも44オートマグじゃん。かっけー」
西君に、しっかり覗き見られていた僕。そうなのである、袋には拳銃が入っていたのである。対する、西君は何を持っていたかというと――
「俺なんてこれだぜ、鍋の蓋。お前が拳銃で俺が鍋の蓋って、どう考えて不利だろ」
鍋の蓋をひらひら動かす西君。だが、鍋の蓋は彼が持つと凶器足りうる。否、彼の場合は素手そのものが凶器になりうる。鬼が持つのが金棒だろうと拳銃だろうと鍋の蓋だろうと、鬼に戦いを挑む人間はいない。鬼はそれ単体で人間を超越しているのだから。
「ほら、そこー。武器の見せ合いっこしないー。まだ説明の屠龍ですよー」
神代先生の注意に、すみませんと謝る僕ら。
「では、これから皆さんには『殺し合い』をしてもらおうかと思います」
淡々とした口調で、『殺し合い』なんてハードなワードを出す。
「みなさん、『肉体言語』で存分に語り合い、仲良くなってくださいね」
神代先生は、パチンと指を鳴らすと、彼女の背後に『ルール説明』と書かれた資料が投影された。
一つ、制限時間は30分
二つ、制限時間終了後の『?』袋の数がポイントとなる
三つ、贈与された武器は安全に配慮され作成されています。
(死ぬほど痛いかもしれませんが、後遺症は残らないレベルに殺傷力は低減される工夫が為されています)
四つ、制限時間終了後の『?』袋の数が5以上の人は、『七曜企画提出権』を一回贈呈します。
※七曜企画:限度額なし(初期最低投資額:1億)
五つ、制限時間終了後『?』袋の数がゼロの場合、SSNの刑
「では、安全に気をつけて。よーい、はじめっ!」
こうして、僕たちの1stイベントが始まった。
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