第13話

予想通りではあったが、個性豊かな面々がクラスメイトであった。

 逆に、ここまで個性的だと、全員の情報を覚える前に、僕の脳が容量オーバーで吐き気を催してしまいそうだった。


***


「田口真一です。好きな食べ物は女の子ですー。仲良くお願いしますー!特に女子!」

 

 やはり、田口は気持ち悪いな。まだ一度も会話もしていないのに、ここまで人に嫌悪感を抱けるとはある意味才能だな。


「納戸牡丹です。好きな食べ物は冷凍蜜柑です。よろしくー」


 安定の美声。しかし、冷凍蜜柑か、溶けてしまうからなかなかお近づきになれるチャンスがないな。


「西・ローランド。好きな食べ物はバナナだ!よろしく!」


 明日バナナを買ってあげよう。


「傾聴! 雑魚場(ざこば)妃美(きみ)様はこうおっしゃっている! 『私は雑魚場 妃美。好きな食べ物はカレー。よろしくお願いします』と!」


 雑魚場さんは、例の兜を被ったお嬢様風の女の子だった。手下(?)らしきモヒカンの人に耳打ちして、それをモヒカンの人が代弁していた。


「ちなみに俺は雑魚場様の一(いち)の配下、雑魚場(ざこば)一(はじめ)。好きな食べ物はバナナだ!」


 手下の人――否、雑魚場君――否、一君もバナナ好きだった。


「俺は雑魚場様の二(に)の配下、雑魚場(ざこば)二郎(じろう)。好きな物はバナナだ!」


 以下略。とりあえず。雑魚場さんの手下は全部で13人いて、みんなバナナが好きだということが分かった。

***


 自己紹介タイムが終わると、神代先生は『?』マークが入った、巾着袋を配り始めた。

 一人一人、中身は違うようで、西君のは平べったくて円形のシルエットが見て取れた。


「全員に行き渡ったか―? じゃあ、その袋の中身は空けずに、各自その袋を持って体育館に集合なー」

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