第2話 願い事

「七夕って土曜日だね」


話すネタが尽きたような言い方をする彼女。


「そ、そうだね。」


僕は彼女の気に障ったのか?僕と帰るのはつまらないのか…。いやいや、今一緒にいる時点でそんな事。独り言が多いのは僕の方だ。


「願い事って決まった?」


展開が早過ぎる...。追いつけてない自分が彼女からすれば使えねぇ奴とか思われたはずだ…。焦りを感じる。

僕は彼女の事ばかり考えていて読まれたのか。

と、色々考えた。


「君は?どんな願い?」


僕は質問を質問で返すことをした。いつも彼女の意地悪ばかりされるから。なんて、単純なんだろうか。

少し間が空いた後、彼女は溜息をつきながら呟いた。


「質問を質問で返すとか…教えてくれないんだ。」


嘘だろ。失望された。上手く話が続くのではないのか!?僕のミスか。意地悪したくなった。言い訳か。


「僕は、彼女が欲しいなぁ」


とか言っておけばよかったのか!

...まてよ。「童貞じゃーん」って言われて終わり。これこそ終わり...


幸せの言葉が聞こえたが最後の言葉が理想になった。

「私は、彼氏欲しいなぁって。嘘だけどね」


嘘なの!?そうなりますか?普通に言えば、

「彼氏欲しいなぁ」で終わりだろ。僕は何を返せばいいんだ?


考えたあげくの言葉


『僕は君の嘘好きだよ』


彼女は口角を上げて僕と目を合わせた。凄く変な事言ったのは確かだ。嘘が好きって言いました。コレこそ変人だと思われた。

すると彼女は僕の手首をつかんだ。


「えっ!?」

僕の手首は地面へと引かれ、彼女の顔が近くなった。耳元でそっと囁かれた。その一瞬で心が奪われてしまうチョロい男だと僕は自分で思った。


「良い嘘と悪い嘘があるとわかってるの?」


君の香りが頰に触れた一瞬の感覚。耳元で囁かれた時シャンプーの香り。

僕は空に浮かれた気分だった。



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